根本原因①リーキーガット症候群(病態編2)
前章の続きです。
リーキーガットを引き起こす物質
人体を有害物から守る最初の防衛線は腸の粘膜であり、リーキーガットになるとその大事な門を全開にして何もかも通してしまいます。
未消化物、微生物、有害金属、化学物質、老廃物 etc…
腸自体に自覚症状のないまま、「何を食べても毒」状態になります。
リーキーガット症候群発症の主な原因について、
と書きましたが、
原因物質でいうと特定のタンパク質がほとんどです。
グルテン、カゼイン、レシチン等のタンパク質
グルテンは小麦、カゼインは乳製品(ホエイを除く)、レシチンは大豆に含まれます。
特にグルテンは麵やパンのモチモチ感を出したり、ソバのつなぎとして使われます。
何らかの要因でそれらをアミノ酸に消化する酵素が働いていない場合、腸にたどり着いた時にタイトジャンクション(腸壁細胞のすき間)を広げる「ゾヌリン」の分泌を促します。
また腸壁の炎症の原因にもなり、タイトジャンクションを傷つけます。
(毎日ラーメンを食べても健常でいられる人は消化酵素のDPP4がきっちり働いている人です)
発達障害はグルテン駄目、カゼイン駄目、みたいな話は、健康情報をあさった人なら聞いたことがあるでしょう。
でも、実際に小麦や乳製品を断っても症状の改善はなかった、という人がほとんどだと思います。
理由は、「それだけでは治らない」からです。
対処法は検査・治療編でまとめて書いています。
腸内環境の悪化原因として話に上るのはストレスと悪玉菌ぐらいですが、これらのタンパク質が未消化状態で入ってくることが一番危険です。
特に小麦(グルテン)は農耕の歴史とともに品種改良がなされ、自然に生えているものと完全に別の植物になっています。
なので、オーガニックだろうと何だろうと(消化酵素が働いていない人には)危険なのです。
カンジダ菌の繁殖や腸内感染症
カンジダ菌の繁殖もリーキーガットに繋がります。
カンジダ菌は真菌というカテゴリで、酵母やカビの一種です。
健康な人の腸内にもいる、いわゆる日和見菌です。
が、何らかの要因で白砂糖と鉄分を餌にしてこいつが異常繁殖を始めるとガンガン毒素をばらまいていきます。
カンジダ菌の繁殖だけではなく、腸内フローラのアンバランス自体も炎症を誘発し腸壁にダメージを与えます。
そして、IgA抗体の量を低下させる等の「広義のリーキーガット」状態まで引き起こしていきます。
ちょっとややこしいですが、そのあたりの検査法と対処法については、下記の記事に詳しく書きました。
また、腸内感染症とは、本来腸にいないはずの菌が存在して毒素をばらまくことであり、これも当然腸壁にダメージを与えます。
ピロリ菌や、マイコプラズマ菌などが代表的です。
一部の食品添加物や薬剤
加工食品や調味料に使用される食品添加物は、500種類近くあるようでが、実際スーパーやコンビニで食品の成分表示を見てみると、メジャーなのは30もないと思います。
腸にとって危険な物とそうでもない物も、菌類よりハッキリ分かれています。
また、抗生物質や避妊用ピルも腸にダメージを与えます。
このへんは統合医療(オーソモレキュラー)系の医師や研究者にヒアリングするのが正解なのですが、食品添加物や薬剤のケアで重要なのは、同じもの摂りすぎないことなので、そこさえケアできていれば大丈夫かと思います。
リーキーガットと自己免疫疾患
リーキーガットによって侵入した有害物に対し、身体はどういう反応をするか?
人体の防衛システムは、ありえないものが血中に発見されると、免疫細胞がその物質専用の兵器(抗体)を作り攻撃を始めます。
つまり抗体の種類・数が爆発的に増加します。
そしてそれらは、他のものにまで攻撃を始めます。
分子構造が似ているものを標的と勘違いしたり、自分の臓器が流れ弾に当たったりします。
身体中で大戦争が起こり、炎症が発生します。
それは一般的に「自己免疫疾患」(いわゆるアレルギー)と呼ばれます。
たとえば、スギ花粉などは大して人体に有害ではありません。
ですが免疫細胞が、何かしら似た分子のものを標的にする抗体を作ってしまっていると、身体を「守る」ために戦闘が始まるのです。
くしゃみや鼻水、粘膜の腫れは抗体の必死の抵抗なのです。
また以下の病気も自己免疫性疾患です。
ちなみに、社会復帰シリーズにも書きましたが、僕は腸の治療過程で、バセドウ病および結構な量の食物・植物・微生物アレルギーが発覚しました。
バセドウ病は糖質代謝をうながす甲状腺ホルモンがドバドバ出て汗をかきまくり、精神的にパニくることが多くなる病気です。
有害物は脳に到達する
脳には有害物の流入をシャットアウトする第二の防衛線があります。
「血液脳関門」という、血管に張られたふるいのようなもので、脳の入口にあります。
ここがどういう仕組みで有害物・栄養をふるい別けしているのか、かなり難しい話になってきますが、リーキーガットになると、ゾヌリンが血中に流れ出して同じ原理で血液脳関門に穴を開けます。
これをリーキーブレイン現象といいます。
リーキーガットになっている人はかなりの確率でに第二の防波堤も破られていると思った方がいいでしょう。
そのようにして脳には、未消化タンパク質・細菌・寄生虫・重金属・化学物質・老廃物などが流入し、神経伝達物質の正常な働きを邪魔するのです。
長くなりましたが、次章では判定法と治療法を書きます。
以上です。