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かわいい人にかわいいと言うのは、僕としては結構ありえない

かわいい人にかわいいと言うのは、僕としては結構ありえない

(このエッセイは微妙にではありますが前回のエッセイと繋がっています)

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 移動教室の夜は、どうして好きな人の話になるんだろう。
 中2のときもそうだった。僕は口を割らなかったが、2つ隣の布団で寝ていた同級生は僕と同じ人を好きだと言った。彼は騒がしくもなければ静かでもない、嫌われてはいないがモテてもいない、つまりは普通の中学生だった。
 会話はヒソヒソと続き、就寝時間を軽くすぎた頃、

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2020年を思い返して

noteを始めましたヒャダインです。
このタイミングでnoteを始めました。
12月27日夜からインターネットを一切見ない
「ネット断食」をやっておりまして、
特に始めて24時間は禁断症状がエグくて
いかに自分がスマホ中毒になっているかを思い知ったと同時に
ネット、特にSNSを見ない生活は本当に充実していて
心の健康がみるみる良くなった印象です。
(皆さんもぜひやってみてほしい。自分の中毒っぷりに

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ひとり遊びに花の装い

ひとり遊びに花の装い

 平成の終わった年の冬、京都の繁華街にある店でのことでした。そこは酸味が爽やかなコーヒーを飲ませてくれるカフェとして知られているのですが、陽が傾き始めるとウィスキーを頼む客が増えてきて、夜にもなれば当時でもすでに珍しかった全席喫煙可のバーになる店でして、間口が狭くて見つけにくいし、夕暮れになると、周囲にある敷居の高めな老舗に灯が入ることから、賑やかな人たちが少し離れた別の界隈に流れていくので、遅い

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はじめの話 #note01

はじめの話 #note01

猫って都合の良いもので、嫌な記憶を覚えないように脳みそができているらしいですね。

しかし私は人間に生まれたもので、猫のように愛らしくもなければ、嫌なことを忘れられる脳みその作りにはなっていません。

それどころか完璧主義的な神経質さで、幼少期から今日までの人生の中で、人さまからすれば些末な失敗や、誰も気に留めてすらいない失言まで毎日繰り返し後悔しては明日を生きられるだろうか。なんて不安に思いなが

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コピー機と私

コピー機と私

新しい機種にも関わらず以前のリソグラフより印刷速度が格段に落ちたコピー機を2台動かしながら、蒸れた空気の滞留する狭苦しい印刷室でこうして仕事をするのもあと何回かなあと考えた。事務職新人の仕事は書類整理と印刷作業から始まるので、いつ籠もっても、印刷室は初心に返る場所のような気がする。頼まれたものを規定通りに印刷する、だけ、と言葉では簡単に言えるが、印刷の手際と心配りでその人の能力はある程度透けて見え

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私の生涯の友達はきっと音楽だと思う

私の生涯の友達はきっと音楽だと思う

音楽に関わる すべての皆さまへ

感謝の気持ちを込めて

〈全8ページ〉

最後まで お読みいただき

ありがとうございました

感傷なんてもんじゃないけど

え?意外。二人は結婚するんだと思ってた。

午前二時、どこからか降ってきた声に抗うように、ニラを切る。ニラを切るのに必要ないくらいの力を込めて。ざく、ざく、ひとつに束ねられていても、ほら、いずれはバラバラじゃない。結局そうなんだよ。
ニラを切り終えて、玉葱の皮を剥く。鼻の奥がツンとする。持っているエネルギー全てを包丁を持つ右手に集中させて、玉葱を切る。ざく、ざく、五回ほど包丁をおろしたところでじわ

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上階の住民の騒音をサンバカーニバルにするためにタンバリンを買った話

上階の住民の騒音をサンバカーニバルにするためにタンバリンを買った話

今の部屋に引っ越してきて3ヶ月。
最初はたまたまかな、と思っていたものが徐々に疑念を生み、そして確信に変わるのに2週間はかからなかった。

ドンドン!!!ドンドドドンドン!!

(おっ今日も始まったな。上の階の人は一体毎日なにやってんだろうな。)
夜23時ごろから午前1時頃まで上階の住民がとにかく床を打ち鳴らして暴れ始めるんですよね。

正直騒音に対してはかなり寛容なので夜中に騒いでいようが床を打

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うちの子のパンツ、知りませんか?

うちの子のパンツ、知りませんか?

ある日、お風呂に行く前に息子のズボンを下ろすと、見知らぬパンツがそこにはあった。

パンツが違う真っ黒いボクサーブリーフのそのパンツは、見たこともないシロモノだった。

わずか4歳にして、
パンツを脱いで、違う人のパンツを履いてくる状況を体験してきた我が子。

もし、妻と夫の関係なら、これは間違いなく浮気の証拠である。

私と息子は婚姻関係を結んでいるわけでは無いが、他人のパンツを平然と履いてくる

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自分が分からなくなった時、本を読みまくれば自分の立ち位置が決まる。

自分が分からなくなった時、本を読みまくれば自分の立ち位置が決まる。

人間は頭の悪い生き物で、生きていると何故か自分のことなのに、自分のことが分からなくなったりすることがある。
少なくともおれは自分のことが分からなくなってしまったことがあった。

この「自分が分からなくなる」という言葉は誰もが聞いたことはあると思うが、実在感を持って理解している人は少ないのかもしれない。
実際にそうなってみないと、どういうことなのかさっぱり分からないのだ。

おれは自分が分からなくな

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いつか宇宙の藻屑になることを夢見ていた。

いつか宇宙の藻屑になることを夢見ていた。

「宇宙の藻屑になりたい。」

そうつぶやくと、親しい人たちはきまって、何言ってるの、と笑う。
ははは、いや、本当に、と言っても、ほとんど本気にしてもらえない。

でもそれでいい。この感情はやはり、わたしだけの特別なものなのだと再認識し、そのたび、胸の中には静かな海が広がる。

幼い頃から漠然と、宇宙や星というものに心惹かれていた。

中学の天体の授業は苦手だったし、天文部に入っていたわけでもない。

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