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4月も後半になってきたからか、あんなに寒くて嫌だった夜風が、むしろ気持ち良く感じてくる…
会場に近づくと、『チケット譲ってください』と書かれたプレートを掲げる人たちが増えてきた…
「もう別にいいのに、お見舞いなんて」 千歳さんが、ベッドの横に吊るしてあるリモコンを操…
「サミー、おかえり」 リビングに小さな光が灯り、2秒ほどの間が空いてから無機質な声が部屋…
「ごめん、待った?」 肩上の長さで揃えられた髪を揺らしながら、春香が僕の元へ小走りでや…
そう遠くない昔、三陸のとある山麓に、よしゆき村と呼ばれる村があった。 正式な村名は他…
目が覚めると、見知らぬ部屋の見知らぬ布団に包まっていた。 起きあがろうとすると、「起きたよ」「まじ?」「なんか言ってる?」「てか一気に老けたよね」といった複数の声が聞こえる。 あたりを見渡すと、若い女性が20人ほど、私に好奇の目を向けていた。その女性達は年齢はバラバラで、一番小さい子はハイハイをしている幼児だった。 その奇妙な状況に一気に目が覚め、立ち上がり布団を剥ごうと少し捲ると、布団の中で自分が服を着ていないことに気付き、慌てて布団に包まる。 「え、裸?」「マ
春になると僕のベッドからは、病院の入り口のところに咲いている桜を見ることができる。この…
傘に当たる雨音が、どんどん大きくなってくる。 耳を塞ぎたくなるほどに煩いけれど、傘と…
学校へ向かう電車に乗りながら、スマートフォンを操作しLINEの友達リストを一通り確認する。…
「あ、ポリメリアンだ。かわいー」 見慣れた道を歩きながら、ちぎれんばかりに尻尾を振るポ…
ギュシューッと大袈裟な音を立てながら、電車が止まる。 こんなご時世もあってか、この駅…
それは火曜日の朝。 いつもより早く目覚めてしまい、頭を目覚めさせるためにコーヒーを胃…
「希ちゃん、明日以降の業務の引き継ぎ資料送っておいたから、目通しておいてね」 隣の席に座る希が、驚いたような表情を見せる。 「あ、ひとみさん、明日お休みでしたっけ?」 「そ。明日から1週間休み」 「そうなんですねー。旅行ですか?」 「うん。北海道にね」 「へーいいですね。彼氏さんとですか?」 「や、1人。別れたんだよね、この前」 『彼氏』という、自分から発した言葉にふと懐かしさを感じる。 この前と答えたが、恋人であった俊介と別れたのは今から3ヶ月も前の