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行き止まる<002・詩>
つめたい世界で深呼吸して
葉っぱが連れ去られていく先を想像する
踊るような道を辿って
わたしは行けない
そこに行けない先を想像している
なにも選べない
選ぶことのできない夜がいい
身体はするどく
心くろぐろとして
世界が反転させる数々の
仄暗い幕
ひたすらの思い出
消灯
なすすべもなく星を見ていた日を思い返して
オリオンがまず見えて、そのわずか左にこいぬ座、下方におおいぬ座がある。冬の大三角形が見事に輝くのに負けない光がそこらじゅうに瞬いていた。流れ星もたくさん見たような気がする。ぐるりと首を回したら、視界全部に広がる星々の世界は水平線のようにまるくなく、かといって平面にも見えなくて、感覚はだんだんと吸い込まれるようにおかしくなって、それから二歩も進めばよろめいた。それでも、熱に浮かされたように、目の前の
もっとみるライナーノーツ・記録011に代えて
帰省してから3日目の朝、風邪をひいた。原因は明らかで、前日の夜に髪を乾かすのをてきとうにしたから。地元は寒いし、うちは古いので、朝なんかはとくに、首から上がびっくりするくらい冷えている。最初はいよいよ花粉症かと思っていたけど、夜に顔が赤いことを指摘されたので熱を計って、風邪だと分かった。一夜明けてもたいして変わらなかったが、どうしても風呂に入りたかったので家風呂を使っていいか聞かれたら反対された
もっとみる序・ゲーテブルーの歓待
ゆっくりと、しかし夏の夜の訪れよりはずっとずっと早く、すべてが暗闇に落とされていくと、ぼくは負けじとすばやく二度瞬きをして、瞳孔をきゅっとしぼる——ぼくという存在が、いまこちらへと飛び込んでくる世界に飲み込まれてしまわないように。そして客席の誰よりも早くそれになじめるように——このときと、あとはカーテンコールの瞬間が、ぼくはいっとう好きだった。この境界線上へと招待されている時だけ、この時だけが、
もっとみる1月25日<001・散文>
25になるかなしみに襲われて、ずっと昔の曲を聴く。幼い頃に好きだった曲は、ひとつの取り零しもなく今でも好きで、それのどこに安心できるのか何ひとつ理解できやしないが、それでもとても安心できると思った。何ひとつ順番通りにいかない、思っていたピイスが何ひとつ嵌らないパズルを与えられている。夜が来ればいずれ日が昇って、また一日が人々を叩きのめす。誰も、誰も、その力に逆らえない。だから私も逆らえない。私は逆
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