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貴綱 みか
2021年1月10日 20:03
「会わせたい方がいたら今のうちに呼んでおいてください」母の心臓が止まって蘇生措置で生き返り生命維持装置で命をつなぎながら「いつまた心臓が止まるかわからない」ICUで先生や看護師さん達に顔を合わせるたびにそう言われたが私は母の心臓が止まったことにさえまだ全然追いつけていなくて必要に迫られているから現実の問題を処理していたが数日前の昼間に往診を受けた時にその先生は明
2021年1月9日 08:03
「〇〇さんと結婚して幸せだったのかね」発熱から体調を崩しあれよあれよという間にまさかの心肺停止となり蘇生処置を受けて生き返りICUで生命維持装置をつけられた意識のない母のベッドサイドで間もなく終わりの時を迎えるであろう母の生涯を振り返るように母の再婚相手である父との結婚が幸せだったのだろうかと母の妹である叔母がゆっくりとつぶやいたそしてその時私は今しかないと思って
2021年1月8日 08:02
認知症の母は時々眉間にしわを寄せ口を一文字にしてうつむき加減に難しそうな寂しそうな困ったような顔をすることがあった認知症の母のそんな表情は深刻さを感じさせるものではなくまるで小さな子供が何かに悩んでいるようで母が眉間にしわを寄せているのにか気がつくとあらあらまたこの顔をしてるなと思いながら時々、どうしたの?と尋ねてみることもあったが私がたずねても母は何も言わず
2021年1月7日 07:57
五本指の小さな手袋母の手の大きさに合わせたようにぴったりの小さな五本指の毛糸の手袋いつ、どこで手に入れたのか全く覚えていないが朝、デイケアに行くための身支度で急いで手袋に母の指を入れようとすると指一本のところに二本入ってしまったりさらに段々と母が手を握ったままで指を広げることが難しくなってくると片側の手だけグーのまま手袋をはめてデイケアに出かけるようになったりし
2021年1月6日 07:45
認知症で要介護5の母にスプーンでごはんを口の中に入れ次の一口をスプーンで口の前に差し出しても口を開けてくれるまで何分もかかることが多くなってきた私があーん、と口を開けて言いながら母の口元に軽くスプーンをあてて口を空けるよう促しても1ミリも口を開けてくれない仕方なく数分時間をおいてスプーンを口の前に差し出してやっと望んだとおりに口をあけて食べてくれると私は心の中で
2021年1月5日 15:42
グループホームで母が椅子に座っているとそこだけゆったりとした時間が流れているようだと母の誕生日に母が通うグループホームの職員の方がメッセージを書いてくれた事があるが認知症が進んで段々と反応が薄くなり私が仕事から帰っても母は無言でお帰りとも言わず時には無防備な寝顔のままでも母がそこにいるだけで何とも言えない安心感があった要介護5になっても自分の意思で考えるこ
2021年1月4日 18:36
母の身体は段々と衰えてきて椅子に座っても身体を支えられなくて上体がグニャっと力が入らない状態になってきた自分で体勢を保つことができなくなると小柄な母をベッドから車椅子に移動させるだけでもそれまでよりかなり時間や手間がかかるようになり私自身の体力と注意力その両方の負担が大きくなったもしも自分が体勢を崩したら母も道連れにして下手すると怪我をさせてしまうのでこれまで
2021年1月3日 19:49
ベッドから身体を起こして立たせようとすると足が痛むようで顔をしかめて歩くことができなくなった母「ここが痛い?」と色々なところを触わりながら母に尋ねると足でも足以外のどこでも私が触ったところすべてを痛いと答えてどこがどう痛むのか全くわからずどうしたものかと考えこんでしまいこのまま、もう歩けなくなってしまうのか・・そして寝たきりになってしまうのか・・寝たきりになっても
2021年1月2日 18:39
母を起こすことから始まるいつもの朝母が寝ている部屋の襖を開けると目に入ってきた母のベッドの景色がいつもと何か違っている一体何が起こったのか?すぐには理解できない光景が目に飛び込んできて一瞬とまどったがしかしほんの数秒で状況を把握してその途端私は慌ててベッドに駆け寄った母は、介護用ベッドの転倒予防の鉄柵の間の狭い隙間から頭をだらんと下に垂らしその垂れた頭の下の床
2021年1月1日 10:05
神社に続く急な長い坂道を母が乗った車椅子を息を切らして一生懸命押しながらやっと坂を上りきってその先の神社の境内に入っていく初詣で皆がお詣りをするのは神殿までの数段の階段をのぼった先になるが階段をのぼることが出来ない母のため神殿が見える階段下に母が乗った車椅子を停めてそして車椅子に座る母に向かって私は少しかがみこんでこうやって手を合わせてお詣りしてねと両手を合わせて
2020年12月29日 09:51
認知症の母の背中側に立ち母の両脇の下に私の腕を入れて身体を支えて歩かせようとすると歩くのが面倒なのか時々母は軽く足を浮かせてぶらぶらさせて体重を預けてくることがあった小さな子供のお茶目な悪戯のようで微笑ましく思えてクスッとなっていたが小柄な母が足腰も弱って認知症も段々と進んでいって自然と私が母の面倒を見る保護者の立場になって少しずつ親も自分と同じように
2020年12月28日 08:50
ある暑い夏の日自宅の近くまで迎えに来てくれた親戚の車に母とともに拾ってもらい母の父親が眠る田舎の墓地へお墓参りに出かけたお墓に到着すると家の外は車椅子を利用する親戚の叔父さんと母は冷房の効いた車の中で運転手の従兄と静かにお留守番車を降りた叔母達と私はお墓にお線香とお花を手向けご先祖様に心を寄せて手を合わせお参りをするそれからまた車に戻り全員そろって田舎の家にお
2020年12月27日 08:06
母は要介護4くらいの時から立ち上がるのに介助が必要になり一人ではトイレに行けずリハビリパンツ+尿取りパッドを常に使用するようになっていたしかも認知症のせいで時々おむつの中の便を手でさわってしまったりその手を周りにこすりつけたり・・・もちろんそんな惨事に気づいた時には母親自身と周りの寝具などすぐに汚れを落として清潔な状態にしていたがいくら清潔に綺麗に整えても母は常にお
2020年12月26日 20:13
触ってはいけない不浄なものだという事が認知症の母には分からなくなっていて便が出てしまったおむつの中に手を入れてしまう事がある母はおむつの中が気持ち悪くて落ち着かないから手を入れてしまうのかただ不快を感じたり自分の欲求に従ってやっているだけかもしれないが母のベッドに近づいた時に何となく臭ってきたり母の手が汚物で汚れているのを発見してしまったらすぐに対処しないわ