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2022年新作テレビドラマ放浪記

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2022年の新作テレビドラマの感想です
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#川口春奈

「Silent(第11話)」言葉が見えるということ。笑顔は見えるということ。

多くのドラマがエンディングを迎えているが、このドラマは綺麗にクリスマスの夜にラストシーンを作ってくれた。テレビドラマが好きな脚本家が期待通りにラストを笑顔で綺麗に終わらせたということだろう。この最終回を見て、この週末はまた世田谷代田駅周辺は賑わいそうだ。今日のネットニュースで見ると、世田谷代田駅を提案したのは小田急側だという。まあ、新しくなった駅を宣伝したいという意味だったのだろうが、すごい宣伝効果だ。最後にはホームでプレゼント交換してるしね。駅では1月まで、主題曲や主題歌が

「Silent(第10話)」言葉がなくなったことで伝えられないこととは?

シナリオ本出るのですね。全てが終わった後に、文字としてもう一度読み返したい衝動に駆られるドラマではありますよね。半分は手話で言葉がないのに、そう感じさせるのがすごいとも言える。「手話」で語るところをシナリオで読むとどう感じるのか?というのも興味がある。この作品、生方久美さんの華麗なる連ドラデビュー作として語り継がれることは間違いないわけですが、まずは彼女の文体に触れたいという気はしますよね。シナリオが読みたいと思ったりするのは、かなり久しぶりです。 そして、本編。今回は、紬

「Silent(第9話)」過去と現在がつながるという現象が起こることで幸せな笑顔になるものたち。

ラスト近く、いつもの酒場で飲んでる湊斗。そこに春尾がやってくる。そこで春尾が奈々からの手紙を落とし、湊斗は「知り合いなのか?」と聞く。春尾は頷き、「八年ぶりだから」という。ここにも、過去と現在がつながる二人がいる。 今回の話は、じっくりと想の過去と現在が繋がった話をしていくわけだが、このドラマ全体がそういう宇宙の不思議な縁みたいな中にいるということだろう。皆がそれなりに過ごしてきた8年ほどの時間は、ある意味、ここに結実するために、いや、過去のその地点とつながるためにあったと

「Silent(第8話)」優しさと偽善の境界で戸惑う人々

多分、ドラマはあと、2回か3回でラストだろうが、展開が勢いをつけないどころか、なかなかラブストーリーらしく、当事者の昂る心みたいなものを描こうとはしない。今回は時間が少し拡大されたバージョンであったが、時間の流れ方は、ずーっと変わらずにゆっくりと、人の心の微妙な振動を描き続ける。それぞれの位置にある人々の、その位置での振動を。そう、そこに抑揚をつけないことで、それは刹那さに変換させられるわけだ。本当に、なんか一つの笑顔や、一つの言葉がとても重要に感じられる世界。いや、リアルな

「Silent(第7話)」声がなくても、心は伝わっているというラスト・・・。

話は、思うほどに進んでいないのに、すごく濃厚な1時間という感じである。ラスト、上の写真の「抱きしめる」という表現に持っていくために、ここまでのインターバルみたいな流れがあるのだろうが、私たちは、このスローモーションで流れているような心の機微みたいなものを堪能させられている。ここにきて再度思うのだが、テレビドラマとして、初めての空気感みたいなものを新鮮に味合わさせてもらっている。 先週に続き、奈々を起点に話が回っていく。紬が、想が声を出さないことを気にする。ということで、今回

「Silent(第6話)」人を恋することで、こんなに刹那くなることへの再認識をマイノリティが教えてくれる

先にも、書いていたが、夏帆演じる奈々と紬が対峙するシーンがあるだろうなと思っていた。そして、それは想像以上に重厚な刹那さに溢れていた。まだ、耳の聞こえない想に対して誰も愛を告白しているわけではないから尚更だ。 誰もが今回の夏帆の演技に釘付けになっただろう。彼女の想への想いだけで1回を費やすとは、すごい脚本だ。そして、そこに聾者と健常者の壁、そして、健常者としての想のことを知らない自分が悲しくなる感じ。そう、こういうマイノリティの人しか感じないものをここまで丁寧に書こうとして

「Silent(第5話)」人を愛すること、優しくすること、そこに必然を感じること・・・。

先週。湊斗が唐突に「別れよう」と切り出す。そこには、強い嫉妬的なものが含まれているのかと私は思った。だが、この回を見る限りそうではないようだ。というか、「別れの切り出し」を受けて、そのことについて1時間使って、その考察というか、二人の恋愛の心の決着をつけるような流れに、とても震えた。今までもそうだが、本当に心象風景だけを繋いでドラマにしていく感じはある意味天才的。小説なら、こういうのも成立する気はするが、画が連続するドラマの中で、心を見せるような脚本。余計なものを入れることを

「Silent(第4話)」優しい人々たちが様々な壁を作っている世界をシンプルに描くということ

4回目、ドラマは徐々に動いているが、描かれていくのは、紬、想、湊斗の心の微妙な変化だけだ。今回は、紬の仕事場も出てこなかった。そう、余計なお膳立てみたいなシーンがほとんどない。その分、視聴者は三人の心の中にシンクロしていくだけだ。そう、観ている方もシンプルにその微妙な心象風景の中に自分を重ねていくだけのドラマ。シンプルだといえば簡単だが、今までにあまり出会ったことのない構造のドラマに感じる。脚本家がシナリオを複雑にする術をまだ持ち得ていないからかもしれない。いや、書き込んだも

「Silent(第3話)」刹那さを積み重ねていって、愛が迷子になっていくドキドキがたまらない

刹那いですよね。さまざまな再会の一瞬一瞬がすごく刹那い。そして、言葉と気持ちがうらはらになっていくようなのが辛いとも言える。劇伴も含め、刹那さを追求しているような作りがドラマをどんどん濃厚にしていく感じは、結構新しい。 生方美久さんの脚本を、ずっと丁寧だと書いてきたが、多分、セリフの間の使い方、(特に今回は一人が話せないという部分で尚更なのだと思うが)が絶妙な感じがする。そして、セリフひとつひとつがかなりしっかり考えられている。手話だけで語る、目黒蓮と夏帆のやりとりも同じだ

「Silent(第2話)」過去と現在の時空が一瞬で引き寄せられた時に何か起こるのか?

初回で、丁寧な脚本と書いたが、2回目も、それほどのドラマの進展があるわけではないが、視聴者の目を集中させるようになかなか構成はうまいと思った。 最初に、目黒蓮が耳が聞こえなくなった過去を提示し、川口と最後にあったシーンも明確にする。そして、やっと落ち着いて語れるようになった現在の二人が、その時の話をする。丁寧に過去と現在をつなげようとする感じは、優しくもあり残酷だ。そしてラストシーンは波乱の予感。過去に愛した人と、今愛してる人が出会って、その二人は親友だったりするわけで、ま

「Silent」マイノリティの人への愛情をどう表現していくのか?丁寧な脚本に期待大!

昨今は、こういうマイノリティの人たちが主人公のドラマが世界中に多くなってきている。エンタメでそれを描くことが、ひとつの健常者の寄り添いと考える人も多いかもしれないが、実際は、マイノリティもそうでない人もフラットで生活できるようになるための第一歩なのだろうと思う。そう、まだまだ世の中は、障害者には優しくも偏見の目が注がれることは多いと思う。だが、それが親族や、知人に及ぶとまずは、そこにどうしたらいいか考えるように、ドラマの捉えどころで、大きなバリアフリーが生まれるようなことにな