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「Silent(第3話)」刹那さを積み重ねていって、愛が迷子になっていくドキドキがたまらない

刹那いですよね。さまざまな再会の一瞬一瞬がすごく刹那い。そして、言葉と気持ちがうらはらになっていくようなのが辛いとも言える。劇伴も含め、刹那さを追求しているような作りがドラマをどんどん濃厚にしていく感じは、結構新しい。

生方美久さんの脚本を、ずっと丁寧だと書いてきたが、多分、セリフの間の使い方、(特に今回は一人が話せないという部分で尚更なのだと思うが)が絶妙な感じがする。そして、セリフひとつひとつがかなりしっかり考えられている。手話だけで語る、目黒蓮と夏帆のやりとりも同じだ。そして、坂元裕二が好きだという脚本家らしく、セリフをどう印象的に繋いでいくか?というところに気を遣っているのはテレビドラマとしては秀逸だ。私的な見解だが、映画は画で語るもので、テレビドラマはセリフで見せていくものだと思っている。

今回は、高校の時の鈴鹿央士扮する湊斗が、目黒蓮扮する想との関係から、湊斗がどうして川口春奈扮する紬と付き合うようになったのかの回想から入る。先週の三人での初めてのブッキングに応える形だが、こういう作りもわかりやすい。そして、今回のラストは、湊斗が想が聞こえないのをわかっていて勝手に語りかけ、逃げて、自分の心の乱れを紬に吐露するまで。そう、今回は湊斗の心の中を曝け出すような1時間であったわけだ。だから、紬が想と話す中でも、紬は湊斗に対する思いを語り、最後にもそれを湊斗に念押しする。ここまで、はっきりここでそれを言葉でいうということで、それが変化する前提であることを視聴者は理解する。そういう言葉の狡さ的なものもうまく書き込んでいることが、この後どのような作用を示していくのか興味深い。「言葉」という道具が何か?というのは、この作品の大きなテーマだと私は考える。

そして、今回のトピックスは、妹の桜田ひよりが、想の部屋を訪ねてきた時に初めて、想の口から「声」が出たこと。今は、親族にしか声を聞かせないということなのだろうが、それを紬に発する時には何が起こっているのかは興味深いところ。

今期のドラマの中で、私が書いているこの拙いレビューに対しても、このドラマは反応が一番大きいと言ってもいい。話がすごくシンプルだからこそ、その刹那いシークエンスの積み重ねがたまらなく視聴者の心も動かす感じだからだろう。ここまでは、ただそれが日常の中でいろんな迷子を作っている感じだが、これから三人の愛が更に迷子になっていくのは予測できる。そして、最後に、どんな「キュン」で終わるのか?まあ、じっくり追わせていただこうというところですかね?

しかし、このドラマ、湊斗と想という男二人の働く生活が全く出てこない。それで成立してるのが不思議なのだが、シンプルなテーマのドラマをよりシンプルに描いているのですよね。これで、視聴者を夢中にさせる感じは新しいのかもしれませんな。

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