竹内郁代

白血病患者だった息子の母親から見たあれこれを書いていきたいと思います。 アイコンは息…

竹内郁代

白血病患者だった息子の母親から見たあれこれを書いていきたいと思います。 アイコンは息子の著書『いつか、未来で』 https://amzn.asia/d/cBUO7vC のカバーイラスト(北村みなみさん)より。

最近の記事

ハプロ移植?臍帯血移植?

20歳の時の再発では骨髄移植を前提としたものだったので、どの移植を受けるのかを決めなければいけませんでした。 移植の方法としては、ハプロ移植か臍帯血移植という選択肢を出されており、病院側としては長期生存率のためにはハプロ移植の方が良いのではないかというお話でした。 ハプロ移植のメリット・デメリット ただハプロ移植はHLA(白血球の型)が半分しか合ってないドナーからの移植なので、完全一致の移植よりもGVL効果(ドナーのリンパ球ががん細胞を異物と認識し、攻撃する効果)が高いか

    • 2回目の命日

      息子が亡くなって今日でちょうど2年が経ちました。 亡くなった当初は、会う人ごとに「大丈夫?ちょっとは落ち着いた?」とか聞かれてたんですけど、そのたびに「はい。大丈夫です」って笑いながら答えていて。 ここで私が泣いて暮らしても息子は全然喜ばんだろうなとか、私があんまり泣いてたら、夫も娘も困るだろうなとかいろいろ考えて自分の気持ちに蓋をして笑っていました。 泣くことの意味 息子が亡くなった後、お葬式まで何日かあったので、娘とはその時、思いっきり泣きました。それから誰かが来てく

      • 点滴と採血のこと

        いつの入院の時も大変なのが点滴と採血で。 息子がYouTubeで「嫌なことランキング」を出したことがあってそこには入ってなかったんですけど、彼の闘病期間19年を通して普通にやらなければならないこと、やっていたことなので、意識にものぼらなかったんだと思います。 入院患者としては逃れられないことで、採血に関しては病院に行く以上必ずセットで付いてくるものなので、私たちがご飯を食べること、お風呂に入ることのようにやって当たり前のことだったから。でも地味にストレスは感じていたと思い

        • がんの子どもを守る会(ピアサポートカフェ)に参加して

          8月24日、高知でピアサポートカフェがありました。 去年、がんの子どもを守る会の高知支部の方にお会いしていろいろお話ししてる時、「保護者会がやりたいです」って言ったことで始まりました。 息子が白血病当事者としてYouTubeでいろいろ発信していたのを見ていて「それを隣で見て来た母親目線で何か発信出来るんじゃないか。今現在、困っている親御さんに何かアドバイス出来ることがあるんじゃないか」ってことをお話ししたら、高知支部で活動されてる方が賛同してくださって。 私自身、息子が病気

        ハプロ移植?臍帯血移植?

          白血病児、家での食事

          入院中、食事に関してはこだわりが強く、看護師さんや栄養士さんを困らせてた息子の家での食事はというと…。 ご飯は土鍋 家ではもともとご飯は土鍋で炊いて、味噌汁は昆布と鰹節で出汁から取って、という最近のお家ではあまり見ない食生活を送っていました。 というのも、夫がこだわりの人だったので。 もともと子どもたちが小さい頃はご飯も炊飯器で炊いてたんですが、ある日突然、夫が土鍋を買って来て「今日からスローライフを楽しもう」とか言って炊飯器禁止になりました。味噌汁もほんだしとか使って

          白血病児、家での食事

          白血病児、入院中の食事のこと

          入院中、1番大変だったのがご飯のことでした。 子どもの頃は… 最初の入院の時、まだ年中さんだった息子が入院したのは小児科でした。でも小児科と言っても大学病院だったので入院患者はおじいちゃん、おばあちゃんから子どもまで年齢層が幅広く、ましてや病気の人ばかり。必然的に味付けは薄めで魚や野菜が中心になって来ます。子どもの好きなハンバーグやカレーにはなかなかお目にかかることは出来ません。 そんな時の対策に、息子は家から塩(粗塩)と醤油(こだわりが強かった息子はあるメーカーの醤油し

          白血病児、入院中の食事のこと

          白血病、再発〜久しぶりの入院

          医療センターへ入院して次の日からどこへの再発かとか何の抗がん剤を使うのかが確定するまではステロイドを使うことになりました。 造影MRIやCTで異常が見られ、生検すると髄外再発が分かりました。本人が「ちょっと風邪気味。鼻づまりがある」って言ってたけど、そこに再発してたんですね。 それから本格的な抗がん剤治療が始まりました。 治療が始まると、抗がん剤の副作用で40℃越えの熱が何日も続いたり、吐き気が強くてガーグルベースを肌身離さず持っていたり、頭痛がひどくて起き上がれないなどい

          白血病、再発〜久しぶりの入院

          白血病、7年目の再発〜後編〜

          息子から電話があった次の日、夫と2人、車で岡山へ行きました。 道中、高知の大学病院でお世話になっていた前の主治医の先生に電話して「再発したかもしれません。どうしたらいいですか?」とか言って。2人ともとにかく不安でしょうがなかったから。でも結局のところ、岡山へ行って今の主治医の先生のお話を聞かないことにはどうしようもなかったんですけどね。 岡山に着いて息子と会った時に「大丈夫?」って聞くと「うん。再発とか言われてもなんのことかよく分からん。だってなんの症状もないのに」って言っ

          白血病、7年目の再発〜後編〜

          白血病、7年目の再発〜前編〜

          やっかいな隣人 息子が亡くなる前、新聞やテレビで何度か取り上げてくれたことがありました。その時息子が白血病のことを「やっかいな隣人」と言ってました。 最初「どういうこと?」って思ったんですが、ずっと息子を見ていて納得しました。 息子にとって白血病っていうのは、当たり前のようにずっと隣にいるものだったのです。病気的には時々暴走して治療を受けなければならなくなったりはするものの、基本的に移植のあとは病院に定期的に通いつつ、血液検査や骨髄検査をして様子を見ながら元気な人より少し

          白血病、7年目の再発〜前編〜

          障がい者に優しい社会とは

          息子は小さい時から病気のことを周りの人に「僕、白血病ながよね」って公表していました。 特別支援学校に通っていた時にはみんな何かしらの病気を持っていたのですが、何の病気なのか、とかは知らされてなかったです。何かの折に先生とお話をした時にお友達の病気の話になって、その時に「蔵君みたいに病気のことを声高にカミングアウトしてる子どもさんはいません。プライバシーの問題もあるので、私たちからは言うことは出来ません」って言われました。 「白血病やき」 その時の同級生の子は高校は息子と同

          障がい者に優しい社会とは

          最初の骨髄移植から退院までの道のり

          骨髄移植後、退院までかかる日数は人それぞれですけど、だいたい2〜4ヶ月ぐらいとされています。 うちの場合、最初の骨髄移植を受けた後、下痢や皮膚の急性GVHDがひどくなり、それがそのまま慢性GVHDに移行したので、なかなか退院することにはなりませんでした。 点滴もなかなか外れることはなく、1番多い時は、点滴棒に点滴が12個ぶら下がっていました。その時の日記を見てみると「今日、点滴が1個外れた!」とか書いています。よっぽど嬉しかったんでしょうね。 馬の血清… その時に使っ

          最初の骨髄移植から退院までの道のり

          病気への向き合い方〜息子(白血病児)の場合〜

          前に書いた病気への向き合い方〜それぞれの方法〜では、息子のことを書いてなかったなと思って。 息子は息子本人を知る人や、YouTuber「にゅーいん」として知られている人たちによく言われましたが、病気のことを悲観せず、常に前向きでした。 それがどうしてかなと思っていたのですが、この前、病気への向き合い方を書いたあと、気づいて…。 入院中、私はとりあえず明るく楽しく過ごしていたのですが、2日に1回、夜泊まりに来る夫は、いつも難しい顔をして、なんかよく分からない分厚い本を読んだり

          病気への向き合い方〜息子(白血病児)の場合〜

          病気への向き合い方〜それぞれの方法〜

          骨髄移植の副作用 前回の記事で書いた副作用は、下痢にしても血尿(出血性膀胱炎)にしても、肌の状態や痙攣発作・意識障害にしても、全部骨髄移植のGVHDでなり得るものでした。たぶん移植の前の説明の時に言われてたし、実際その時々で説明されたと思うのですが、あまりにたくさんの副作用や合併症がありすぎて、考えるのを放棄して、聞いたものの全てが素通りしてしまっていたと思います。 今、改めてnoteを書くにあたって急いで調べたり、自分の過去の手帳を見直したりしながら書いている始末です。

          病気への向き合い方〜それぞれの方法〜

          最初の発症から骨髄移植の時の副作用(GVHD)

          前回は最初の発症から骨髄移植の時のことを書いたので、今回はその副作用(GVHD)で特に大変だったことを書きます。 表現的にあまり綺麗じゃないところや痛いところもあるのでどうしようかなとは思ったのですが、大人になっての再発から後のことも考えると、これ抜きには語れないなと思って。食事の途中の方とかは読まない方がいいと思います。 抗がん剤治療の時は40℃越えの高熱が何日も続くとか、吐き気が止まらなくて一日中ベッドでガーグルベース(病院でよく見かけるピンクのうがい受けのことですね)

          最初の発症から骨髄移植の時の副作用(GVHD)

          白血病、発症〜骨髄移植まで

          息子の罹患した白血病の種類 話が前後しますけど、今までずっと書かせてもらってて息子の白血病の種類とかを全然言ってなかったなと思って。 5歳の時に発症した白血病は、T細胞性急性リンパ性白血病でした。 白血病は大きく骨髄性とリンパ性の二つに分かれていて、それが更に急性と慢性に分かれています。息子が罹ったのはそのうちの急性リンパ性白血病でした。 急性リンパ性白血病もB型とT型に分かれているのですが、最初説明してくれた医師の話では、小児の場合はB型が多くて、それは治療成績も良いと

          白血病、発症〜骨髄移植まで

          白血病児の大学生活

          大学には病気のことを何も言わずに入学していました。でも通院のこととか、他にも何かあった時に「連絡してなかった」とか「聞いてなかった」とかいうことがあっては困ると思って、どうしたものかいろいろ調べていました。そうすると大学にはコミュニケーション支援課という課があり、修学するにあたり、障がいのある生徒や、病気やケガなどによる一時的に支援が必要な生徒への合理的配慮をして頂けるということが分かりました。 保護者面談 4月の終わり頃、学校に連絡をして、その支援課の先生とチューターの

          白血病児の大学生活