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#展覧会レビュー
疲れた頭を癒す眼福~東京国立近代美術館「MOMATコレクション」
ゲルハルト・リヒター展鑑賞後、もう一つの楽しみが常設展であるMOMATコレクション。
今回出会えた、お気に入りを紹介していきたい。
国吉康雄、好きなんだよなあ。
若くしてアメリカに渡り、一時はアメリカの美術界の第一人者にも昇り詰めるが、太平洋戦争勃発が彼の活動に影を落とす。本作はそんな頃の作品なのだが、彼の心情が投影されて物語性に富んだ見ごたえのある仕上がりとなっている。
国吉が苦悩していた数
日常に潜む不安定さ~「牧歌礼讃/楽園憧憬」
5月も半ばを過ぎ、バラでも愛でに行こうと思った矢先の大雨。
急遽行先を変更して訪れたのが、東京ステーションギャラリー。正直あまり期待していなかったのだが。
「牧歌礼讃/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児」
いやいや、ここの美術館の学芸員の眼力には恐れ入る。危うくこんな素晴らしい展覧会を見逃すところであった。
もともとは海外美術館からの借り入れを想定していた展覧会が、コロナ禍で見送りとなっ
性は対称性を有するか否か~「美男におわす」
美術には、特に日本だけかもしれないが「美人画」と称される分野がある。
いままではそう括られる作品に対して何ら違和感は持たれることはなかった。日本画では、浮世絵の喜多川歌麿から上村松園、伊東深水、鏑木清方など連綿と受け継がれてきた。
でも、21世紀の今日、いまだに「美人画」ってどうなの?
そう疑問を呈したような展覧会が埼玉で開催された。埼玉県立近代美術館の「美男におわす」展である。
美人画の系譜を
喧騒を離れ”パリ”へ~Bunkamuraザ・ミュージアム「写真家ドアノー/音楽/パリ」
ロベール・ドアノーの写真展に行ってきた。
ドアノーと言えばやはりパリ。第二次大戦時のナチス占領下ら解放された歓喜に湧く時代から現代に至るまで、市井の人々の様々な表情を撮り続けてきた。
会場は1940年代のパリの空気ひとたび足を踏み入れると往年のパリに来たかのよう。
戦前戦後芸術家たちに変らず愛されたパリであったが、戦火を潜り抜けた花の都は、「狂乱のパリ」のようなはじけるようなエネルギーは影を潜め