肥満成人における最適な運動のタイミングとは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
肥満成人における中等度から強度の身体活動のタイミングと死亡率、心血管疾患および細小血管疾患
[背景・目的] 肥満および肥満と2型糖尿病(T2D)のサブセットを有する成人において,有酸素性中等度~強度の身体活動(MVPA)のタイミングと心血管疾患(CVD),細小血管疾患(MVD),全死亡リスクとの関連を評価すること。
[方法] 研究デザインと方法:参加者は、UK Biobank加速度測定サブスタディの肥満(BMI≧30kg/m2)およびT2Dを有する成人のサブセット。有酸素性MVPAは、連続3分以上のMVPAと定義した。参加者は、有酸素性MVPAの大半を実施した時間に基づいて、午前、午後、または夜間のMVPAに分類された。参照群には、有酸素性MVPAが1日平均1回未満の参加者を含めた。解析は、確立された交絡因子および潜在的交絡因子で調整した。具体的には、運動のタイミングを朝(06:00から12:00)、午後(12:00から18:00)、夜(18:00から24:00)の3つに分けて、各タイミングでの運動が総死亡率、CVD、およびMVDに与える影響をハザード比(HR)と信頼区間(CI)で比較した。
[結果] コアサンプルには、平均年齢62.2歳(SD 7.7歳)の肥満成人29,836人が含まれた。平均追跡期間7.9年(SD 0.8)において、死亡1,425例、CVDイベント3,980例、MVDイベント2,162例が発生した。
■ 朝の運動 (Morning MVPA)
・総死亡率: HR = 0.67 (95% CI: 0.56, 0.79)
・心血管疾患: HR = 0.83 (95% CI: 0.76, 0.91)
・代謝性疾患: HR = 0.79 (95% CI: 0.70, 0.89)
■ 昼の運動 (Afternoon MVPA):
・総死亡率: HR = 0.60 (95% CI: 0.51, 0.71)
・心血管疾患: HR = 0.84 (95% CI: 0.77, 0.91)
・代謝性疾患: HR = 0.84 (95% CI: 0.75, 0.93)
■ 夜の運動 (Evening MVPA):
・総死亡率: HR = 0.39 (95% CI: 0.27, 0.55)
・心血管疾患: HR = 0.64 (95% CI: 0.54, 0.75)
・代謝性疾患: HR = 0.76 (95% CI: 0.63, 0.92)
夜の運動は、他の時間帯に比べてハザード比が最も低かった。
[結論] 夜に行われた有酸素性MVPAは、死亡率、CVD、MVDの最も低いリスクと関連していた。これらのデータから、夜に運動を行うことが総死亡率および心血管疾患に対して最も有益であることが示唆された。身体活動のタイミングは、将来の肥満およびT2D管理において役割を果たすかもしれない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
同じ運動をしたとしても、時間によって効果の大小が変わってくるなら、それは効果的な時間に行いたいものだ。
今回の抄読研究は、肥満者を対象として、死亡リスク、疾患リスク低下に有益な運動時間帯を明らかにしてくれた。
そして明らかになったこととして、どうやら「夜」が望ましいらしい。
僕自身のことで言えば、午前にも午後にも有酸素トレーニング(通勤;自転車)を行っているので、さして考慮することは少ない。
だが、例えば疾患リスクの改善を目的としている肥満者が、朝だけにトレーニングをしている場合には、検討に値することかもしれない。
僕たちは、時間の使い方を工夫することによって、自分を素晴らしい存在に変えることができる、かもしれない。
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