【祝☆重版】書かなかったこと、書きたいこと【メリクリ】
重版が決まりました
お久しぶりです。本業が忙しいくて、noteどころではなかった年末でした。
さて、今年6月に上梓した「相談支援の処「法」箋-福祉と法の連携でひらく10のケースー」が、発売から半年で重版が決まった、とのお知らせをいただきました~。よかったよかった。いいクリスマスプレゼントですね。
どこかに書評を書いてほしいな、とか、誰か書いてもらえないかな、と思いつつ、どういう伝手でどう依頼したらいい感じに紹介してもらえるのかわからず。それでもここまで売れたのは、ひとえに私とつながっていただいている皆さまのおかげです。まことにありがとうございます。
専門書で版を重ねること自体が実績だ、と言っていただいたりすると、これまで共著でも大した実績がなかった私の単著を快く本にしてくださった現代書館様には感謝しかないです。
また、福祉や法律の学生さんも手に取っていただき、感想も寄せていただいています。本書を読んで、法律の勉強では、趣旨から考えよ、と何度も言われるが、実務に就くとそれがより一層求められるということがわかった、という感想をいただき、そんなことを書いた覚えが全然なかった私が逆に驚いたりしました。この本を読んでその感想が出てくるセンスは素晴らしい、というのと、私は、そうは言っても福祉実践家というよりは法律家なんだろうな、と再発見したりしました。。
ひょっとすると、法学の学生にとっては、理論と実務の架橋的な位置づけても、本書は面白いのかもしれません。
書いておけばよかったこと
書いているときは「これが限界!」と思っていたものですが、出版してみると「あれも書けばよかった」「これも書けばよかった」というトピックがぽろぽろ出てきます。本を書く、って難しい。
たとえば「離婚」。
本書の内容の元ネタは、福祉系部局を渡り歩いていた時のことなので、意外と離婚の相談を正面から受けることは多くなかったのです。ところが、現在、精神保健の部署(保健所)にいると、夫婦関係の悪化や、他方配偶者からの離婚に向けたプレッシャーが原因でメンタルヘルスを悪化させ、希死念慮の原因になっているんじゃないか、という案件がそれなりにあることに気づきました。
ところが、離婚は、私人間のもめごとにすぎないので、そこまで相談員が深く突っ込むことはなかなか難しいところもあります。一方でそこのストレッサーをなんとかしないと、たぶん薬を飲んだだけではどうにもならんよねそれ。
というわけで、私が離婚相談を受ける際に常に持ち歩き、相談者と一緒にチェックしている「離婚の時に決めておくべきことチェックリスト」なんかの紹介とかやればよかったなぁ、と思っています。
なお、離婚は結婚以上にエネルギーが必要です。心身ともに不健康な状態では話をつけることができず、また話をつけないと心身の不健康が回復しない、という堂々巡りに陥ってしまいます。このため、離婚話で心身の不調を来たしている人を見つけたら、それはお金を払ってでも相手からのストレスの「盾」となる代理人(=弁護士)が必要、ということかもしれません。各地の高齢者・障害者専用相談や、自殺対策の法律相談の窓口を紹介してあげてください。
あと、保健所に行った方がケースに当たる頻度が多いような気がするのが介護保障の相談です。
保健所は難病患者のケースワークをやっているので、筋・神経難病の在宅患者に対する支援体制についてもストライクゾーンに入ってきます。しかも、難病患者の場合、40歳で介護保険サービスの支給対象に入ります。在宅生活を支えるヘルパーを派遣する根拠は、介護保険法なのか、障害者総合支援法なのか。介護保険サービスが一般的に適用される65歳から問題になるので、俗に「65歳問題」と呼ばれています。近時、裁判例が蓄積されている分野であるものの、そうした蓄積が、ケアマネジメントの現場の実務慣行まで落ちてくるにはまだ相当の時間が必要です。しかし、筋・神経難病患者を利用者とするケアマネジャーにとっては、必須の知識になるでしょう。これは本当に書いておいたらよかった、と残念な気持ちです。
これから書いてみたいこと
(仮題)保健と法でひらく「社会的処方」・・・的な
以上のようなテーマは、これからまた同じような執筆の機会に恵まれたら、書いてみたいです。「相談支援の処「法」箋ー保健と法でひらく「社会的処方」ー」みたいなやつですね。
適当ですね。
でも、単著は心臓に悪いことが嫌というほど解りました。中身が変だった時の責任を1人で負わなければなりません。こんなにしんどいとは思いませんでした。
また、内容の中立性を1人で担保しなければならないのが難しいのなんの。これでもだいぶ気を遣ったつもりでしたが、再読して、「クセ、強ぇえな」という部分が結構あるので、それも反省です。
福祉と法の連携の理想の形
出版社の現代書館様主催で、今年の8月に行ったオンラインイベントで、「困難事例と呼ばれるケースに、法の視点をあてるにはどうすればいいか」みたいな話になった時、こんな図を使って「これが理想だよねー」という話をしていました。
本書は、この「理想の介入点」で法律家を呼んでくることができるように、というイメージで書いているので、これを読んだだけで何かが解決するわけではありません(どーん)。
ただ、これはまだ私の「こういうタイミングで法律相談が聞けたらもっと効果的に連携できるだろうな」というイメージにすぎません。現時点で、このイメージをもとに自分の本業のやり方を試行錯誤している最中なので、「もっと詳しく」と言われても一人では説明できない段階です。
ただ、それこそ単著では無理なのですが、腕利きのソーシャルワーカーなどと深めながら、言語化する機会があったら面白うだろうなぁと思います。