年代別に鑑賞しよう~ゴッホ展
何年かに一度開催される、”ゴッホ展”。
もちろん毎回足を運ぶのだが、彼の展覧会ほどハズレの少ない展覧会もないのではないだろうか。
今年も上野で開催されたゴッホ展へ行ってきた。
ゴッホにハズレがないのは、とても多作な画家だということがあるのではないだろうか。生涯に残した作品はわかっているだけでも800を超えるという。フェルメールの20倍以上である。
とはいえ、画家としての活動は10年に満たない。しかもこの10年の中で著しく画風が変わっていくのも大きな特徴とも言えるだろう。
だからゴッホを鑑賞する際には、描かれた年を意識して見るようにしている。
おおざっぱに分けると、
オランダ期(1880-1885年)
パリ期(1886-1888年)
アルル期(1888-1889年)
療養期(1889-1890年)
の4つの期間になるだろうか。今回の展覧会もほぼこの分け方になっている。
オランダ期の作品として素描が展示されていたが、こうしてみると思っていたよりきちんとデッサンしようとしているのがわかる。もちろん独学のため稚拙な部分はあるが。
フランス期はまだ地味な作風ではあるが、”ゴッホ”の萌芽が見られる時期。今回の展覧会では点描画が展示されていたのがとても珍しく興味深かった。
”レストランの内部”(1887年作)
アルル期は、いよいよ”ゴッホ”になってくる時期。
今回の展覧会では、特に黄と青の補色を効果的に使っている作品が多かったようだ。
「黄色い家」(1888年作)
そして療養期。波打つ模様が特徴的。彼の不安定な心の動きが投影されているようだ。
「夜のプロヴァンスの田舎道」(1890年作)
ゴッホの作品を前にすると、実物の作品の迫力というものを肌身で感じることができる。これはデジタル画像がどれほど細密になっても伝えきれないものではないだろうか。