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睡眠時間 × 疾患リスク


📖 文献情報 と 抄録和訳

All of Us研究プログラムにおける、市販のウェアラブル機器による長期モニタリングで測定した睡眠パターンと慢性疾患リスク

📕Zheng, Neil S., et al. "Sleep patterns and risk of chronic disease as measured by long-term monitoring with commercial wearable devices in the All of Us Research Program." Nature Medicine (2024): 1-9. https://doi.org/10.1038/s41591-024-03155-8
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[背景・目的] 睡眠の健康不良は、全死因死亡率の増加や多くの慢性疾患の発症と関連している。これまでの研究では、横断的、自己報告的な調査データや睡眠ポリグラフに依存しており、データの粒度、サンプルサイズ、縦断的な情報に関して限界があった。

[方法-結果] ここでは、All of Us Research Programの電子健康記録データとリンクさせた、市販のウェアラブルデバイスによる客観的に測定された縦断的な睡眠データを用いて、睡眠段階、睡眠時間、規則性を含む睡眠パターンが慢性疾患の罹患率と関連していることを示す。本研究に参加した6,785人のうち、71%が女性、84%が白人と自認し、71%が大卒であった。年齢中央値は50.2歳(四分位範囲=35.7、61.5)、睡眠モニタリング期間中央値は4.5年(2.5、6.5)であった。その結果、急速眼球運動睡眠と深い睡眠は心房細動の発症オッズと逆相関し、睡眠不規則性の増加は肥満、高脂血症、高血圧、大うつ病性障害、全般性不安障害の発症オッズ増加と関連することがわかった。さらに、1日の平均睡眠時間と高血圧、大うつ病性障害、全般性不安障害との間にJ字型の関連が観察された。

■ 睡眠時間 × 疾患リスク
・1日の平均睡眠時間と高血圧(非線形性のP = 0.003)、大うつ病性障害(P < 0.001)、全般性不安障害(P < 0.001)の間には、有意な非線形J字型の関係が確認された。
・1日の平均睡眠時間の中央値(6.8時間)と比較して、1日の平均睡眠時間が5時間の参加者は、高血圧のリスクが29%増加し(HR = 1.29; 95% CI = 1.09-1.54)大うつ病性障害のリスクが64%増加し(1.64; 1.27-2.12)全般性不安障害のリスクが46%増加した(1.46; 1.16-1.83)。
・1日の平均睡眠時間が10時間の参加者は、高血圧のリスクが61%増加し(1.61;1.01-2.58)大うつ病性障害のリスクが163%増加し(2.63;1.31-5.31)全般性不安障害のリスクが130%増加した(2.30;1.27-4.17)

[結論] これらの知見は、睡眠段階、睡眠時間、規則性がすべて慢性疾患の発症に関連する重要な因子であることを示しており、健康的な睡眠習慣に関するエビデンスに基づく推奨に役立つ可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「睡眠時間って、結局のところ何時間くらいがいいの?多いほどいいの?」

睡眠時間の最善解については、なかなかはっきりしたところを掴むところが難しい。
今回抄読した研究は、この部分に関して比較的はっきりとした解『6.8時間』を与えてくれた。
この睡眠時間より、少なくても、多くても疾患リスクは大きくなる。
特に、睡眠時間が多すぎることは、各種疾患リスクを大きく高めるという結果だった。

もちろん、個人差はあるだろうから、まずは6.8時間あたりから始めて、自分の体調を顧みながら徐々に調整していくと良いかもしれない。
そして、この研究でも、過去の文献抄読でも学んだことだが、睡眠量だけではなく、睡眠時間の規則性が大切になることは肝に銘じておきたい。

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