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詩作、過去作品 公開保存用

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#詩集

生活のアスタリスク

詩集 掲載 予定 です

以前、ココア共和国と、日本現代詩人会投稿欄に、投稿した作品を、詩集に載せる為に、仕立てたものです。約4000字くらいありましたか。すいません、、
組版? などを現在、やっておる。出版、は、七月堂さまに、おねがいしています。
今年中に間に合えばよいが、、、読んでいただいた方、ありがとうございます。。

公開

また、沢山の励ましのメッセージや応援、ご支援を頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。本当は、おひとりお一人にお会いして、しっかりお礼をしたいと思っております。この場で、大変恐縮ですが、感謝感激の気持ちを皆様にお伝えしたいとおもいました。

そしてここに、全文、というかデータを公開します。
冊子で読んでいただいた方が、モノろして保存できますし堪能できるのかな、とか思っていますので、プレ詩集、ひきつづ

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福島の詩人会にいつぞや投稿した作品。

題:木枯らし。背表紙。お金のことばかり。肺を使わない何かの象徴なのだろう。うどんの巣箱の柘植の眉。ありがとう、ハクビシン。その犬でも猫でもない骨格が蓄音機を忘れさせない。水彩の絵の具を重ねていく。それは果物を犬歯で咬むこと。異なる重力を描こうとして食べ物を残せる人の手帖になった後、西鉄福岡(天神)と予測変換であらわれた文字をそのまま並べてみる。今日は捕虜の経験者が老人ホームの集会を木星でやる日。そ

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中年の恋愛

悪く言うと、あなたが悪いです。木製の選挙カーが具体例のように素通りする、ここは中選挙区です。あなたに似合います。猫をころした話。水はけのよい土。世間話の絶えないところで、あなたは、噂の美味い人。トイレの行き方が上手です。

論理的な口紅。春風のようなあなたの歯並びが、極論を受け付けないことを知っています。わたしの口調は、ボランティアのように冷酷だったでしょうか。あなたがおもむろにトイレへ立とうとす

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水田(失敗作なのか?)

水田が わたしの子を 孕んだ
水田はずっと 故郷での暴力を 恥じていた
その頬は 色彩が簡素で やわらかくはなかった
わたしは 水田におりるときはいつも 迂回することにしていた
迂回によって 舌で 
水田の窪んだ眼窩を 愛そうとする行為が
はじめられるような 気がするからだった
夕暮れのあらゆる父親の 浮き上がった鎖骨を 
撫でながら水田が 抱いてしまう不安は 
うつくしく 草花は 衝動でしかなか

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バス停

乳歯のやわらかさを、二度とあじわうことが、できないと知っていながらも、主語のない大胆な呻きから、一日がはじまるのかもしれない。舌でたしかめる濃い、唾液の温度。日射病の、なつかしさ。あの場所には浴びるほど、身体にとりいれたかった、日陰があった。とても丁寧に、描かれる曲線の束が、視野にあらわれて異性の肉体が急に、恋しくなったのをおもいだす。貧血に、比例して私たちの目は、無造作をゆるす皿に、新しい朝が盛

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表紙と目次 (おわりに)小詩集の中身・保存用として

 
目次

井戸の訪い                   4
原色の幼なじみ                 6
あぜみちの風                  10
木通・無花果・柘榴・花梨            12
(果物についての私的ディテール)
鹿の残響                    16
蚕に纏わる伯母の幻視              18
パンを食う            

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失業保険

。ん、ああ、、そう潮干狩りのような午後。遠近法の風が流れて、そうめんつゆが古い木のテーブルに染み込もうとしており、それは、ストレートタイプだった。あなたのゴシック体が嫌いです、と偏西風のように囁かれても他の書体を知らず、いま思いつく字というと、タイプライター。阿倍仲麻呂。音を立てずに、花言葉を調べなければならなかった。そんな時、打楽器で癖になったささやかな腱鞘炎が蘇って、洋梨の、果肉の病気を間近で

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羊歯植物

                           葉と葉の間一つ一つがお稲荷様だ。

背中の毛が濡れている。

どぶ板の上につくられたお稲荷様、

出勤前のホステスの腰の臭いを嗅ぎたくて体をかたむける。

どぶを流れる油の虹色の反射が岩手の女のようだと言って喜んだ。

東北の北のほうにしか褐色の女はいないという。

お稲荷様は明け方石になる。

葉はそろって不潔に揺れる。

 

     

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仮形成

りんかくが、尽きたところから、肺が、うまれたのかもしれず、まだ分裂の途中で、穀物袋を、抱えようとするから、宿命のように、咽にへばりつく痰が物語、かもしれないと思う間に唾液で、ながしこまれると身体の、中で子音だけがひびく気胸の、痛みにかわっていく。冷たい、と初めて感じた、記憶のことを、話したくて自分にも白骨が、あると自覚したそんな夜の、月の、感じで胎児、という個人的な、地図がいづれ刃物に、かわり力尽

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牧師のオルガン

これは、前奏。そっと鍵盤にそえる指。牧師の手の甲は、いとも簡単な月のようだった。毛筆のような遠視の伯母が訪ねてくる。脳裏によるしなやかな手紙をたずさえて。家族のなかだけの言葉をつかい、リッタイテキな本棚を何個もつくるように言った。伯母がねむるとき、夏の頸動脈が深淵な川に到着する。その先で白紙に並べられた数式は、水脈のようにみえた。一斉に、蝶々結び、できるだろうか。図工が苦手な人たちとともに高山植物

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植物の葬儀

鬼百合は、寓話になることに夢中だった

一本の植物は宇宙に虹が出るかを考えている。恋人のアキレス腱と同じ受動態で、それを描くことを想いながら。落書の臓器をもたない蛙が、手足を一本一本投げ棄てながら産卵する。その蛙の粗い呼吸の分だけひろがる湖面に、春になったら猛禽類を排泄したいと。

球根植物は、暴力のあと何が残るか知っていた

その後、美しく涙を流しました。静電気に触れるとよく記憶喪失に陥り、忘れ

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恋人の宗派

外の大雨をみながら、川魚を丁寧に食べる人のことを、恋人といった。それは記号であり、血より具体的だった。宗教のことは自分のほうが知っている、という恋人の話にうなずいて、お互い愛するようになった。肺呼吸が結晶化しはじめることがある。すると恋人の口癖は、酸素の色をした魚にかわり、このあたりの水域でみられなくなるのではないかと思った。

         葦は、戦争の数だけはえていると知った。恋人の通う大

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喘息の少年の世界

夕暮れの、三叉路の先に絵画教室が聳えていて、残光のような少年の姉が、感受性ってこの血管のことだと思うよ、と言いながら静脈の、蒼白さを反射させてみせた。少年は、理想の耽美派を間近にして、回想の中で川遊びの主語を省いていく。絵日記の宿題に、頓服薬の紙袋を描かなければならなかった記憶。少年の、喘息の喉と、まだ柔らかい耳の骨。絵筆は少年の鞄のなかで、孤独な森林であり続けた。そして瑞々しい木々は裸足で歩き、

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