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美術せんにんの記録

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#展覧会レビュー

点描画が増えてきた!?「改組 新 第10回日展」

点描画が増えてきた!?「改組 新 第10回日展」

芸術の秋ということで、今年も日展の季節になった。
さて、今回はどんな素晴らしい作品に出会えるか。

日本画部門

この方は3回連続。特徴的な画風なので、すぐ目に留まってしまう。もはや殿堂入りか。加山又造っぽいところがあるので、琳派のように金箔・銀箔をふんだんに使った作品も見てみたい。

花の絵は、日本画の伝統を踏襲しているのだが、色の重ね方で奥行きを出しているところが印象的。色も重くならずに軽さが

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疲れた頭を癒す眼福~東京国立近代美術館「MOMATコレクション」

疲れた頭を癒す眼福~東京国立近代美術館「MOMATコレクション」

ゲルハルト・リヒター展鑑賞後、もう一つの楽しみが常設展であるMOMATコレクション。
今回出会えた、お気に入りを紹介していきたい。

国吉康雄、好きなんだよなあ。
若くしてアメリカに渡り、一時はアメリカの美術界の第一人者にも昇り詰めるが、太平洋戦争勃発が彼の活動に影を落とす。本作はそんな頃の作品なのだが、彼の心情が投影されて物語性に富んだ見ごたえのある仕上がりとなっている。

国吉が苦悩していた数

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日常に潜む不安定さ~「牧歌礼讃/楽園憧憬」

日常に潜む不安定さ~「牧歌礼讃/楽園憧憬」

5月も半ばを過ぎ、バラでも愛でに行こうと思った矢先の大雨。
急遽行先を変更して訪れたのが、東京ステーションギャラリー。正直あまり期待していなかったのだが。
「牧歌礼讃/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児」

いやいや、ここの美術館の学芸員の眼力には恐れ入る。危うくこんな素晴らしい展覧会を見逃すところであった。

もともとは海外美術館からの借り入れを想定していた展覧会が、コロナ禍で見送りとなっ

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この画家を知れた喜び~平塚市美術館「物語る 遠藤彰子展」

この画家を知れた喜び~平塚市美術館「物語る 遠藤彰子展」



同時代にこんなスケールの大きな日本人作家がいたとは。
ほんとに「オラ、わくわくすっぞ!」である。
なんのこっちゃ。。

遠藤彰子という画家をご存じだろうか。

ご本人のサイト、とても親切で過去の作品を多くアーカイブして下さっている。これはこれで眼福なのだが、彼女の作品はこれだけでは足りない。
最大1500号!という巨大な作品を目の前にして、文字通り平衡感覚が揺らぐ体験をしてこそ

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出品作の傾向が変わった?~「改組 新 第8回日展」

出品作の傾向が変わった?~「改組 新 第8回日展」

毎年の楽しみにしている展覧会。数えると今回で5回目の訪問。
特に親戚・友人で出品しているわけではないけど。
さあ、今年はどんな優品に出会えるか。

昨年の記事はこちら。

まずは個人的殿堂入りの方から。

福田季生「春爛漫」(日本画)
昨年は残念ながら出品されていなかったのだが、今年はお目見えできた。
他の作品と比べるとその完成度に目を瞠るばかり。惜しむらくはこの方の個展が関西中心のため、普段見に

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性は対称性を有するか否か~「美男におわす」

性は対称性を有するか否か~「美男におわす」

美術には、特に日本だけかもしれないが「美人画」と称される分野がある。
いままではそう括られる作品に対して何ら違和感は持たれることはなかった。日本画では、浮世絵の喜多川歌麿から上村松園、伊東深水、鏑木清方など連綿と受け継がれてきた。
でも、21世紀の今日、いまだに「美人画」ってどうなの?
そう疑問を呈したような展覧会が埼玉で開催された。埼玉県立近代美術館の「美男におわす」展である。

美人画の系譜を

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年代別に鑑賞しよう~ゴッホ展

年代別に鑑賞しよう~ゴッホ展

何年かに一度開催される、”ゴッホ展”。
もちろん毎回足を運ぶのだが、彼の展覧会ほどハズレの少ない展覧会もないのではないだろうか。
今年も上野で開催されたゴッホ展へ行ってきた。

ゴッホにハズレがないのは、とても多作な画家だということがあるのではないだろうか。生涯に残した作品はわかっているだけでも800を超えるという。フェルメールの20倍以上である。
とはいえ、画家としての活動は10年に満たない。し

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印象派への道を追体験~SOMPO美術館「風景画のはじまり」

印象派への道を追体験~SOMPO美術館「風景画のはじまり」

最近は多くの展覧会が日時予約制を取り入れているのだが、それは人気の展覧会だと「売り切れ」が起こり得るということを意味している。
だから、今まで以上に”これは”と思う展覧会へは早め早めに足を運ばねばならないのである。

さて、今回はSOMPO美術館で開催している「風景画のはじまり」展へ行ってきた。先の「売り切れ」は、この美術館の前の展覧会であった「モンドリアン展」で起きていたことなのである。

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電線は景観のジャマものか~練馬区立美術館「電線絵画展」

電線は景観のジャマものか~練馬区立美術館「電線絵画展」



山手線などの大きい駅周辺はそうでもないが、今でも少し住宅街に入ったりすると電柱や電線が多いことに気がつく。狭い路地などでは歩行者や車の通行の妨げにもなって、早く”地中化”しないものかと思ったりもする。

このように電柱はたいそう忌み嫌われている。
進んでいないものの、日本では国を挙げて地中化を推進すべく、2016年には「無電柱化の推進に関する法律」まで制定されているのだ。この法律の目的が第一条

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百万石のお殿様の審美眼~目黒区美術館「前田利為 春雨に真珠をみた人」

百万石のお殿様の審美眼~目黒区美術館「前田利為 春雨に真珠をみた人」

公立の美術館では、よく地元にゆかりのある画家や人物にまつわる展覧会を催すことがあり、小ぶりな企画ながら案外佳品がそろっていることがある。
今回の展覧会もまさにそのような良きものだった。
目黒区美術館「前田利為 春雨に真珠をみた人」

前田利為とは、加賀前田家十六代当主。彼の住まいしていた邸宅が目黒区駒場にあったという縁である。

展覧会の前半は彼が収集していた作品が展示されている。集めるだけでなく

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喧騒を離れ”パリ”へ~Bunkamuraザ・ミュージアム「写真家ドアノー/音楽/パリ」

喧騒を離れ”パリ”へ~Bunkamuraザ・ミュージアム「写真家ドアノー/音楽/パリ」

ロベール・ドアノーの写真展に行ってきた。
ドアノーと言えばやはりパリ。第二次大戦時のナチス占領下ら解放された歓喜に湧く時代から現代に至るまで、市井の人々の様々な表情を撮り続けてきた。

会場は1940年代のパリの空気ひとたび足を踏み入れると往年のパリに来たかのよう。
戦前戦後芸術家たちに変らず愛されたパリであったが、戦火を潜り抜けた花の都は、「狂乱のパリ」のようなはじけるようなエネルギーは影を潜め

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虚飾を生きる力に変えて~目黒区美術館「LIFE展」

虚飾を生きる力に変えて~目黒区美術館「LIFE展」

公立美術館は、このような状況下で限りある所蔵品を使ってどのような展覧会を企画していくか。それが腕の見せ所だと思うが、今回行ってきた美術館はド真ん中を投げ込んできたという企画展だった。
目黒区美術館「LIFE コロナ禍を生きる私たちの命と暮らし」展だ。

当美術館のHPによると、この展覧会の趣旨は次のようなもの。

英語の「LIFE」という言葉には、「命」と「暮らし」という意味があります。コロナ禍に

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