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らしさであり差別化の証 #31 ブランド
世の中には、あらゆる商品やサービスがあふれています。
しかし、当たり前ですが、同じ用途の商品やサービスであっても、個々によって提供できる価値は異なります。
また、利用する顧客にとっても、受け取る価値は異なります。
これらを識別するのがブランドです。
そもそも、ブランドとは、北欧の古い言語で、放牧している牛などの家畜が、他人の家畜と紛れてしまわないよう、自らの所有物であることを示すために焼き印を付けたことが始まりだといわれています。
現在のブランドをマーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラー氏は、次のように定義しています。
「個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。 」
また、ブランドは、単なる識別標ではありません。
消費者は、様々な商品やサービスとの体験を通して、共感や愛着、好意といったポジティブなイメージや評価を蓄積し、ブランドという信頼が形成されます。
そのため商標法(法律第127号)によって、特許庁に申請して登録が認められたブランドには、その独占的な使用権(商標権)が与えられ、業務上の信用の維持が図られます。
以上から企業など商品やサービスを提供する立場としては、そのブランドを掲げ、消費者に第一想起してもらえるようなブランディング活動を行うこととなります。
マーケティングの考え方の中で、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理状態のプロセスを法則化したものがあります。
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代表的な「AIDMA(アイドマ)モデル」は、「Attention(注意)」、 「Interest(興味・関心)」、「Desire(欲求)」、 「Memory(記憶)」、「 Action(行動)」の頭文字を取ったものです。
また、これらは、「認知段階」、「感情段階」、「行動段階」と大きく3つに分類されます。
「認知段階」では、多くの消費者に対して、その製品やサービスに「Attention(注意)」を引くかが重要となります。
次に「感情段階」では、特に「Interest(興味・関心)」を持っていただいた方々の「Desire(欲求)」を高めていただくために、より具体的な情報を提供して、「Memory(記憶)」していただくことが重要となります。
そして、「行動段階」では、「Memory(記憶)」から思い出す、つまり想起することで、「Action(行動)」、つまり、購入していただくことになります。
ブランディングですが、元々は、マーケティングの一部だったのかと思います。
しかしながら、情報社会である現代では、マーケティングの領域に留まることなく、経営において独自の価値を識別する重要な要素となっていると捉えています。
AIDMAの法則で捉えた場合、如何にして、その価値を「Memory(記憶)」していただくのがが重要な課題になってくるのかと思います。
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そもそも記憶とは忘れやすいものです。
それを常に思い出していただける状態に保つのは容易ではありません。
その意味でも、現代では、様々な切り口から、様々なブランディングが派生していると考えられますので企業や事業別に戦略に盛り込むすべきかと思います。
ブランドとは、らしさであり、差別化を認識していただくための証なのかと考えます。