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とにかくひたすら映画について語る vol.3

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映画関連noteが200に到達したので、新たにマガジンを作りました。
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#映画

【cinema】ユンヒへ

【cinema】ユンヒへ

始まりは雪深い小樽。1人の高齢女性が手紙をポストへ投函する。深々と降り積もる雪。

「雪はいつ止むのかねぇ」
彼女がポツリと呟く。この言葉はこの後も何度か出てくるのだが、決してグチではなく、かといって願望でもなく。しかし何かに折り合いをつけるかのように繰り返される。

場所は韓国へと変わり。一人の女子高生がその手紙を受け取る。しかしその手紙は彼女に宛てられたものではない。彼女の母ユンヒへ書かれたも

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【cinema】ヴォイス・オブ・ラブ

【cinema】ヴォイス・オブ・ラブ

今年は見た映画の感想を少しでも残しておこうと思います。去年はからっきしでした。因みに今年に入って4本の映画を見ていますが、まだ大当たりはありません。が、まぁ見ていただけたらと思うものを記します。

「ヴォイス・オブ・ラブ」

タイタニックの主題歌「マイハートウィルゴーオン」で有名なセリーヌ・ディオンの半生を基にしたフィクションです。もうそのものなので主人公の名前がアリーヌだけど、もはやセリーヌでし

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【cinema】ステージマザー

見逃してた「ステージマザー」を見てきた。誰か書いてたけど、そこまでうまくいくんかいってなくらい母メイベリンによるゲイバーの再生はうまくいくんですけど、彼女はきっと息子に出来なかった分まで全てをぶつけてそれでも足りないと感じたんだと思う。それがラストの歌うシーンに滲み出ていた。
しかし私が気に入ったBGMはその歌ではなく、何度か挿入歌として出てきたreparteeのDukesです。ちょっと気分上がる
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【cinema】悪の寓話(イタリア映画祭2021にて)

イタリア映画祭2021で見た「悪の寓話」。不協和音オンパレードのローマ郊外ご近所物語。大人たちが隣人たちに向けるその上辺だけの愛想の良さを子どもたちは敏感に感じとり、着々と準備する。大人たちに支配されないどこかを目指して…
それにめっちゃマッチするエンディング曲でした。 #cinema #映画 #悪の寓話 #イタリア映画祭2021 #イタリア映画 #note映画部

2020年私的ベスト10ほか

2020年私的ベスト10ほか

今年はオンライン鑑賞2本含めて、147本の作品に出合えました。コロナ禍で、1ヶ月強の空白期間がありながら、よくもまぁこんなに劇場鑑賞ができたなぁと思います。何事もなく、健康で、概ねこれまでと変わりない生活(というと語弊があるかもだが)を送れていることに感謝せねばと思うばかりです。

さて、毎年恒例のマイベスト10です。

1.アフター・ラヴ (英)
2.レ・ミゼラブル (仏)
3.エンド・オブ・ラ

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【cinema】声優夫婦の甘くない生活

【cinema】声優夫婦の甘くない生活

12月18日から劇場公開の本作品。私はオンライン試写会が当たり、一足早く観ました。

1990年、ソ連からイスラエルへ移住したヴィクトルとラヤ。2人はソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦だった。第2の人生を謳歌するつもりで移住したものの、イスラエルでは声優の需要がないという現実に直面してしまう。生活のためにラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮

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【cinema】ザ・ライフルマン

【cinema】ザ・ライフルマン

世間が「鬼◯◯◯」に夢中になっている中、私はひっそりと1週間だけ上映されているラトビア映画を観てまいりました…

第一次大戦下のラトビア。ロシアに攻め入るドイツ軍と戦うため、ラトビアではライフル部隊が編成される。主人公は17歳にあと2ヶ月の少年のアルトゥルス・ワナクス。彼は冒頭で母をドイツ軍に銃殺され、志願し、兵役を一度は終えた老父と共に兵士となります。ロシア皇帝の名の下、前線で戦い続ける彼らです

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【cinema】許された子どもたち

【cinema】許された子どもたち

こんなにも逆説的なタイトルはあるだろうか。

全く許されてもいない子どもたちのことを描いているのに。

本作はどこにでもいそうな4人組(うち1人は自分がイジメの標的になりかけているのをギリギリのところでくい止めるため、仲間にならされている)が、割り箸で作ったボーガンで、いじめの標的となっている子を殺すところが起点となる。

殺すつもりはなかった。

でも殺してしまった。

だけど殺していないと翻し

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【cinema】レ・ミゼラブル

【cinema】レ・ミゼラブル

元々超メジャー映画を見ない私ですが、普段映画を見ない方や、メジャー中心に見る方にも、とにかく、しのごの言わずに見てくれ…!と思う映画に出合うことがあります。滅多にそんな機会はなく、でも今回この映画を見て、心底そう思いました。ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」ではありません。あの話の現代版でもございません。

舞台はパリ郊外のモンフェルメイユ。ここはどこだと思うばかりの団地群の連なる移民だらけの

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【cinema】ザ・レセプショニスト

【cinema】ザ・レセプショニスト

全然今年に入って映画のレビューを書いていないのですが(というか今年初めてのnoteです)、昨日見た映画について少し書いてみようと思います。

「ザ・レセプショニスト」

ロンドンのマッサージサロン。違法風俗店であるその場所は、アジア出身の女性たち、そして女性経営者が家族のような人間関係を装いながらも、その実態は金とセックス、そして客による暴力に支配された偽りの空間だった。そんな店でも女性た

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2019年私的映画ベスト10ほか。

2019年私的映画ベスト10ほか。

今年は140本劇場で映画を見ました。過去最高かもしれない。気がついたらそんなことに。
で、毎年この時期に決めているベスト10を。

1. RBG 最強の85才 /おしえて!ドクタールース (同率首位) /アメリカ
2.金子文子と朴烈 /韓国
3.ジュリアン /フランス
4.CLIMAX /フランス
5.天国でまた会おう /フランス
6.メランコリック/日本
7.荒野の誓い /アメリカ
8.アイ

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【cinema】新聞記者

【cinema】新聞記者

久しぶりに映画の感想を書きます。明日が選挙投票日だからです。 (明日じゃなくて、もう当日だね)

「新聞記者」という映画を本日観ました。
この映画が全く宣伝されていないのは、現政権を痛烈に批判しているからです。実際に起こった政権とズブズブの事件(加計学園問題、森友問題、伊藤詩織さん事件等)を基に、新聞記者と内閣府の官僚がそれに対峙していくストーリーです。韓国人女優シム・ウンギョンと松坂桃李がそれぞ

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やり続けるということ。

やり続けるということ。

私は映画が大好きで、ここnoteでも映画を見た感想をぼちぼち書いています。noteを始めたキッカケも、ブログではなく、Facebookでもなく気負わずに映画レビューを書ける場がほしいなと思ってでした。

けれど、今年に入って、変なスランプ状態に陥り、ちゃんと書いている作品が少ないのですが、素晴らしい作品には多く出合えており、またここに上げられるように日々映画を見ている次第です。

ところで、私は映

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【cinema】金子文子と朴烈

【cinema】金子文子と朴烈

関西で見逃して、GW中、帰省している広島で、行ったことのない映画館(横川シネマという)のスケジュールを何気なく覗いてみたら、上映している!ということで観てきた。

私はなぜか大正デモクラシーとかアナーキズムとかあの頃の主義思想にここ最近になり、関心が湧き始めた。中高生の頃に歴史で勉強しても何にも思わなかったのに、何ででしょうね。

そういえば、去年「菊とギロチン」を見てからかもしれない。アレはアレ

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