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病名を問わない治療計画テンプレート(2)
前章の続きです。
発達障害/精神疾患を治療する方法は、セオリーに従って、各根本原因の有無を調べ、潰していくことです。
ここで重要なのは、どの治療をどのタイミングで行うかです。
本章ではその点に踏み込んでいきます。
↓ は前章で出した治療計画テンプレート図のおさらいです。
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効果の出る正しい順序
行うべき順序は、
内科的治療>>> 神経治療> トレーニング
(※心理療法は個別に判断)
とはっきりしています。
(※「トレーニング」であるマインドフルネスが、治療開始時点から始めるべき理由は後述します。)
それぞれについて解説します。
1.内科的治療
最優先で行ってください。
脳内の神経伝達物質に異常がある人は、奇形や外傷でもない限り、栄養欠乏と有害物質の侵入(排出不全)があるからです。
それらの要因は24時間、脳内でドーパミンやセロトニンの動きの邪魔をし続けます。
リハビリ(神経治療)をする前に疾患をきっちり治す、ということです。
2.神経治療
(ニューロモデレーション/ニューロフィードバック)
電磁気などの外部からの働きかけで脳神経を治療する医療です。
短時間で強い効果がありますが、内科治療が終わっていないと、有害物質などの原因群はその後も悪影響を与え続けます。
なので、効果が薄いか、元に戻ってしまう可能性が高いです。
僕がニューロフィードバックを受けた時もそうでした。
ニューロモデレーション(TMSなど)についても、治療経験者の話を聞き、ブログを読んでも、「治った・世界が違って見える!」という感想は、治療直後のものが多く、「一年経過後も健康です」という事例は少ないです。
その点が気になり、脳神経治療の研究者・臨床家であるT教授に聞いてみたところ、案の定、答えはYESでした。
神経治療の必須条件は、脳内の異物の排除とある程度健康な栄養状態です。
4.トレーニング
トレーニング系の治療は、神経治療を外部刺激でなく自力で行うメソッドです。
長期の習慣化が大事ですが、基本的には神経治療と同じ性質を持っています。
なので脳機能が少しずつ向上しても、内科的な根本原因が残っている限り、少しずつ元の状態に戻ってしまいます。
つまり毎日マインドフルネス瞑想を行っても
「症状の軽い人なら、周囲の環境次第で生活できる」程度だと、自身の体験から思います。
以上より、優先順位は ↓ のようになります。
内科的治療>>> 神経治療> トレーニング
また、これらとは別枠で心理療法があります。
3.心理療法
開始すべきタイミングは人それぞれです。
自分の精神状態と置かれている状況、日常的に感じているストレスの量で判断しましょう。
とはいえ、できるだけ早く始めて内科治療と並行させてください。
(特に、緊急性を要する人はそこを治療の入口にするべきです。)
その理由は自分の経験から来ています。
「トラウマ」は一生忘れられないショックな出来事を指すだけではありません。
僕は幼児期からの小さなストレスが無数に積み重なっていることに気づいていませんでした。
トラウマは多くの場合、無自覚であることが多いのです。
そのことを指摘され、心理療法を何度か受けた結果、びっくりするくらい感情が安定するようになりました。
発達障害/精神疾患の治療において、心理療法が必要ない人は少数派だと思います。
マインドフルネスをまず行う理由
(※マインドフルネスについての解説は以下)
図に戻りましょう。
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なぜマインドフルネス(トレーニング)から始めるのか?
内科治療や心理療法を受ける場合、症状や食生活、生活習慣、生育環境などを整理して相手に伝える必要があります。
(自分の説明書の作成について、詳しくは ↓ 参照)
症状の軽い人なら、できるかもしれません。
でも自分が最悪の状態だったころ、現状を客観視して整理することが全くできませんでした。
まずは、あるていど自分を説明できること。
そして情報を集める気力を取り戻す必要があります。
マインドフルネスは、一人で、安価に、簡単に、思考力を底上げできます。
また、普通の人が集中力・生産性を高めるために行うものでもあるので、治った後も継続がベターです。
内科的治療を終えてからの神経治療
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神経治療は、保険適用が少なく高額なので、手段とタイミングを慎重に選ぶ必要があります。
ここで失敗すると挫折感がかなり大きいので、複数の医師・研究者や治療経験者に連絡をとって相談することをお勧めします。
(大学の先生というのは、自分の分野に興味を持ってくれる人が欲しいので、素人質問を意外と歓迎してくれます)
ただし、「どこまで治すか」というのは自分で決める事です。
内科的治療が終わって普通に生活ができるようになった場合、完治とするのも一つの判断だと思います。
厳密にいえば、脳機能が一切低下していない人はこの世に存在しません。
誰だって発達障害グレーゾーンといえばそうなのです。
心理療法の効用
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何年も障害/疾患を患っている人は、必ずトラウマがあると思ってください。
先にも書いた僕の実体験からのアドバイスです。
トラウマや困りごとを説明できるようになってから始めるのがベターです。
心理療法は他の治療にも効果が出ます。
・感情の安定や感受性を取り戻しつつ治療を行うほうが、正しい判断ができます。
・精神的にタフになるとお医者さんとも上手に付き合っていけます。
もちろん精神症状の重い人は最優先で行ってください。
就労可能状態にもっていくこと
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以上の説明により図の意味が分かっていただけたでしょうか?
そして、重要な点がもう一つあります。
障害年金や生活保護を受けている人が、どのタイミングで就労可能にもっていけるか、ということです。
根本治療を徹底的にやろうとすれば、そこそこお金がかかります。
現状の日本では保険のきかない検査・服薬がかなり多いのは仕方ありません。
僕の場合は、障害年金に頼りつつ、
・安価なバイオレゾナンスのクリニック
・食事制限と自己判断によるサプリの服用
(主に腸の治療)
・マインドフルネスの継続
・心理療法
によって、クローズド就労することができました。
その後は治療を継続したり中断したりでしたが、やはり問題はまだ山積みで、2023年2月に再開しました。
クローズドの稼ぎと、就労できる脳機能があれば、治療は最適化・高速化します。
が、生活に困窮する状態から根本治療を行うのは情報戦に他なりません。
このマガジンはそんなケースの人も想定しています。
比較的安価な代替手段を紹介したり、障害者年金取得のためのヒントも書いてあります。
また、次章では内科的治療で守るべき大切な順序を解説します。
以上です。
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