グッバイ、下北沢。他人と暮らした335日のこと。
あの日はたしかやけに晴れていて、引越しをすでに終えているとは思えない量の荷物を両手に坂を下ると、汗をかくほどに暑かった。
ただでさえ夜明けまで飲んでしまって寝不足な上に、薄い寝袋で仮眠をとったせいで全身が痛む。さらにそこに季節外れの暑さと荷物の重さは、かなり堪えた。
よく足を運んだ「古書ビビビ」の横でふうと一息をつき、恋人と待ち合わせ。ここで落ち合うのも最後、これからは毎日同じ家に帰ることになる。わたしのお気に入りだったタイ料理屋さんで一緒にグリーンカレーを食べ、まだ明る