3大栄養素の代謝①|糖代謝
こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。
今回は【糖代謝】の話をします。
いきなり冒頭から読む気を無くすことを先に申し上げてしまいます。
代謝の話って難しくて嫌煙されがちなんです。だから多くの人がスルーしてきているはずです。
だからこそあえてここで触れます。全部分からなくてOKで、ちょっとでもわかって頂ければ十分でございます。
昨日、こんな投稿をいたしました。
今回はその中でも糖質の代謝についてお伝えしていくことにいたします。
○復習から(糖質の消化吸収)
ざっくりいうと、糖質とは「炭素と水素と酸素がくっついた有機化合物」で体内で消化されるものです。
大きさで分類されていて、単糖類・二糖類・少糖類・多糖類とされています。
例えばお米を食べると、お米に含まれているでんぷん(多糖類)は、唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼによってオリゴ糖に、十二指腸で膵液に含まれるアミラーゼでマルトースに、小腸内でマルターゼによってグルコースになって吸収されていきます。
糖質の主な働きはエネルギー源となることです。血中に入ったグルコースはどのようにしてエネルギー代謝されていくのかをみていきます。
○エネルギーの単位
先にこれだけはお伝えしておかないといけません。
「エネルギー」というものを見たことがある人はないと思います。アニメや漫画の世界ではよくある話(例えばドラゴンボールのかめはめ波)ですが、実際にはあり得ない話です。
ただ、エネルギーは私たち人間の生きる力であることは間違いないし、人間の体の中ではエネルギーを運んでいたり利用したりしていることは間違いないでしょう。
では、身体の中でエネルギーはどんな形になっているのかというと
【ATP(アデノシン三リン酸)】
という形で保存されています。まずはこれが「何やねん」というところをお伝えいたします。
●ATP(アデンシン三リン酸)
ATPはリボース、アデニン、リン酸の3つの構成要素からできています。
リボースは糖の一種で炭素を5個もっている五単糖です。
アデニンはプリン骨格を持った核酸塩基のひとつで、リボースとアデニンがN-グリコシド結合により結合したものがアデノシンです。
このアデノシンにリン酸エステル結合によりリン酸基が3つ結合したものがATP(アデノシン三リン酸)です。
では、この構造のどこにエネルギーがあるか?という話になってきますが、この3つのリン酸基同士の結合(高エネルギーリン酸結合)部分にエネルギーが蓄えられています。
リン酸無水結合はエネルギー的に不安定であり、加水分解反応や他の分子にリン酸基が転移する反応によって3つあるリン酸分子のうち1つが切り離される反応に伴い、蓄えられていたエネルギーが放出され、活動に必要なエネルギーが供給されるというわけです。この時に出来たものはADP(アデノシン二リン酸)です。
というわけで、糖代謝とは何かというと「糖(グルコース)を使ってATPを生成すること」です。具体的に見ていくことにしましょう。
○3つの代謝経路
ここがややこしくて難しいところなのですが、管理栄養士試験で問われるような難しい経路の説明は全部省いて、必要なところのみピックアップとしていきます。
糖質代謝には3つの経路があります。
・解糖系
・クエン酸回路
・電子伝達系
です。順番がありますので①〜③ということで説明していきます。
① 解糖系
糖を分解してエネルギー(ATP)を生成するので、解糖系と覚えましょう。細胞質基質という場所で行われます。
ここで生成されるのは、グルコース1分子に対して
・2つのATP
・2つのNADH
・2つのピルビン酸
です。
解糖系そのものには酸素は不要のため無酸素系(嫌気系)とも呼ばれますが、酸素の有無によって最終生成物に違いがあります。
酸素があれば(好気系)ピルビン酸はミトコンドリアに取り込まれ、クエン酸回路に入っていきます。酸素が不足していればピルビン酸は乳酸に変化します。
② クエン酸回路
ミトコンドリアのマトリクスで行われます。
解糖系で作られたピルビン酸はここで活性酢酸(アセチルCoA)に変化します。この過程でNADHが1つ出来ます。
活性酢酸はミトコンドリア内にあったオキサロ酢酸とくっついてクエン酸になります。このあと、色んなものに変化しまして(α-ゲトグルタル酸やコハク酸など)最終的にオキサロ酢酸になります。これがずっとぐるぐる回っているからクエン酸回路と呼ばれています。
ここで生成されるのは1つのピルビン酸(→活性酢酸)に対して
・1つのATP
・3つのNADH
・1つのFADH2
です。ただし、解糖系では1つのグルコースに対して2つのピルビン酸が生成されるので、上の数字の2倍が生成されます。
また、クエン酸回路における代謝の副産物として二酸化炭素が発生します。
ちなみに、クエン酸回路と次にお伝えする電子伝達系でエネルギー生成が行われる際には必ず「酸素」が必要です。
③ 電子伝達系
ミトコンドリアの内膜にて行われます。
ここでは解糖系やクエン酸回路で作られたNADHやFADH2が使われます。
NADHやFADH2は、ミトコンドリア内膜に入ると水素イオン(H+)と電子(-)を切り離します。
e-が内膜の中を流れる際に発生したエネルギーによってH+が膜間腔に移動し、膜間腔に大量のH+溜まってきます。膜空間内のH+は離れ合う性質なのでまた壁を通りこして元に戻ろうとします。
(ここから説明がかなり強引になります)
元に戻ろうとするときに通る「関所」のようなものがあると考えます。そこには「ATP合成酵素」があって、そしてその付近には「ADP」と「リン酸」もあって、勢いよくH+が通過する際にADPとリン酸がくっついてATPが発生します。
….かなり強引な説明なのは重々承知ですが、イメージとしてはこんな感じでいいと思います。
1つのNADHから3つのATP、1つのFADH2から2つのATPが作られますので、今までの合計は…
<NADH>
解糖系:2つ、クエン酸回路:8つ=10つ→30ATP
<FADH2>
クエン酸回路:2つ=→4ATP
ということで電子伝達系では34ATPが生成されます。初見の人ならびっくりすると思います。解糖系、クエン酸回路と比べると数が圧倒的すぎるからです。
というわけでまとめていきます。
○まとめ
まずは身体の中ではATPという形でエネルギーが保存されると覚えましょう。身体の中でエネルギーが必要な場所で使われます。これは異化というものです。「エネルギーを出す」が異化でした。
エネルギーを放出するとATPはADPになります。これも知っておいて損はないです。
糖質は身体に入ると消化酵素の働きによって単糖類であるグルコースにまで分解されて血中に入り各組織に運ばれていきます。
1つのグルコースから合計で38ATPが作られますが
解糖系:2ATP
ミトコンドリア系:36ATP
ということで、解糖系とミトコンドリア系では18倍ものエネルギー生成効率の差があります。
最後にこの2つの違いをまとめて終わりにします。
●解糖系の特徴
瞬時に作られ、パワーを発揮し、消費されます。これはミトコンドリア系の100倍のスピードで作られます。瞬発力を必要とされる行動や突発的な危機から身を守るときや、細胞分裂に使われます。
また、持続力に欠ける。エネルギーの生成過程で乳酸が生じるからです。そして、低体温(深部体温で 32℃)、低酸素という条件下で活発に働きます。
●ミトコンドリア系の特徴
十分な酸素と37℃前後の高い体温(深部体温では37℃~39℃)で活性化し、持久力に必要なエネルギーを作ったり、たんぱく質を合成するエネルギーを供給しています。
エネルギー生成効率が高いですが、生成速度は遅いです。1つのグルコースから解糖系の18倍のエネルギーを作り出します。解糖系エネルギーだけでは、細胞はすぐにエネルギー不足に陥ります。ミトコンドリアがエネルギーを供給して持続力を維持することで、安定した生命活動を営むことができます。
細胞分裂を抑制する遺伝子を持っています。ミトコンドリアが多いのは、脳神経細胞や心筋、赤筋、卵子、肝臓の細胞です。絶え間なくエネルギーが補給されるおかげで、心筋のように休むことができない細胞も働き続けることができます。
そうか、そうか、ミトコンドリアが正常に働くことってめっちゃ大事なんだなってことだけでも何となくイメージして頂けると嬉しいです。
ミトコンドリアでエネルギーを生成するためには何が必要なのか?
そうか、酸素が必要なのか。
身体の中で低酸素状態になるときはどういうときだ?そうか、血液の流れが悪くなったときだ、呼吸が浅くなったときか。
どういう時に血流が悪くなるのか?そうか、アドレナリンが出て闘争or逃走モードになっている時か、または自律神経が乱れてしまっている時か。
それってすなわちどんな時だ?
【過度にストレスがかかっている時なんだ】となるわけです。
最後のところで、前者の場合は一時的なのであまり大きな問題にはなりません。ただし、自律神経が乱れているようなことが慢性化してしまった場合には問題になります。
身体はミトコンドリアでエネルギー生成するより解糖系が優位な状態になっていきます。細胞分裂が促進されるということは、ある細胞が生まれやすいということにも繋がります。
それは「がん細胞」です。
遺伝も関係するのかもしれませんが、未だに死因の1位ががんだということは、日本がストレス社会である象徴だと思います。
というわけで今回はこれまで。
次回は脂質代謝の話をしていきます。