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青春の後ろ姿#25 〜20代は、清志郎と、バイクと、文学以外に何もありませんでした〜源氏物語1

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 『源氏物語』を読む時に使っていた書籍(本文および注釈本。現代注)です。
 新大系本と新全集本が1冊ずつしかありません。ちょうど刊行され始めた頃に教員沼にハマり始めていた頃だということを物語っています。
 20代の終わり。
 バイクを降り、ライブに行かなくなり、原宿のホコ天から足が遠のきはじめ、同じ源氏を開くのでも主に文法や語義を気にし始め、現代思想全般の本たちより入試過去問ばかり読み解くようになり、そういう変化をスノビズムだと強い違和感や抵抗を感じながらも、毎日いろいろやらかしてくれる生徒たちに夢中になっていきました。
 押し引きもわからない、押しつけることが教えることだと勘違いしているようなぺーぺーの教員の言うことなんか生徒が聞くわけありません。生徒たちに負けたくなくてムキになればなるほど夢中になっていきました。「教育」を意識し考え始めたのはずっと後からです。
 ですから、真摯に教職を志す多くの方々が聞いたら「教員の資格なし!」「ふざけるな!」と誹りを受けて当然かと思います。実際、今この年になって、若手の先生方を見ていると、本当に真面目に誠実に教員という仕事と向き合っているように見えます。彼らの多くは、私が文学や現代思想に対してだけは真摯でいたのと同じように、「先生を目指して真摯に努力し、教育について考え、先生を勝ち穫った若者たち」です。「生活のために始めて、流れで先生にたどりついた者」ではありません。スキルも未熟でメンタルも弱く要領を得ない、でも真面目で誠実です。
 30才を目前にしていた頃、私は周りの先生方に対して、また、何よりそれまでの自分自身に対して、後ろめたさや罪悪感を持っていました。そしてそれをずっと持ちながらここまでやってきました。ただ、その後ろめたさや罪悪感が、教員としての自分の原動力になってきました。
 一冊きりで終わった新大系本と新全集本の『源氏物語』を見ると、胸の奥の奥の、もっと奥の何かあたたかくせつないものがうずいて、思い出ぽろぽろ涙ぽろぽろこぼれ落ちます。
 もし、この先新大系本と新全集本の『源氏物語 二』以降を買いそろえるときがあるとすれば──。いや、それはないかな。終わらせないままの方がいい気がします。

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