- 運営しているクリエイター
記事一覧
「相談窓口を作ればいい」そう思っていた時期もありました
先進的な条例、でも相談は来ない突然ですがここで一つ、障害者配慮条例を作った時の失敗談にも近い感想を。
私が市役所へ入庁した2015年~2016年ころは、障害者差別解消法施行前夜の時期でした。ただ、法律自体は理念法に近いアバウトなものだったので、まじめに地域で障害者差別解消を実現しようとした自治体は、都道府県、あるいは市レベルで条例を制定する動きが活発化していました。
各地の障害者差別解消条例(長
ひきこもりの子に賃貸の家を残すには
と、いう相談を、市役所にいる頃に聞きました。
高齢の親と、60代の子どもが同居する「8050世帯」であれば、親が亡くなった瞬間に直面する、よくある問題です。
この点、よく誤解されているのですが、家を借りるときにつけた保証人は、賃借人が亡くなっても基本的には保証人のままです。家主と保証人との間の保証契約は、主債務者である賃借人の死亡によって当然終了する、わけではありません。ところが、この点を誤解した
「権利擁護」の意味(前半)
機種変のおかげで高い本をがんばって買った話
現在の部署に異動してからというもの、権利擁護という単語に正面からぶつかることが少なくなっていたのですが、ちょっと野暮用でまた関わりそうな気配になってきました。実務から離れると、とたんに自信がなくなってきたもので、さんざん悩みながら買ってしまいました。
たっ、高い。高すぎる。大人のお年玉価格ではないか。。サラリーマンは、書籍を購入しても経費にできないん
「私、民法で仕事できないんですよ、憲法で仕事するしかないんですよ」
おかげさまで
昨年、すったもんだして発行した拙著ですが、おかげさまで書店に並んでから1年を迎えました。この間、1回の重版を経て・・・そのあとどんだけ売れているのかわかりませんが、私の観測範囲におられる福祉職の方々は結構「買ったよ!」とおっしゃっていただけることに感動しております。多さ地裁の書籍売店にも、発売当初から3冊置いていただき、これも感動です。つい先日おそるおそる見にいったら1冊きちんと並
【祝☆重版】書かなかったこと、書きたいこと【メリクリ】
重版が決まりました
お久しぶりです。本業が忙しいくて、noteどころではなかった年末でした。
さて、今年6月に上梓した「相談支援の処「法」箋-福祉と法の連携でひらく10のケースー」が、発売から半年で重版が決まった、とのお知らせをいただきました~。よかったよかった。いいクリスマスプレゼントですね。
どこかに書評を書いてほしいな、とか、誰か書いてもらえないかな、と思いつつ、どういう伝手でどう依頼した
「おひとり様」が亡くなると大変なことになる
子どもが産めないと終活が気になるTwitterを眺めていたら、こんな記事が流れてきた。さまざまな事情の末、「産めない」という結論と向き合わざるを得ない日が来ることがある。私もそうだった。そんなときに襲ってくる葛藤…について語りだすと殺伐とするので、ここではやめておく。
やめておくが、ひとつこのコラムに強烈に共感したことがある。それは、こどもが産めないと確定すると、無性に終活に興味がわく、というこ
「断らない相談支援」の危険性
断らない相談支援の現場では、近隣住民から「迷惑行為」をする住民の相談が寄せられることがある。
① 近所の人が外で大声をあげている。病院に連れて行ってくれ。
② 隣の家の認知症の人が我が家の敷地に入ってくる。
③ 知的障害のある人が、うちの飲み屋の看板を壊した。
などである。このようなとき、相談員は、頭を悩ませながら本人の話を聞き、課題を見つけ、ご本人が地域社会で暮らせるよう、支援と見守りを続
虐待防止法の不思議な面会制限
はじめに
ここ数年、児童虐待の結果として亡くなる子どもの報道があとを絶たないため、児童虐待は、大きな社会の関心を集めている。しかし、虐待をしてはならないのは子どもに対してだけではない。高齢者・障害者に対しても同様であるし、そのための法律も存在する。子どもと同様、高齢者・障害者も、それぞれの虐待防止法にもとづいて行政権限で特別養護老人ホームや障害者支援施設等に分離保護することができる。その時、被害
感染症と情報開示~「安心」と「プライバシー」の間
最近は、毎日のように「○〇県で初の新型コロナウイルス感染者確認」という報道に接する。もうそろそろ感染者がいない都道府県が数えるほどになってきたのではないか。
そこで毎度思うのが、「感染者の情報って、どこまで公表するのが「是」なんだろう」ということ。このあたりの知見があるなら読んでみたいけど、医学論文になりそうな予感もしなくもない。基本的に私は「患者」なので、「患者としてどこまで公表されるとイヤか
嫌われる人たち(?)と法
「障害者の傷、介助者の痛み」ここ数週間のひきこもり生活の中で、「障害者の傷、介助者の痛み」(渡邊琢,生活書院)という本を読んでいた。これは、相模原障害者殺傷事件を契機に、障害者が地域で暮らすとはどういうことか、その検討材料として現実の地域で暮らす障害者のありようや、その介助者たちの生々しい日常を紹介する書である。筆者は、京都にあるJCIL(日本自立生活センター)の介助員として、長年重度障害者の介助
もっとみる感染者差別を防ぐために考えるべきこと(後編)
前編では感染者個人に関する情報の公表基準を整理することで、その後に続く感染者差別や誹謗中傷を減らせるのではないかという問題意識で書いてきた。今回は感染者個人ではなく、感染者にかかわる事業所名の公表について考えてみたい。
3 事業所名の公表感染が発生すると、感染が発生した場所や、感染者が立ち寄った先、感染者の勤務先など、その感染可能性のある期間に感染者と接触した事業所が多数発生する。しかし、「感染
感染者差別を防ぐために考えるべきこと(前編)
1 感染者差別を減らすには新型コロナウイルス感染症に起因する緊急事態宣言も、本日時点で、関東1都3県と北海道を除き解除され、いわゆる「第一波」が終わろうとしている。しかし、「第二波」は必ずやってくるとされているし、北海道などは今が「第二波」っぽいところもある。そうすると今は「小休止」の時期にあたるとみるべきなので、せっかくだから「第一波」の反省をしてみてはどうかと思う。個人的に、もうちょっと何とか
もっとみる