ほどよい暮らしを紡いでいく。 育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ
昨日のnoteで紹介した「ハチドリのひとしずく」。その後に読んだのがこちらの本。
食堂かたつむりやツバキ文具店で有名な小川糸さん。食堂かたつむりはゆるふわ可愛い物語かと思ったらピリッとした人生の悲喜が描かれていたり、ツバキ文具店では生き生きとした人と人との関わりが描かれていて、とても好きな作家さんだ。
エッセイはこれまで読んだことがなかったのだが、素敵な生き方をしている方だなぁとますます好きになった。
憧れのドイツ生活と、自然との調和
現在は日本で暮らしている小川さんだが、この本にはドイツで生活されていた頃のエピソードも含まれている。ドイツでの生活も日本での生活も、ご自身が気持ちよく過ごせることを第一に、暮らしを快適なものにされようとしている様子が伺える。ドイツでの生活、やっぱり物凄く憧れる…!
ものを大事にすること、リペアして長く使えるものを選ぶこと、自分に合うものを身につけること。寝る時間や起きる時間、食べる物への向き合い方、生活のあらゆるところに「自然に密着した」部分を感じる。しかもそれが、仰々しいものではなく、現代を生きる人間でも「馴染ませる」ことができそうな寄り添い方なのだ。
電気は使わず、畑を耕し、素のままに…と言う「自然との調和」ではなく、現代人が現代の生活を送る中でも自然と季節を感じたり、味わったり、生活を充実させるための秘訣が散りばめられている。決して「丁寧な暮らし」をしているわけではなく、忙しかったら今日は掃除はしなくていいや、と無理をせず便利なものを活用されているというエピソードには、「あ、自分の快適さを優先させて良いんだ」とハッとさせられた。
ほどよい暮らし
読了後、「ほどよい」暮らしだなぁとじんわり気持ちが良くなった。この「ほどよさ」は、小川さんがさまざまな経験の中から育まれてきたものなのだろう。「暮らし」というものはさまざまな習慣や決まり事を含むので、一朝一夕でスタイルが確立されるものではない。こうしてみよう、ああしてみよう、失敗したり試行錯誤を重ねて作り上げていくものだと思う。
「育てて、紡ぐ」。「暮らし」とはまさに、育て上げていくものなのだ。
小川さんの生き方に触れ、素敵だなと思うところは真似させてもらい、私なりの「暮らし」を育てて紡いでいきたいと思った。
小川さんの本は、ツバキ文具店がお気に入り。