SatoshiIwasa

岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。日本現代詩人会員。詩集あります。Twitter:@iwasasatoshi 1984iwasasatoshi0428@gmail.com

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  • 詩作、過去作品 公開保存用

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最近の記事

ジビエ

今日、鹿肉をくった 鹿の、水辺と 鹿の、落葉を踏み締めた音と 鹿の、土手を駆ける軽やかさを 食った ゆるされなさが、かんたんに消化されていく 猪肉を食った 猪の、腐葉土のにおいの月経と出産と 猪の、ウリ坊に寄り添う温さと 猪の、子を守るための狂気を 食った 日常の外側が、からだに積もった 雨のかたまりで、内臓を殴られる バクテリアが、豊かに実る直腸の アウフヘーベンを、早弁してから、午後の体育に備える ンダバンダバ山とオドル

    •  再編のこと

      夕刊は、かつて地球からかけ離れた水たまりでした。 岩佐聡 そして購読者は、水たまりに産卵するアメンボでした。 彼らは選ばれた人に、暴力をふるわれて昨日の、 干からびた卵になることを誇りにするのです。 頬にまだ、作り話をのこしながら、夕刊の記者が、 砂埃のなかから選んできた言葉を駆使した文章の中で、 どうも近頃、美しくなければならないのは、 男性のほうです。誰かのために、不幸を繰り越すことだけ、 考えてしまって来世で、何度も喀血していいと勘違いしている。 そ

      • 再編

        蒸し野菜、騒々しい 直接的な、死因ではない 光に満ちた予感 この金属から続くたしかな時間を 根菜が眼をあけながら睡眠していく 比喩に溶けていずれ 安定した存在ではなくなるだろう 蒸し野菜の、やわらかさ のこされる予定の、温野菜 犬は、身体の外にもう一つの、身体をつくってしまう。自分の、唾液より放埒な身体の方は、嘘をつけないが、身体の内側では、自分がついてきた嘘が蓄積される。嘘の、辻褄が合わなくて悩む夜、ついに自分の歯のすべてが、義歯になっていると気付く。舌で、そ

        • ネギ抜き(ココア用)

          ん、あ、あの、あのですね、先程、あ注文いれた、あの、ん、あれ、うん、ネギ抜きで、お、あお願いできますか。 あ、かしこまりました。 あ、うん あれ、先程、頼まれたのって、ネギラーメンですよね。ラーメンでいいってことですかね?? ラーメンのネギ抜き、 あ、いえいえ、違います、うんあの、ネギラーメンネギ抜きでおおおお願いいたします。 あ、ん、えええっとええはぁ 先に、代表選ありましたよね、与党の。あの はい 次の、代表がねあの、ネギがホントに嫌いで、やばくて、わたしネギ根絶大臣に選

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        • 詩作、過去作品 公開保存用
          31本

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          雨漏りの比喩 子どものころ、幾羽もの鳥の体液を吸った樫の木の下に、郵便受けを設えて恋人ができると思った。 はじめて電車の乗ったとき、 誰かの影絵の一部に思えたように。 それは新しい句点。あるいは水田。わたしにはまだ知らない妹が、首の後ろの方にいつもいて彼女の、尿意の受け止め方がわからないでいる。 海猫が次の季節に向かって遺骨の匂いを撒き散らしている。わたしたちはこの地図のあいまいな所で、、句読点をうつ無意識にふれる。学校で天然痘を教わった日だったと思う。 読書のた

          稟議書(件名:遭遇した黒幕に対処する費用について)

          記載日:令和六年七月九日。費用支出の理由:昨日、黒幕に襲われました。なぜ黒幕だと分かったかというと、自分で黒幕だと名乗ったからで、黒い大きなマントをお羽織りになる丁寧な殿方でした。最初に「あの、、、」といって、読点三つ分の間があって「くっ、、、」のあとがお吃りになられたので、私がすかさず「くじら?」と返したら「ええ、そう、くじら、、いえ、くろま、、、」とお返し遊ばされたので「くろまぐろ?」と言い返したら「くろまく!」とのことでした。夕方、故郷の風が心地よいので、風を売りたい、

          稟議書(件名:遭遇した黒幕に対処する費用について)

          歌ってみました 

          カルボナーラ

          歌ってみました 

          歌ってみました 

          凪 第六号 行乞記 朗読

          凪、朗読会用です 第六号 16P 17P 鈴木奥さま作品 行乞記 よろしくお願いいたします🙇

          凪 第六号 行乞記 朗読

          凪 第六号 行乞記 朗読

          凪 朗読会用 P18 アトピー

          いつもお世話になっております。 よろしくお願いいたします。

          凪 朗読会用 P18 アトピー

          凪 朗読会用 P18 アトピー

          金魚注意報? 鯨、刺繍、について 〜8/29

          詩を書くこと。金魚の 金魚は精神の方へ 鯨が、水の 背中がしまわれていく 金魚は、他の金魚の色を、 気が遠くなるほどの手仕事が 過去からつづくこの風にも晒されている 例えば刺繍に施される祈りは薄れるけれど 想いは濃く積み重なる その一筋の個性を怖れたい 誰もが物語になりたかったとしても 鼓動のような無意識でしか たしかにそこにいた自分を置くことが ゆるされなかった人々がいたこと 金魚の死骸から、 憎まれている、という沈黙から少しずれて、夜をやさしい嫉妬に染めてい

          金魚注意報? 鯨、刺繍、について 〜8/29

          〜8/7

          後悔は、白鷺の姿で寄り添う。鷺の脚は、川原で読書できる水温を、探しながら時間のように静物と反射の間に立ち、肺呼吸からはじまる古典をなぞろうとする。明日には今よりも軽い吐息の、雨月物語が朗読されるだろう。夏風邪の、嘔吐の感覚を通り越したさきに、いくつもの古典を読み終えることになる。 鍵穴に、まだ昨日の夜が、忍び込んだままだから、部屋のなかの、かたちが決まっていない。記憶が、輪郭をあたえようとする。 些細な生活の音があって、はじめて静寂が完成するように、暑中見舞いの手紙の文脈

          〜7/28

          男の人の、架空の子宮のなかには、想像の離島が、身ごもられていて、離島の雨季の水たまりは、地球からかけ離れている。鳥の鳴き声には、去年の樹木が残されつづけて、葉の揺らめきの、連続する過去と未来が、交互に織り成される振幅の微かさにも、いくつもの霊性が、群れているわかる。 日記にやどる、現実から少しずれた過去が、わずかな静電気を、発生させる。その脈絡にたっている街路樹の、心のにおいが、漂ってきそうだった。時間が流れる、ということは幼い頃の突き指の、荒く施された治療だ。今日も一瞬、

          〜7/22

          時計のまわりに散らばる点描は、微かに時間を含み、小さな表現を配っている。それらは日記の脱字のように、わたしのなかだけで零れるだろう。6で割りきれる数の幻想。春先の、かなしみをいつ秒針は弾いたか。 他人と、交わらない透明水彩を、うすく重ね着し続け、孤独があたためられて、孵化していく。 手話に含まれている陽射しで、哺乳類図鑑を、読んでみたくなる。関係なくない渡鳥に伝えたいから。甘いジュースに混ぜ込んでいい整腸剤は日常から、はみ出ない異常を、薄くごまかしていい権利。結局わたしは、

          ~7/4

          影は、暦を、伸ばそうとした。一日は、身体を創り、でき上がる前に、亡くなる。亡くなった影は、沼として静かに広がりその水は、たえずお互いを産み続けている。だから必ず偶数の、言い訳が作られて、一つは沼の静寂に、丁寧に折りたたまれ、一つは放埒に、植物のことばで、おこなわれる虐殺を待つ。 垂直な、T字路の現実から、少しはなれて不意という、自然に人にそなわった不安定と、遭遇したときのことだった。名前など無い、そのものの説明さえ諦めているが、おぼろげな印象がたしかで、忘れることができずに

          ~6/28

          その遅れた時計のなかにも、川上の氾濫の予感が潜み、湖面のような虚空から、過去の蚕の、産卵を待っている。自分以外が、不在の部屋の、窓を開け、風を通すと性欲が、水気を失った落葉のように、捩れて入ってくる。 部屋のなかの、異性の不在を、通り過ぎた風は、広葉樹の精神をみせてくれた。繁茂の所属から、逃れようとする意思。未来の合鍵を、少年だったわたしは、いたるところの腐葉土に、埋めていた。やがて樹木は、鍵から私の精神を受けとり、風に吹かれると、わたしの生を追った。やさしい、後悔の温度だ

          ~6/18

          皮膚から樹木が芽生える。皮膚の下では盲目を飼っていて、偏頭痛のなかの木々が、間隔を置いて数本のこる。かつて無人駅の、駅舎の撤去工事を、ながめたことがある。立ち上った、砂煙が皮膚にまだ、染み付いていて、駅の輪郭を、肌が憶えている気がした。 旧姓が、雨よりも濡れている。  こんな時期に野焼きでしょうか、と山の煙に不安を向けている女の人かもしれない。年金が、入ってこないことを、曽祖母のせいにしていた祖母。畦道の砂利が、読点のやさしさで、 昔話からたくさんの動物を生んだ声に、重