生きづらさを感じる全ての人に「マインドフルネス」を学んでほしい
今回は私が最も興味を持っている分野である、「マインドフルネス」についてお話したいと思います。
私がマインドフルネスを実践し始めてから数年が経ちますが、マインドフルネスが私の生きづらさ軽減にかなり役立ってきました。
これまで、脳科学の学習や物を持たない暮らしの実践など様々なものを取り入れてきましたが、
私の人生最も役に立っているものはこのマインドフルネスです。
マインドフルネスは全ての人に有効であり、きちんと学んで実践すれば必ず効果を感じることができます。
Googleやセールスフォースのような海外の巨大テック企業が社内研修に取り入れていることはあまりに有名ですよね。
今回は簡単にマインドフルネスについてご紹介します。
マインドフルネスが私の生きづらさ軽減にいかに役に立つのか、私の経験も踏まえながら解説していきたいと思います。
1.マインドフルネスとは
①マインドフルネスとは何か
まず、最初にマインドフルネスとは何かということについてご説明します。
簡単に言ってしまうと、マインドフルネスとは「『今ここ』に注意を向けている状態」のことを言います。
ググると、マインドフルネス(mindfulness)とは、「今の瞬間に、評価や判断を手放して、注意を払うことから、わき上がる気づきの状態」と出てきます。
これだけでは少し分かりづらいですよね。
私は人に聞かれた時に、下のように説明しています。
「今まさに目の前に起こっていること(自分の思考や感情、身体感覚)に、ありのままに、気づいている状態」です。
より詳しく説明します。
例えば、あなたが友人からひどい言葉を言われたとします。
その言葉を耳にした瞬間、あなたは怒りに燃え、次に「どんな言葉で言い返そうか」と反撃の言葉を頭の中で考え出します。
もしくは、怒りにわなわなと震えながらも、ぐっと堪えようと自分の中の怒りと闘おうとするかもしれません。
これらの状態は、マインドフルネスな状態ではありません(「マインドレス状態」と呼ばれることもあります。)
一方で、マインドフルネスな状態では「自分が怒っていることに気づき、その怒りをありのままに見つめている状態」のことを指します。
ここで重要なのが、「ありのまま」ということです。つまり、自分の感情を善悪のジャッジをせずに見つめている状態です。
前者との違いは、怒りの感情に飲み込まれることなく、距離を置いたところから、怒りという自分の感情を見つめていることです。
私はよく、コロナ対策で使われるようなアクリル板が、「自分と自分の感情の間に置かれている状態」と例えています。
もう一つ例を出します。
あなたが今、一人で食事をしているとします。
たいていの場合は、食事をしながら食事とは無関係の別のことを考えてしまいます。
例えば、今日あった嫌なことを反芻したり、明日の予定を頭の中で考えたり、と。
これはマインドフルネスな状態ではありません。
一方で、マインドフルネスの場合は、食事に対して集中している状態です。
意識が味覚や舌触りに対して向けられ、美味しいかどうか・好きか嫌いかを考えずに、ありのままに観察しながら食事をとっています。
意識が過去や未来に向かずに、目の前のこと(今ここ)に注意を置いている状態であることが重要です。
大事なのは、「ありのまま」に目の前のことを集中していることです。
繰り返しますが、「ありのまま」とは、善悪や好き・嫌いのジャッジをせずに受け入れている常態のことを指します。
②実際に体験してみよう
マインドフルネス状態を実際に体験してみましょう。
30秒間目をつむってみてください。
この時、秒数をカウントするのではなく、大体30秒間経ったと思ったら終了してください。
実際にやってみましょう。
その間、何を考えたでしょうか。
おそらく、「何の意味があるのかな」「そろそろ30秒間経つかな」等の些細なことを考えたと思います。
それではもう一度目をつむってください。
次は、自分の思考が浮かんできたときにその思考を観察するようにしてください。
「あ、今自分は『~』と考えている」、というように、ちょうど雲が風で流れているのを眺めるように、自分の思考を眺めて観察してみください。
いかがでしたでしょうか。「思考を観察する」ということがどのようなことがお分かりいただけたと思います。
この「観察している状態」をマインドフルネス状態と呼びます。
また、上で例に出したように食感などの身体感覚を観察している状態もマインドフルネスと呼びます。
ここでご注意いただきたいのは、マインドフルネスとは決して「何も考えない」「頭の中を無にする」状態ではないということです。
マインドフルネスとは、何も考えるのではなく現在の自分の思考などに「気づいている」状態のことを言います。
2.マインドフルネスのメリット
マインドフルネスとは、『今』の自分の思考や感情、身体感覚などをジャッジすることなしに『気づいている』状態ということをお話しました。
次はマインドフルネスのメリットについて見ていきましょう。
主には下記のようなメリットがあります。
・不安/恐怖軽減
・抑うつ軽減
・自己否定感軽減
・ストレス軽減
・集中力アップ
・自制心向上
マインドフルネスを習慣化すると、扁桃体という不安・恐怖を司る脳の部位が縮小します。
また、不安を感じたときも、自分の身体の動きや鼻腔の空気の出入りなど、目の前のことに集中することで不安が和らぐという特効薬としての働きもあります。
(扁桃体については、別の記事でより詳細に説明しています。よろしければご覧ください)
マインドフルネスで自己否定も和らぎます。
脳にはデフォルト・モード・ネットワークという自動操縦機能があり、これが働いているときに自己否定の思考が起こる、と言われています。
しかし、マインドフルネスの状態にある時にはこの機能がストップし、自己否定の思考が止まります。
美味しいものを食感を最大限に活用して味わっている時間には、自己を批判する思考は湧いていません。これは容易に想像できるはずです。
マインドフルネスな時間を増えると自分を傷つける時間が減り、その結果、ストレスが減っていきます。
また、マインドフルネスはメタ認知の向上にも効果的です。
メタ認知とは、より高次の視点から客観的に自分を見つめる認知のことです。
「メタ(meta)」は「高次の」という意味です。
「神様の視点から自分を見ている状態」と言われれば、理解がスムーズかと思います。
メタ認知を鍛えることで良好な人間関係を築けるようになります。
自分を客觀視することで衝動的かつ不用意な発言が減り、より共感性の高い、相手に寄り添った言動が取れるようになります。
メタ認知は自己洞察にも役立ちます。
バイアスを減らし自分を客観的に見つめることができるため、自分の強み・弱みの発見にもつながります。
自分の感情コントロールが上手になり、中立的かつゴールフォーカス的な行動を取れるようになります。
マインドフルネスの効果は他にもたくさんありますので、ネットで調べてみてください。
3.マインドフルネスの鍛え方
人間の脳は、気をつけていないとすぐに過去や未来のことばかりに注意が向いてしまいます。
そして、ストレスや不安を感じます。
そのため、「今ここ」に注意が向いているマインドフルネスな時間を増やすことが必要です。
そのためにはトレーニングを行い、脳の構造を変化させ、マインドフルネスな脳を作ることが必要です。
最も効果的な訓練法は、瞑想です。
瞑想はストレスケアや集中力アップのためのトレーニングとして注目されていますが、
瞑想を習慣化することで脳の構造が変わりマインドフルネスな脳が作られます。
代表的な瞑想のやり方は、「座ったまま背筋を伸ばし意識を自分の呼吸に集中させる」というやり方です。
やってみるとかなり難しいことに気づくはずです。
すぐに注意が呼吸から逸れて、思考が彷徨い始めます。
そして注意が逸れたら呼吸に注意を戻します。
しかし、毎日続けていくと呼吸に集中できる時間が長くなるはずです。
瞑想のやり方を分かりやすく解説しているツイートを貼っておきます。
瞑想のコツは、毎日続けることです。長時間やる必要はありません。
1日1分間だけでも2週間以上続けることで効果が感じられるはずです。
瞑想には座る瞑想でだけでなく、食事瞑想や歩行瞑想など様々な種類の瞑想があります。
また、身体の動きに集中するヨガや、脳の構造を効果的に変えることのできる音読もマインドフルネスを鍛えるのに効果的です。
4.マインドフルネスで人生を豊かにしよう
マインドフルネスのメリットについて既にお伝えしています。
しかし私は、マインドフルネスを学ぶ価値の真髄は「今ここ」に集中することで「世界の素晴らしさ」に気づくことにあると思います。
私たちは生きるのに精一杯であり、過去の後悔や将来への不安で頭がいっぱいになっています。
家族への自分の発言が良くなかったのではないか、明日のプレゼンの準備は大丈夫か、など心配事に事欠きません。
常に「心ここにあらず」の状態です。
そのような状態では、私たちは自分のことに夢中で、外の世界に目を向けられていません。
しかし、本来は世の中は美しいもので溢れているはずです。
美味しいご飯、親しい人の笑顔、素敵な音楽、豊かな自然、雨の日の匂い、など。
マインドフルネスを実践すると、外の良いものに注意を向けることができるようになります。
続けていくことで、「世界はそんなに悪いわけではない」ことに気づくはずです。
ブラジルのアマゾン川流域にはピダハン族という少数民族が暮らしています。
彼らは、電気も水道もない西洋文明とは離れた生活をしているにも関わらず、「世界一幸福な民族」と呼ばれています。
その所以は、彼らが「過去・未来を表す言葉」を持たないことにあります。
つまり、過去と未来について考えることがなく、常に「今ここ」を生きています。
「今ここ」を生きてみましょう。
世界を新たな目で見つめ直すことができるようになり、人生に悲観することが減るはずです。
5.生きづらさを感じる私がマインドフルネスで変えたこと
自己紹介にも書かせていただいた通り、私はハンデをたくさん抱えており生きづらさを感じていました。
特に発達障害の特徴の一つである「脳内多動」のせいで、目の前のことに集中できず、常に頭は過去と未来のことでいっぱいでした。
発達障害にありがちな失敗ばかりの過去と、将来への漠然とした不安で、希死念慮や自殺願望ばかり抱いていました。
しかし5~6年前くらいから瞑想を取り入れ、マインドフルネスができるようになると生きづらさが少しずつ軽減してきました。
まず、メタ認知ができるようになると人間関係が好転し始めました。人間関係を自分自身で台無しにすることが減りました。
次に、集中力が向上すると仕事にも集中できるようになりました。また、感情コントロールが上手になると、ストレスや不安が軽減しました。
最大の成果は自分の人生や自分を取り巻く世界を「ありのまま」受け入れられるようになったことです。
マインドフルネスは白黒つけるジャッジメンタルを軽減させる働きがあります。
自分の人生を「最悪だ」と決めつけることがなくなり、「これでいいんだ」と考えられるようになりました。
まだまだ生きづらさは残りますが、少しだけ前向きになれました。
今は、自分の人生の助けとなっているマインドフルネスの素晴らしさを多くの方に伝えることこそが自分のミッションだと考え、Twitterやnoteで発信活動を始めました。
マインドフルネスは自分で経験して初めてその真価を知ることができます。
幸いなことに、マインドフルネスは元来の宗教性が薄れ世の中で受け入れられています。
書籍やネットの記事も増え、情報にアクセスしやすくなりました。
あなたの人生はきっと上を向くはずです。ぜひ実践してみください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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他にも、瞑想や脳科学の記事を書いています。よろしければそちらもお読みください。
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