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花がニ人を繋いだように。#2.5
転勤はもはや生活の一部みたいになっていた。だからこの土地のことは何もわからなかったし、知ろうとする気力もなかった。外に出るのは学校に行く時と親から頼まれたおつかいで近くのスーパーに行く時くらい。それ以外は気になる動画を見るか語りや歌を録音して投稿するか。言葉のコミュニケーションすらままならない私にはSNSでの交流も鬼レベルだった。そこまでの知識もなかったのだけれど。
だから、啓太が遊びに連れ出してくれるのは本当に嬉しかった。初めて見る景色、食、人たち。うまく感情には表せなかったけど、とても刺激的で「私、ちゃんと生きてるんだな」って思わせてくれた。
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初めてすぎる気持ち。純粋な恋って本当に存在するんだなって思った。自分の気持ちに嘘はつきたくなかったし、実際に嘘はつけなかった。伝えないと負けだって思っていたから。
「俺と付き合ってください。」
これが精一杯だった。内心緊張でガチガチだったし。後先は特に考えていなかった。ただ、意外にも凛の返事は「私なんかでよかったら、お願いします。」とあっさり。
ちょっと待て....普通こういう時は少し驚いてためらう素振りを見せるものじゃないのか...?と告白したこっちが考えてしまう始末。とはいえ嬉しかったことに変わりはない。
もっと彼女のことを知りたい、そう思った。
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