さよならロザリオ 5
「きょうはおねしょしなかったよ」
マキはエミリーにこっそりいいました。
エミリーはパチパチと2かいまばたきをしました。
おねしょをしない日は、ユミちゃんにめいわくがかかりません。
これからは、せんたくのお手つだいもしたいとおもいました。マキがおりこうさんにしていれば、みんなにもめいわくがかかりません。
お空をみれば、ママがわらっています。
だけど目をとじると、ママがないています。
ママが足をひきずっているすがたをおもいだします。かわいそうだな、いたいかな、かなしくなってマキのむねのおくがぎゅうっといたくなります。
ママの足のこと、いやだなっておもったこともあります。
マキはわるい子です。
そんなときはママのやさしいかおをおもいだします。
ママのわらったかおをおもいだします。
◇︎◇︎◇︎◇︎◇︎
ママハ カジデシンダ
マキがびょういんのベッドできいたことは
だれにもいいません。
おりこうさんにしていれば、ママがむかえにきてくれるってびょういんのせんせいが、いいました。
『マキヲ タスケルタメニ カジデシンダ』
おとなのひとのこえがしました。
『マキダケタスケテ マニアワナカッタンダネ』
おとなのひとのこえがしました。
マキはまだママのこえをきいていません。
だからだれにもいいません。
◇︎◇︎◇︎◇︎◇︎
フジタさんがえんていの、おちばのそうじをしています。
マキがあいさつをしても、フジタさんはふんといって、ちがうほうにいってしまいます。
みんなはフジタさんのことを、おさけくさい、きたない、こわいっていいました。
ほんとうはやさしいのに、どうしてみんなとおはなしをしてくれないんだろうとおもいました。
マキが木の上からおりれなくなったときも、じてんしゃでころんだときも、フジタさんがたすけてくれました。
フジタさんはおさけのにおいがしました。
フジタさんはおいのりのとき、しんぷさまから白いクッキーをもらいます。
とくべつだからです。
シスターも、えんちょう先生も白いクッキーを
アーメンといって、しずかにたべます。
マキもたべてみたいけど、わるい子なのでたべられません。
どんなあじがするのかフジタさんにきいてみようとおもいました。
ユミちゃんがかみのけをむすんでくれました。
いたいっていうとおこるので、マキはがまんしました。
マキがキライだからおこるんじゃなくて、かなしいからおこるんだとフジタさんがおしえてくれました。
みんながおこるのはかなしいからです。
かなしいときはむねのおくが、ぎゅうってくるしくなるのを、マキはしっています。
だからいつも、おこっているユミちゃんもえんちょう先生もくるしいです。
そのときは大きくてまっくろのオバケがくるので,マキはおいのりします。
どうかみんなをまもってください。
はやくあっちにいってください。
こころの中のママにおねがいします。
ママはしんでいないのに、いつもマキのこころの中にいて、へんなのっておもいます。
ママはマキにあいにきません。
マキが5さいになって6さいになって、7さいになってもママはマキをむかえにきません。
だけど、しんでいないからあいにきます。
ママはいつきますかってききません。
先生がかなしいかおをします。
えんちょう先生もおこります。
ハルちゃんがかみのけをなおしてくれました。
やさしくとかしてくれるので、いたくありません。
「どうして教室に入らないの?」
ハルちゃんが学校でみたよっていいました。
ハルちゃんにさんすうがわからないから
はやくちがうクラスになりたいっていいました。
ろうかのおくのクラスは先生がふたりいて、おともだちが3人います。
先生とおともだちはいつもいっしょです。
先生がおんぶをしたり、ボールやつみ木であそんでくれるのをしっています。
マキもはやくちがうクラスになりたいとおもいました。
ハルちゃんは「マキは大丈夫だよ、字だって勝手に覚えるし、算数もいつか勝手にできるようになるよ」って言いました。
いつかっていつなんだろうとおもいました。
かってにできるようになるって、大きくなるっていういみなのかな、マキはわかりませんでした。
みんなが大きくなって、マキも大きくなったら
ママはどこにいくんだろうとおもいました。
クリスマスのつぎの日、フジタさんがしにました。ゆきの中でしにました。
おさけをのみすぎてころんで,そのままあさになってしんでしまったんだとえんちょう先生がいいました。
きょうかいでみんななきました。
フジタさんをこわいっていっていたみんなも、なきました。
えんちょう先生もシスターもなきました。
フジタさんのかおは、へんな色をしていて
まぶたが大きくなっていました。
フジタさんに白いお花をあげると、なみだがでてきました。
こころの中で、フジタさんがいたくないように
くるしくないようにしてくださいとママにおねがいしました。
だけど、目をとじてもママのかおがみえませんでした。
ママはどこにいるの?
フジタさんはどこにいるの?
マキのまえには、フジタさんがいるのに
白いお花にかこまれていて、フジタさんがちがう人にみえました。
ーーやすらかにおねむりくださいーー
ーーフジタさんは天国にいきましたーー
しんぷさまとえんちょう先生がなきながら、フジタさんのことをヨセフとよびました。
はじめてきくなまえでした。
フジタさんは白いお花のにおいがしました。
天国ってどこなのかな
とおいところなのかな
ママは天国にいるのかな
天国ってどこにあるのかな
ママはマキのこころの中にいるのにへんなのっておもいました。
ママが天国にいったら
マキのこころの中からいなくなっちゃうの?
マキのせいでママはくるしいの?
ママ足いたい?もういたくない?
あついのかわいそうだから
いたいのかわいそうだから
マキのくびのところがぎゅうっとなりました。
目をとじてママのことをかんがえました。
おなじいろのママがいました。
おなじかおのママがいました。
ママのマキとよぶこえがしました。
ママのこえがしたのに
どこにもママはいませんでした。
お空をみてママをおもいだします。
わらったかおをおもいだします。
みんなをまもってください
おねがいします
ママにあいたいっておいのりしたいのに
どうしてちがうことをおいのりしちゃうのかな
へんなのってマキはおもいました。
さよならロザリオ0〜5話まで↓こちらから♡
最後まで読んで下さりありがとうございます。
マキの話はまた今度。つづきます。
読みづらいところも多いと思いますが
引き続き読んでいただけるとうれしいです。
ありがとうございました*ˊᵕˋ)੭♡
shizugon
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