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#読書感想文
歴史のことばNo.14 「歴史の産物が一夜にして無に帰すことはなく、(…)他に選択の余地がない与件となる。」 松井透『世界市場の形成』
本邦におけるグローバル・ヒストリー研究の先駆け 「世界史」を「グローバル・ヒストリー」と呼びかえる動きは、まだ一般に普及しているとはいえないだろう。 さしあたって「グローバル・ヒストリー」は、世界史を見る上での新しいアプローチであるとみればいい。 たとえば、歴史学者の水島司氏は、つぎのような特徴を列挙している(『グローバル・ヒストリー入門』山川出版社、2010年、2-4頁)。 ・「あつかう時間の長さ」 ・「対象となるテーマの幅広さ、空間の広さ」 ・「従来の歴史叙
ネストリウス派→アッバース朝(バグダード)→ヨーロッパ(トレド)という流れ~『イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」』(宮田律著、光文社新書)を読んで
ネストリウス派(景教)について調べているうちに、イスラムとかアラブ世界についての認識不足を改めて実感するようになり、もう少しイスラムの世界について知りたいと思っていたところ、光文社のnoteで『イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」』が新書として出版されるという記事を読んだ。目次を見たら、面白そうだったので、早速読んでみた。(目次はここで見られます↓) 「なるほど~」と思うことはいくつもあったが、ここでは、これまで、このnoteで触れてきたネストリウス