【cinema】ザ・レセプショニスト
全然今年に入って映画のレビューを書いていないのですが(というか今年初めてのnoteです)、昨日見た映画について少し書いてみようと思います。
「ザ・レセプショニスト」
ロンドンのマッサージサロン。違法風俗店であるその場所は、アジア出身の女性たち、そして女性経営者が家族のような人間関係を装いながらも、その実態は金とセックス、そして客による暴力に支配された偽りの空間だった。そんな店でも女性たちは生き延びるために必死で働き、移民であるがゆえ、常に危険と隣り合わせの日々を送っていた。大学を卒業したばかりの台湾人ティナはロンドンで職に就くことができず、その店の受付嬢(レセプショニスト)として働き出したが…(映画.comより引用。少し改訂)
見ていて辛いとしか言いようがない話なのに、風俗嬢のササ、メイ、アンナに受付嬢のティナ、女主リリーが食卓を囲むシーンはほんの少し温かくて、彼女達は荒んだ世界に生きながら、一瞬の安らぎを感じるかのように。そうでもしないとやり過ごすことのできない遠い異国の地で。
性を売ることでしか生き延びることができない世界に身を落とすことがどれだけ辛いかなんて、経験した人にしかわからないんだろうけど、私はササ、メイ、アンナに少しでも寄り添おうとしながら、画面を食い入るように見つめていた。
ティナは最後まで受付嬢であって、3人と同じ仕事に身をやつすことはなかったけれど、彼女の中にある羞恥心とプライドをなんだか嫌だなと思いながら見た私は、やっぱり他人事でしか物事を捉えられていないのかもしれない。ティナが3人の風俗嬢とどう違うかなんて問題じゃないのかもしれないけど、やはり彼女は心のどこかで、風俗嬢を軽蔑していて。それを見るのが嫌だった。
ロンドンの某56番地のそこは、近隣住民の侮蔑の目を避けるべく薄いカーテンで遮り、窓ガラスもテープで覆う。厳重に。
彼女達に擦り寄ってくる男達(しかも殆どが変態プレイを要求)、金を巻き上げようとする輩、罵詈雑言を浴びせる近所の太った白人女性。余程か店に入り込んでこようとする者達、店の外の世界で生きる者達の方が汚かった。
救いようのない世界しか描かれていないし、ハッピーエンドだなんて以てのほかだったけれど、それでも故郷や家族、自分の居場所を見つけて戻ることで、ティナやササは少しでも救われたのかな。メイやリリーはどうなったんだろうか。
この映画の中に、「やさしい人」は一切出てこなかったけれど、自分は何かあった時に彼女達のような人たちに寄り添える人でありたいと強く思えた、決意できた作品です。
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