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詩のようなもの・詩または物語

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#詩のようなもの

陽が当たらなくなった枝を
樹はいずれ落とします

それだからといってその枝は
はじめから要らなかったかというと
それは違います

その枝がなくても樹は生きていける
ようになったのです

北極星に捧げる歌

北極星に捧げる歌

短歌 お題:北極星

ポラリスは
北極星で
2等星
目立たないけど
夜空の中心

ポラリスは
不動の神の
ようでいて
実はちいさく
まわっています

くるくると
小さく回る
ポラリスの
催眠術に
かけられてみる

夜の空
オーケストラ
にたとえると
北極星は
指揮者の持つ棒

詩 ポラリスときまぐれ女

毎朝必ずやってきて
わたしたちを起こしては
毎晩どっかに行っちゃって
わたしたちを眠らせる

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鏡に映る私みたいな像はいったいなんなのか

鏡に映る私みたいな像は
いったいなんなのか?

私はときどき考える

いや、
正確には考えるのを
ときどきにしている

だってこのこの疑問はひどく魅力的で、いくらでも考えることができて頭が変になりそうだから

鏡を見るときに私は私をみようとしている

けれども私は自然体の私をみることはできない

だって鏡を見るときには無意識のうちにいい顔作ろうとしている

目なんてちょっとぱっちりしてるんじゃない

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透明女と砂

透明女と砂

海から吹きつける強い風は
浜の砂を巻き上げて
容赦なく私を叩きつけてくる

ああ、少し痛いけれど
気持ちいい

そう私は透明女 
誰も私の姿を見るものはない

私はここにいるのか
永い時間の中で
時々私もわからなくなる

ところがどうだ
この風は
砂で私を叩きつける

砂が私の身体を弾くとき
私は実感できるのだ

ああ私はここにいると

風がどんどん強くなってきた
私の輪郭があらわれくる

ああ痛

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ショッピングモール

ショッピングモール

夏休みがやってきた。

子どもの欲望につきあい
涼を求めて
自分はたいした
目的もなく
ショッピングモールを彷徨う。

降りのエスカレーターにのっていると
降り口を精一杯のおめかしをした女子中学生の群れがふさいでいる。

ああ夏休みだなと思う。
どうやってあそこを子どもと
すり抜けようかとぼんやり考えていると、
集団は向きを変えていってしまった。

何か話し合った様子はない。
誰がリーダーという感

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[詩のようなもの]三日月湖🌙

[詩のようなもの]三日月湖🌙

川は流れる
海を目指して

石にぶつかり飛沫をあげる
渦を作って一回りしてみる

滝になって無重力感覚を楽しむことだってある

真っ直ぐ流れる川もある
うねうね進む川もある

遠回りした川の軌跡
そこには
豊穣の三日月湖が
生まれていたりする

川は流れる

全ての川は
海を目指して
今日も流れる

タイミング

タイミング

言葉を 口にするタイミングは
じっと待てったものに 訪れる
かならずくる

待つんだ

今の気持ちから逃れたくて
言葉を口にしようとないか
じっと考える

待つ

神様がタイミングをくれる時もある
でもそれじゃない

まだ待て

自分だけのタイミングがあるのだ
この世には
自分だけが見つけることのできる
タイミングだ

それは不図した拍子の
「あの時はありがとう」
だったり

話したくてたまらない

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【詩のようなもの】豆腐を買いにゆく心理

【詩のようなもの】豆腐を買いにゆく心理

女は

疲れたのだ

言い争いにも

話し合いにも

繰り返しても

また同じこと

消えてしまいたい

もはやその心情を

説明する気力もない

けれども

ほんのわずかだが

また戻って来れそうな

感覚もある

家路ににつながるその細い

感覚の糸の感触を

たしかめるため外に出る

黄昏時の哀しげな

ラッパの音に誘われて

桶を片手に外に出る

ちょっと豆腐を買ってくる

「信じる」ということについての発見

「信じる」ということについての発見

ものを知らなければ知らないほど
簡単に信じることができる。

博識であればあるほど
信じる過程が複雑となる。

これが
良いことか
悪いことかは
時と場合によるが

自己暗示をしたい場合は
ものを知らないほうが
簡単そうだ。

花が咲くのをみるだけで
希望が持てる。

田んぼみち

田んぼみち

ちいちゃんと
おとうさんは
田んぼみちを
あるいていました。

おとうさんのせなかには
つかれてねむってしまった
いもうとがいました。

田んぼみちは
どこまでもまっすぐ
つづいています。

いえをでるとき
おとうさんは
えきまでいこうと
いっていました。

ちいちゃんは
えきにいったことが
まだありません。

ずいぶん
あるいたきがします。

えきまでいったあと
いえにかえるには
いまきたみちを

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【詩のようなもの】影よ私についてこい

【詩のようなもの】影よ私についてこい

光あるところに影あり

よく聴く言葉だ

なるほど
影があるところには光がある

地面に映る
自分の影をじっとみてみよう

すると面白いではないか

影は真っ黒ではない
地面がみえる

つまりどんな時も影には
まわりこんだ光が到達している

影よ
おまえは面白いな

おまえは必ずついてくる
どんな時も私とともにある

ジャンプして離れても
地面に降りれば元通り

振り払おうと思った時も
たしかにあ

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[詩のようなもの]不思議の庭

[詩のようなもの]不思議の庭

いったいどうして
毎年違う
雑草が繁茂するのだろう

今年のトレンドは
カラスノエンドウ
今年の土は
窒素が足りないのか

いったいどうして
タイムの間から
コニシキソウが
生えてくるのだろう

そっくりな葉っぱ
コニシキソウは
どうしてここに
タイムがあるのを知ったのか

土って実は
全部種なんじゃないかとさえ
思えてくる

何かのきっかけで
ロック解除されるのではないか

卵を産みにくるアゲハ

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[詩] 洞窟探検

[詩] 洞窟探検

この先に

知らない景色が見えるはず

踏み入れたのが 運の尽き

ずいぶん奥まで来ちまった

だいぶん時も流れたな

帰り道

見失うことないように

糸を垂らしてきたけども

途中で切れたりしてないか

急に不安に襲われる

確認の

ためにこの糸引いたりは

しないけれども期待する

洞窟の外の誰かがこの糸の

先を握ってこの俺に

ここで帰りを待ってると

伝えてくれはしまいかと

[交渉]もし私が竜ならば

[交渉]もし私が竜ならば

もし私が竜ならば、
私の眠りを覚まし、
私のところへやってくる者は次のような者が良かろう。

意図しない者。
純粋無垢な赤子及び子供。
なんらかの計算があってはならぬ。

うるさければ無視するが、
機嫌が良ければ話の1つも聞かせてやろう。
他のものが聞けぬ質問にも答えてやるやもしれぬ。
背中に乗せて、大人になると忘れる世界をみせてやっても良いだろう。

私を怖がらぬ乙女。
望む物は何でも与えよう。

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