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性は対称性を有するか否か~「美男におわす」

美術には、特に日本だけかもしれないが「美人画」と称される分野がある。
いままではそう括られる作品に対して何ら違和感は持たれることはなかった。日本画では、浮世絵の喜多川歌麿から上村松園、伊東深水、鏑木清方など連綿と受け継がれてきた。
でも、21世紀の今日、いまだに「美人画」ってどうなの?
そう疑問を呈したような展覧会が埼玉で開催された。埼玉県立近代美術館の「美男におわす」展である。

美男におわす_チラシ_1

美男におわす_チラシ_3

美人画の系譜をさかのぼれば、西洋の女神・ヴィーナスにたどり着くのだと思う。

ヴィーナスにたどりつくというよりかは、それは当時の男性の欲望を具現化したものではあるのだが。

会場には、若い女性も多く来ており、なかなかの盛況ぶり。
彼女たちは本展をどのように鑑賞したのだろうか。たとえば、半裸のイケメンがシナをつくっているような絵画作品。正直自分としては、なかなかに鑑賞に耐え難くもある。

こういうことか。

そう。美男画とは、いままで2000年来男性が女性に強いてきた価値観の押し付けを顛倒させた試みなのだ。美人画を見せられる女性の心情とはこういうものか。
男性にとっては(もっと正確に言えば異性愛志向を持つ心身一致の男性にとっては)、美男の裸体像など見たくもないのではないだろうか。

裸体像といえば、日本にはなぜか裸婦の銅像が公共の場に設置されていることが多い。その経緯についてはこちらの記事に詳しい。

男性と女性。ここには対称性があるのかどうか。男性から見える世界と女性から見える世界。そして今の時代にはその間にはスペクトラムのごとく様々な人たちが存在している。
その誰にとっても優しい世界なんて、考えただけでも頭がパンクしそう。文字通りのユートピアなのだろう。


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