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愛着障害になる?ならない?|6つの代表例による解説

「母親に知的な問題がある場合、その子どもは愛着障害になる」これが愛着臨床の原則です。ここを外さないように、さまざまなバリエーションや条件の変更などを加えて真実に迫っていくのが臨床といえます。今回は、そのバリエーションの一部を紹介しましょう。これですべてではありません。

・母親不在や母親がおかしくて母親と愛着が築けなかった場合、父親か祖父母など他の養育者と愛着を築けますか?途中で母親がいなくなった子どもはどうなりますか?

・発達障害の親に育てられた子どもの愛着はどうなりますか?親自身が発達障害を認識していて、子どもに不都合がないようにちゃんと育てられたケースは除きます。

高間しのぶの質問箱より

【お返事】これらのことを考えるにはかなり細かな場合分けが必要になります。今回はできるだけ多くの場合分けを考えて解説します。ただ子どもが育った環境もさまざまですので、実際にはもっと細かな区分わけが必要でしょう。心理職の方が見立てを立てる上での「原則論」として参考にしてください。

というわけで、この記事は専門家向けになります。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■母親が不在の場合

  • 出産直後に母親と死別した場合は、ほかの養育者を愛着対象として愛着を築く

出産直後をどのくらいの期間とみるのかは検討する必要があります。これは〇ヶ月と限定できるものではありません。

子どもがどの程度の愛着を母親と築けたのかによって異なるからです。母親が死別した時期の限定も必要ですが、それ以上に、子どものその後の成長の過程から客観的に評価していく必要があるでしょう。子どもが順調そうなら、実母との愛着は形成されていたとみれるでしょう。

また、母親に代わって養育者となった他の人が、愛着形成能力に問題がなければ子どもの愛着は形成されます。能力に問題があった場合は愛着形成が難しくなります。

ただ後者の場合でも、サポートがあるのとないのとでは子どもの愛着欠損度が異なってくるでしょう。たとえば能力に問題のある父親が養育者となった場合でも、その祖父母がサポートに回っていると欠損度は緩和される場合もあるでしょう。

  • 母親と途中(学童期以降)で死別した場合は、愛着形成は成されている

  • 母親と途中で死別して、継母に虐待される場合は、次のnote記事を参考にしてください。

親による虐待が小学生の頃から始まった場合、子どもは愛着障害になるのか?

ざっと記事を振り返っておくと、継母が子どもを虐待している場合、子どもは無数の心的外傷を受けることになります。このため乳幼児のときにつちかった基本的信頼感も損傷を受けることになります。定着していた安全感に無数の亀裂が入って、恐怖感情が吹きだすことになります。結果、愛着障害と診断されるか、複雑性PTSDの診断がなされる可能性があります。

※これまでのケースは、母親が途中で不在になることを想定しました。
母親が不在ではない場合は、子どもは母親を養育者と認定します。どんなに父親や祖父母が良い人でも、彼らは養育者ではありません。子どもは(問題のある)母親を養育者として育つため、愛着障害を発症してしまいます。

■母親がいる場合

父親や祖父母が普通の人だったとしても、子どもは母親を養育者として認定しているので、母親の虐待によって愛着障害になります。ただ程度は軽くすむ場合もあります。
また脱抑制型対人交流障害になることが多いように感じます(高間の試論)。

  • 母親が重篤な精神疾患や脳機能の問題がある場合は、子どもの愛着は形成されにくい

虐待への対応を視野に入れる必要があるでしょう。この重篤な精神疾患がどの程度のものであるかの査定も重要です。

たとえば陽性症状が一つもないのに陰性症状だけで統合失調症と診断されているときがあります。この場合は自閉圏なのに統合失調症と誤診されている場合もあり得るので注意が必要です。発達障害の場合は、次を参考にしてください。

  • 母親に発達障害があり知能が正常領域(MRなしのASD)なら、子どもの愛着は形成されるときもある

ただASDレベルが強い場合はその限りではありません。子どもの愛着形成が阻害される場合があります。臨床的にみると、ASDの度合いというのも重要なんですね。どんなに知能が正常でも愛着形成阻害になるパターンが少なからずあります。あまりに対応がズレている場合は、子どもの愛着形成が阻害されます。こちらは、虐待への対応を視野に入れる必要があります。

※愛着形成された場合でも、子どもは愛着障害二世っぽいふるまい(愛着障害のようなふるまい)になる場合もあります。

この「あまりにズレている場合」については言語化が難しいところです(高間の限界💦)。日々の臨床でASDの人々と出会う中で臨床の勘どころをつかむようにしてください。一筋縄ではいかず多くの臨床例に当たる必要があるでしょう。

親が自分の発達障害を認識していても、自然と対応が普通とは違ってしまうのが発達障害です。質問者さんの想定しているような、不都合がないように育てるということは難しくなるでしょう。理論上の場合分けとしては考えられますが、実際にはお会いしたことは少ないです。

  • 母親がその他の発達障害(ADHD, LDなど)の場合、愛着は形成されるときも、されないときもある

ADHDやLDなどは境界知能域以下のケースも少なくありません。そのため子どもの愛着が形成されないことも多いです。

知能が普通域以上であるなら愛着は形成されるともいえますが、実は、DMS-5では知的能力障害は知能指数だけでは決定できなくなりました。そのため、知能指数が普通域でも知的能力障害の可能性も捨てきれなくなったという複雑な背景もあります。

これは今後の愛着障害の課題になっていくでしょう。

■まとめ

  • 出産直後に母親と死別した場合、他の養育者を愛着対象にする

  • 学童期以降で母親と死別した場合、愛着は形成されている

  • 母親と死別して継母に虐待された場合、複雑性PTSDになる可能性がある

  • 母親が重篤な精神疾患、知的な問題がある場合、愛着は形成されにくい

  • 母親が正常知能のASDの場合、子どもの愛着は形成されるときもある。あまりにASD傾向が強いと形成されない。

  • 母親がその他の発達障害の場合、愛着は形成されるときも、されないときもある

□デパスとツボ消滅|ラジオおやすみカフェ

今日のラジオおやすみカフェのテーマは…抗不安薬(デパス)や抗うつ薬(サインバルタ)によってツボが消滅するという怖~いお話。詳細はラジオをお聴きください。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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