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新時代のワンダを描く、忘れられた意欲作「スカーレット・ウィッチ (2015)」

ここ最近は何でもかんでも実写化して「あんなキャラが映画に出るの!?」と思うことにも慣れてきたマーベル作品だけど、中でもここ数年で飛び抜けてぶっ飛んでいた企画が、アガサ・ハークネスを主人公にしたテレビドラマ「アガサ・オール・アロング」だろう。 アガサ・ハークネス自体は「ワンダヴィジョン」に登場しているけど、そんなスピンオフのスピンオフみたいな企画を、しかも正直お世辞にも人気があるとは言えないようなアガサ・ハークネスを題材にしたドラマなんて本当にうまくいくのか…と、ファンダム全

    • アルティメット・ユニバース、結局どうなの?

      2023年7月に始まった「アルティメット・インベージョン」を皮切りに次々と展開していき、今や月に四つのシリーズが連載されるにまで至っているアルティメット・ユニバース。既存のマーベル・ユニバースからは距離を置きながら、単なるリブートに収まらないような自由な発想で独自の世界観を作り上げている本作だけど、結局面白いの?各タイトルで何が違うの?と疑問な方も多いはず。今回は僕の視点で各タイトルの特徴をアピールできたらと思う。 以前書いたアルティメット・インベージョンの紹介はこちら。

      • シンビオートの歴史の転換点「ヴェノム(2018)」

        最近のシンビオート界隈はとにかくアツい。 実写映画三作目の「ヴェノム:ザ・ラストダンス」が公開し、コミックでは大型イベント「ヴェノム・ウォー」が連載と、ここ最近とてつもない盛り上がりを見せているヴェノム関連。直近のNYCCでも新たなタイトルが発表されて、しばらく楽しみが尽きないなとワクワクしております。 そんな今のヴェノムの物語の基盤といっても過言ではなく、かつ前述の映画に登場する強敵「ヌル」が初登場したのか「ヴェノム(2018)」である。 実はシンビオートを生み出した

        • 「アメコミビブリオバトル」に参加してみた3

          またまた「アメコミビブリオバトル」に参加してきました。今回で三度目。なんとなくイベントの雰囲気も掴めてきたということで、今回はいつもの観戦ではなくバトラーとして大会に参加することにした。初参加の時のアフタートークで飛び入りの参加をしたことはあれど、最初から発表すると決めてイベントに挑むのは今回が初めて。かなり緊張しながらバトルに挑んだ。 今回紹介するのは「メリー・ジェーン&ブラックキャット:ビヨンド」、以前noteでも紹介したことのある名作。今回のバトルのテーマは「心に残る

        • 新時代のワンダを描く、忘れられた意欲作「スカーレット・ウィッチ (2015)」

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        • 「アメコミビブリオバトル」に参加してみた3

          負けヒロインじゃ終わらない!「ブラックキャット」の魅力

          近頃「負けヒロイン」がテーマのアニメが話題になっているということで「これは便乗せずにはいられない!」と紹介するコミックを決めた。盗賊でありスパイダーマンの元恋人でもあるブラックキャットことフェリシア・ハーディと、アメイジング・スパイダーマン誌の長年のヒロインであるメリー・ジェーン・ワトソンがコンビを組む物語「メリー・ジェーン&ブラックキャット:ビヨンド」だ。 ブラックキャットといえば、テカテカの黒レザーを着たセクシーな女怪盗。いわゆる峰不二子系のキャラクターだ。スパイダーマ

          負けヒロインじゃ終わらない!「ブラックキャット」の魅力

          マーベルの好きな「最終回」を語りたい

          読んだアメコミの感想って、意外と序盤と最終回だけで固まってたりする。もちろん本当にどハマりした作品とかは中盤の詳細まで事細かに覚えてたりするんだけど、自分はそんなに頭も記憶力も良くないので数年続いてる長期シリーズだと「詳しく覚えてないけど面白かった記憶だけある」みたいな作品も少なくない。中でも最終回は、単純に一番直近で読んでいる回というのもあって記憶に残りやすい。今回はマーベル・コミックスを読んでいて好きだった最終回たちについて、ゆるく書いていきたい。 デアデビル (202

          マーベルの好きな「最終回」を語りたい

          「アメコミビブリオバトル」に参加してみた2

          以前参加させていただいたオンライン・アメコミビブリオバトルがめちゃくちゃ面白いイベントだったので、今回対面開催でのイベントにも参加させていただいた。 ビブリオバトルとは各々が五分間で好きな本を紹介し、観戦者がどの本が一番読みたくなったかを投票してチャンプ本を決めるというイベント。前回初めて参加させていただいたイベントはオンライン開催だったが、今回は実際にバトラーの生の声を聞けるとのことだったので「こんなの行くしかない!」と(観戦なのに)大興奮でイベントに向かった。 ところ

          「アメコミビブリオバトル」に参加してみた2

          英語初心者のための「原書アメコミの選び方」

          アメコミに手を出すにあたって一番の障壁になるのは、間違いなく言語の壁だ。昨今は邦訳コミックも充実しているので日本語でアメコミを楽しむことも十分できるけれど、それでも「推しの作品が邦訳されない」とか「ネタバレを気にせずに本国の最新作を楽しみたい」とか、どうしても原書でないと味わえない楽しみもある。自分も英語はほぼフィーリングでわかった気になっているだけなので、この問題は常に死活問題だ。なので今回はクソザコ英語ユーザーの僕が偏見まみれで「英語初心者のためのアメコミの選び方」をお伝

          英語初心者のための「原書アメコミの選び方」

          「グウェンプール」はギャグ漫画じゃない!

          ゲームとコミックが大好きなオタク少女のグウェンドリン・プールは、ひょんなことから次元転送装置を完成させてしまう。彼女が向かった先は大好きなコミックの中の世界、すなわちマーベル・ユニバース!毎週のように宇宙人や怪獣が襲ってくるこの世界で生き残るため、彼女は「いつ死んでもおかしくないモブキャラ」を脱出してスーパーヒーローになることを決意する!ピンクと白のスーツを纏った「グウェンプール」となった彼女は、自分の知識とコミック世界の「お約束」を使って真のマーベルヒーローを目指していく…

          「グウェンプール」はギャグ漫画じゃない!

          アスガルドの神が現代の政治に切り込む怪作「ヴォート・ロキ」

          アメリカの方で大統領選挙がかなり盛り上がっていますね。選挙自体は十一月なのに数ヶ月前から選挙の話題が上がるのは、やっぱり日本とは緊張感が違うんだなと実感する。こういう政治への姿勢は我々も見習わなければなと思う。 そんな日本でも数ヶ月前には東京都知事選挙が行われて大きな話題を呼んでいた。自分は都民ではないので遠くから眺める野次馬状態だったけど、今回の選挙は今までになかったような候補者が現れて(とりわけ漫画やアニメの「ポリコレ」を大きく取り上げる人が出てきてヒヤヒヤしたりしなが

          アスガルドの神が現代の政治に切り込む怪作「ヴォート・ロキ」

          マーベルは「ストレンジ・アカデミー」を救えるか

          大袈裟なタイトルだけど、今回は「ストレンジ・アカデミー」と、彼らの今後の話。 みなさんアメコミを読んでいて「新キャラクター」には惹かれるでしょうか?数十年前に生まれたキャラがいまだに看板を背負うマーベル・コミックスにおいて、すでにファンのついた古参キャラを押し除けて新キャラが市民権を得るのは非常に難しい。けれど、マイルス・モラレスにミズ・マーベル、グウェンプールといった成功例から分かるように、ハマれば数十年上の先輩キャラと肩を並べるブランドをたった数年で生み出すこともできる

          マーベルは「ストレンジ・アカデミー」を救えるか

          「アメコミビブリオバトル」に参加してみた

          6月22日、Zoomにて開催された第17回オンライン・アメコミビブリオバトルに参加した。 「ビブリオバトル」とは、参加者が決められた時間内で自身の持ち込んだ本を紹介し、観戦者の投票によってどの本が一番読みたくなったかを決めるという競技。これのアメコミ版こそがアメコミビブリオバトルというもの。自分はこの前偶然存在を知ったところ、これまた偶然開催日が今月だったので「アメコミ好きによるアメコミトークが聞けるなら行くしかない!」と観戦で参加させていただいた。 実際にZoomに入る

          「アメコミビブリオバトル」に参加してみた

          「アルティメット・インベージョン」のラストシーンの美しさを語りたい

          みなさん、新生アルティメット・ユニバースを楽しんでいるでしょうか?2000年代初頭、複雑化した物語から独立した世界観でもう一度マーベルヒーローの物語を一から描きなおし、数々の名作を産んだとされるアルティメット・コミックスというブランド。そんなコンセプトを現代に復活させ、既存のマーベル・ユニバースとも、旧アルティメット・ユニバースとも違った世界観で新たな物語を描きなおす新生アルティメット・ユニバース、始まったばかりの現時点でも多くの作品が高い評価を受けていて、TPB待ちの自分と

          「アルティメット・インベージョン」のラストシーンの美しさを語りたい

          偽りの歴史から生まれた新世代アベンジャー「ボイジャー」の話

          マーベル好き同士で集まった時に必ずと言ってもいいほど出る話題は間違いなく「一番好きなキャラは?」だと思う。しかし何十年もの歴史を持つ無数の作品から、無限のキャラが生まれてきたマーベル・コミックスの中で、一番のお気に入りを決めるのはそう簡単ではない。自分も好きなキャラはいっぱいいるけど、一番と言われるとかなり迷ってしまう。 でも「一番好きなアベンジャーは?」と聞かれたら、なんの迷いもなく答えることができる。今回はそんな自分のお気に入りアベンジャー「ボイジャー」の話。 彼女が

          偽りの歴史から生まれた新世代アベンジャー「ボイジャー」の話

          見た目は昭和、中身はニュージェネ?マーベル版「ウルトラマン」の魅力を語りたい

          みなさま、ウルトラマンはお好きでしょうか? ウルトラマンといえば言わずと知れた国民的特撮ヒーロー。つい先日も今年の新しいウルトラマンとして「ウルトラマンアーク」が発表されて話題になってましたね。 自分は子供の頃ウルトラマンを通らずに育ったので、ウルトラマン遍歴は正直かなり浅い。友人の勧めで「ウルトラマンZ」を見たのを皮切りに「ウルトラマンX」を見て、去年は「ウルトラマンブレーザー」に激ハマりしてた。映画だと「大怪獣バトル」「ベリアル銀河帝国」「ウルトラマンサーガ」でゼロを

          見た目は昭和、中身はニュージェネ?マーベル版「ウルトラマン」の魅力を語りたい

          道は大人と違えど、志はアベンジャーズ「ヤング・アベンジャーズ(2005)」

          スーパーヒーローと子供には、切っても切れないつながりがある。 日本でも、古くは江戸川乱歩著の小説「怪人二十面相」で主人公の明智小五郎と共に事件を解決する少年探偵団がいたり、特撮シリーズでは「ウルトラマン」の星野少年や「仮面ライダー」では少年仮面ライダー隊と、有名なヒーローもの作品では、主人公と共に活躍する子どもが登場することが多い。 マーベル・コミックスでも、リック・ジョーンズという青年がハルクやキャプテン・マーベルと共に活躍し、バッキーとしてキャプテン・アメリカと共に闘

          道は大人と違えど、志はアベンジャーズ「ヤング・アベンジャーズ(2005)」