恋人の宗派
外の大雨をみながら、川魚を丁寧に食べる人のことを、恋人といった。それは記号であり、血より具体的だった。宗教のことは自分のほうが知っている、という恋人の話にうなずいて、お互い愛するようになった。肺呼吸が結晶化しはじめることがある。すると恋人の口癖は、酸素の色をした魚にかわり、このあたりの水域でみられなくなるのではないかと思った。
葦は、戦争の数だけはえていると知った。恋人の通う大学は、落葉樹のためにあり、キャンパスに吹く優しい風に現実を感じたことがあった。それは急な尿意であり、落雷でもあった。
水車が壊れて浮足立つ家に恋人が住んでいた。家業は水の為の大工だった。あるとき恋人が、家から配給手帳をもちだしてきた。目薬をさす時刻にその表紙をみて、猛禽類の羽に似ているね、と微笑んでいた。初恋だと思ったのはその後かもしれない。遠く汽水域で満潮の気配がすると、出窓から齢の近い叔母と臆病に庭先をにらむことがあるという。誘拐ってきっとこんなときに行われるのでしょうね、とどちらともなく言いだして、片仮名の顔をみあわせる。
小説はいつも、たくさんのミルクありがとう、という老婆の科白で終わる。帽子の中で恋愛するみたいに、停留所での読書の時間を計る恋人が、話はじめる複数の耳をもとめて、
ねえ(霜焼け)、(の)ヨー(弟は)グルト(喃語で雨)に(の)なって(形を理)いく(解した)、(。)この(薄荷)膝(から)の(丁)角度(寧な時)と(間)つま先(の味が)の(し)痛み(みてく)で(る)、(。)A(そ)=((の時)V(神)-(を) V0(信じ))/(て)T(る)に(。)滑(時)り(計)落(回)ち(り)る(が)両(不)肩(安)の(に)信仰(なる)を(童)、肺に隠(話のよう)し(に)て納屋(新鮮な)で抱か(貧血を)せて(みて)、
霊魂を絡めるようにゆれる蛾と何度すれ違っただろう、静脈でおこなう君の祈りも知っているよ。いつかの離島で、亜種でありたいと願う、
noteにそのままコピーしてはりつけたら、五連目、なかなかおもろい表記となって、興奮しているおっさんです。
冊子を作るのも、はじめての経験ですので、これでいいのか??などと試行錯誤を繰り返しております。
冊子に載せない作品についても、随時公開していきます。