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Creation

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#創作

カッパのうた

カッパのうた

どこになにがありますか?

ぼくのせなかにはこうらがあります

とりはずしもできます

こうしてたたいて

おとをだすこともできます

カホンみたいだねって

きみがわらいます

だからうれしくて

ぼくはたくさんこうらをたたきます

リズムにあわせて

きみがうたうので

たのしくなって

このままときがとまればいいなって

おもいます

ゆびをみせたら

きみがおどろいて

ぼくといっしょだと

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クゥ

クゥ

ぼくの羽根は 
しろくて ふわふわしているでしょ
まだちいさい翼だけど 
5さいにしては りっぱだねって
みんながほめてくれるんだ

おとうさんの翼は おおきくて
ところどころに くろい羽根
はいいろの羽根 
しろい羽根 ちゃいろの羽根
いろんないろの羽根がまざっているけど
おおきくておおきくて 
かたくて りっぱだから
ぼくも おおきくなったら 
おとうさんの翼みたいに
かっこよくなりたいんだ

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さよならロザリオ 5

さよならロザリオ 5

「きょうはおねしょしなかったよ」
マキはエミリーにこっそりいいました。
エミリーはパチパチと2かいまばたきをしました。

おねしょをしない日は、ユミちゃんにめいわくがかかりません。
これからは、せんたくのお手つだいもしたいとおもいました。マキがおりこうさんにしていれば、みんなにもめいわくがかかりません。

お空をみれば、ママがわらっています。
だけど目をとじると、ママがないています。
ママが足をひ

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さよならロザリオ 4

さよならロザリオ 4

ナオが居なくなって一週間が過ぎた。

ナオと同じ部屋のミズキは先生に呼ばれ、ナオから何か聞いていないか、行き先に心当たりはないか聞かれた。

ミズキの知っているナオは、いつも冷静だった。不機嫌を顔に出したり、暗い顔をしていたこともなかった。かと言って、楽しそうにしている顔も、笑っている顔もあまり見たことがなかった。

なにかあったのかな。検討もつかず、ナオのことを思い浮かべながらも、ミズキの視線は

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さよならロザリオ 3

さよならロザリオ 3

決めた。

すべてからさようなら。

わたしのすべてを運命という名のカプセルに入れてしまうなら、自分から捨てに行けばいい。

ナオの心は大きな静けさを手に入れたように
冷静だった。

今朝の食堂での、ユミのブチ切れ事件。
ママに会いたいと泣き叫ぶユミの姿を見て、
あのハルでさえ、目を伏せ涙を堪えていたのがわかった。他の子もそうだった。
みんなの親を待つ気持ちが痛いほど伝わってきて、食器のぶつかる音

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さよならロザリオ 2

さよならロザリオ 2

洗濯機の前で三回目の洗濯物が回るのを、ユミはぼんやり眺め、朝の出来事を思い出し目を瞑った。

もうすぐ2年生になるというのに、いつまでも
おねしょが治らないマキに、またきつく当たってしまった。
マキだって、わざとおねしょをしているわけじゃないのもわかっている。
どもりながら、謝るマキにもイライラした。

いつまでもベッドの上でグズグズしているマキの腕と足をつねり、乱暴にシーツをはがした。
その反動

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さよならロザリオ 1

さよならロザリオ 1

ユウトが園を出て、坂道を下りていくのを
すべり台の上から見送った。

すべり台の上の一番高い所からは、
園から数十メートルはある坂道と出入口の門が
少しだけ見渡せた。

ユウトは、最後までわたしを探していた。
みんなとのお別れをし、シスターや先生方も涙を流す中、困ったような笑顔をみせていたユウトの目は、わたしを探していた。

市の決まりで、ユウトは中学になると
男子だけの養護施設に入らなくてはいけ

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とまらない 白

とまらない 白

僕はシャー芯を盗んだ。
この前は消しゴム、その前は修正テープ、
ワックス、ライター、炭酸水・・・
こんな物は欲しくない。
バイトで貯めたお金もある。
欲しかったわけではない。
必要だったわけでもない。

今日は小さなハサミも盗んだ。

だらけた気持ちのまま
調子か出るわけでもなく、
授業を受ける気にもなれず、
今日も屋上へ向かった。

屋上の隅の方で、寝転んで空を見上げた。
鳥、青、雲、そんな意識

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お母さん

お母さん

わたしの知っているお母さんは
美味しいご飯を作ってくれる
おやつにはパンケーキを
夜食にはおにぎりを
運動会にはおいなりさん
遠足の日はサンドイッチ
誕生日には大きなケーキを
クリスマスはご馳走を

いいな
いいな

わたしの知っているお母さんは
いつも心配してばかり
ハンカチ持った
ティシュも持って
喉が痛いの
風邪ひいたの
いっぱい食べて
あったかくして
大丈夫
大丈夫

いいな
いいな

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あなたは✖️✖️✖️✖️

あなたは✖️✖️✖️✖️

それはただの✖️✖️✖️で
ただの✖️✖️✖️に過ぎない
僕のこころには、刺さってもいないし
痛くもない
ただ砕いても砕ききれない小さな小石が
胸の奥のずっと奥の方で
ゆらゆらと浮かんでは消え
右に左にゆらゆら蠢くだけ

あなたは✖️✖️✖️✖️と、言われても
記憶もなければ
✖️✖️だって覚えてもいない
ただ、ぼんやりと
ああ、そうだったのかと
思うだけ
傷つきもしなければ
悲しくもない

✖️

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la la la la la

la la la la la

ここで立ってなさいという
あさまでここで立ってなさいという
あさまで あさまで

ああ、朝までか
月明かりに途方に暮れて
でたらめなメロディを口ずさむ

はりついた影を剥がし
バレリーナのように
踊れたら
ティンカーベルのように
空を飛べたら
自由に自由に
影を飛ばす
戻れなくてもかまわない
自由に自由に
ステップを踏む
足下が見えなくてもかまわない
踊って飛んで
くるくるまわって
扉を開けて

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