【小説】小さな恋のうた
「カラオケで、歌ってる時に店員入ってくるとなんか気まずいよなー」
大学の講義室で、後ろの席から聞こえる使い古されたあるあるに、望月結海はへきへきとする。
カラオケ店でバイトをしている結海は、気まずそうに歌を中断したり、恥ずかしながらも歌い続ける客に、こちらも気まずさを感じているんだぞと伝えたくなる。
ただ、喋ったこともない、“イケてる感じ”の学生達に、そんなことを言えるはずはない。
もどかしい気持ちを抱えながら、カバンから次の講義で使用する教科書を取り出した。
大学での講義