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『サピエンス全史(下)』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)

【内容】
ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰する世界的なベストセラーの下巻。

※ネタバレ(?)します。


【感想】
人類と何か?
神とは何なのか?
死は克服されるのか?

チラリと頭をよぎることはあっても、普段は大きな話過ぎて、基本的にスルーしがちな話題を、凄く頭の良い学者が今わかっている最新の研究を絡めて語ったらどうなるのか?

そしたら、やたらに面白く、今まで見えていなかった世界のありようが見えてきた…
そんな本になっていました。

下巻は、上巻ほどのインパクトはなかったものの、上巻とは違った性質の面白さを感じました。

実際にどう言ったこと。テーマに書かれた本かを説明した方がわかりやすいと思います。
メインテーマは以下の3点であると感じました。

1点目は、現在の宗教のありそうは、実は決定論的なものではなく、偶発的な要因が大きかったったのではないかということ。
2点目は、資本主義やコミュニズム、ナチズムなどは、キリスト教的な背景があって成立したということ。
3点目は、技術革新による人類の不死の可能性とそのなった時の宗教、社会、生命に関する変容についての考察。

1つ目について…
元来一神教は、キリストの生きた時代にもわりとありふれたもので単発的に信仰されるものがあったとのことでした。
キリスト教の弟子のパウロの宣教の仕方によって、キリスト教が宣教的な宗教として成立する要因なり、世界宗教へと発展していく礎となったとのことでした。
ローマの皇帝のコンスタンティヌスは統治のためにキリスト教を国教に選ぶ際、マニ教、ゾロアスター教、仏教などあらゆる宗教を検討していた。
ちなみに東アジアを中心とした多神教やキリスト教をはじめとする一神教には、世界的な宗教となり得なかったゾロアスター的な善悪二元論的な考え方が流れ込むことで、現代の人間にも宗教的、文化的な影響を多大に与えているとのことでした。

2点目について…
資本主義、人権主義を始めとした近代的な枠組みや思想も、キリスト教的な背景から出てきたもので、普遍的なものではないということ。

3点目について…
技術開発による死の克服について、世界の優秀な人材がこぞって研究を始めているとのこと。
仮に人が150歳まで生きるようになった時にどうなるのかといった指摘はとても示唆的でした。例として、夫婦関係は固定の一組で続けることは現実的なではないのではないかとか…歳をとってもはたらき続けるのが当たり前になった社会では、祖父母と孫の関係など、これまでのような関係であり続けることは難しいのではないかとか…


人類史を、もの凄い濃縮還元したような内容で、普段いかに狭い思考の中で物事を考えているのかを強烈に感じながら、本を読んでいました。
また、こうした事柄に関する人類史的な問い掛けに、考えや認識が追いついていっていない部分が多く、意識のアップデートをしていかないといけないなあとも感じました。


何より、今回この本を読んでいて、全てを決定論的に捉えることの危うさ…
今の人類の有り様はかなり偶発的な要因もあり成立しているのであんだなあと…
今当たり前のものも全然違ったものでありえるという考え方は、それは危うさを孕みながらも、自由な未来への展望とも繋がる考え方であるとも思えました。


内容が濃すぎて、全然語れてはいませんが、この本の著者の書いた本は、何冊か出版されているようなので、読んでみたいと思いました。

※画像は生成AIで作成したものです。

https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309226729/

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