がんの子どもを守る会(ピアサポートカフェ)に参加して

8月24日、高知でピアサポートカフェがありました。
去年、がんの子どもを守る会の高知支部の方にお会いしていろいろお話ししてる時、「保護者会がやりたいです」って言ったことで始まりました。
息子が白血病当事者としてYouTubeでいろいろ発信していたのを見ていて「それを隣で見て来た母親目線で何か発信出来るんじゃないか。今現在、困っている親御さんに何かアドバイス出来ることがあるんじゃないか」ってことをお話ししたら、高知支部で活動されてる方が賛同してくださって。

私自身、息子が病気の時はそういった会に参加したことがなく、どれぐらいの人が集まるのかとかどんな話をするのかとか、全く分からないまま参加しました。去年は人数は20人弱で、支部の方が言うには、コロナ後全国でも初めてだったらしく、人数も1番多いって言われてました。

やってみて、いろんな悩み事を抱えてる保護者の方がいることが分かりました。
学校のことや食事のこと、小さい頃発病してからもうすぐ思春期に入られる子どもさん。どれも息子と乗り越えてきたことに、みなさん、今現在、直面されていました。「ああ、あんなことあったな」「こんなふうにしたよな」って思うことがたくさんあったけどすぐに言うことが出来なくて、後から「こんなふうに言ってあげれば良かった」とか後悔がたくさん残りました。

その時に驚いたのが、自己紹介の時に「白血病YouTuberにゅーいんの母です」って言ったらみなさん「ああ。にゅーいん君の…」って言われてて。息子はTVや新聞でよく取り上げて頂いていたので、思ったより有名人でした。
あとから「にゅーいん君のYouTube、よく見せてもらってました」とか「ファンでした」って言ってくださる方もいて。
息子が最後のTVで取り上げてもらった時にインタビューで「世間に爪痕を残したい」って言ってたのですが、十分残してたし、皆さんのお役に立ててたんだなと、改めて思ったことです。

ただ、開催するにあたって私の中では葛藤がありました。
どういっても私は大変な時期が終わってしまった人間なので、今現在、大変な渦中にいる方たちに「もう大変な時期、終わってるやん。私たちは今が大変なの」って思われそうで。
前回、がんの子どもを守る会の高知支部の方にお話しして保護者会が決まった後も、けっこう悩みました。「独りよがりではないのか」とか「大きなお世話とか言われるんではないか」とかいろいろ。

そんな時に、私が今お世話になっている精神科の先生に「子どもさんが亡くなられた後でもこんなふうにお話ししてくれる方は有難いです。どちらかというともう話したくないですとか、思い出したくないですとか言われる方が多い中、竹内さんみたいに何でも包み隠さず話してくれる方っていうのは医者の観点からしてもものすごく勉強になります」って背中を押して頂きました。

今年は去年よりも人数が少なかったけど、その分お一人お一人の顔を見て、いろんな話が出来たと思います。
去年と同じ轍は踏まないと思って参加したので、聞かれたことには答えることが出来たし、それ以上のことも話してしまったと思います。

会の後で、がんの子どもを守る会の理事の方に「たくさんお話を聞かせてくれてありがとうございました」って言って頂いて、喋りすぎではなかったんだと少し安心もしました。
それから「やっぱり当事者でなければ分からないことは多いですよね」っていうお話も。
元気な子どもさんを持ってる親御さんに「大丈夫?頑張って」とか「大変やね」って言われても全然響かんって言ってる方もいて。でも同じ立場の人になら言える、言って分かってもらえると思うと心が軽くなると思うから。

自分が話すことの意味

大学で講義に参加させて頂いた時も思ったのですが、私にとって息子と過ごして来た、普通に生活して来たことを話すだけなのに、それでも皆さんに「貴重なお話ありがとうございました」って言われることが多くて。それだけ皆さん、いろんなことを探りながら悩みながら生活されてるんですよね。

病気の子どもさんを持ってる親御さんって、全員が全員っていう訳ではないですけど、だいたいが自分は普通に健康な子どもだった方が多いので、普通でない、健康でない子どものことが分からなくて。普通に家で過ごすことだけでも分からないのに、その子どもが社会にどう関わっていくかとか全く未知の世界なわけです。

例えば、息子が高校に上がった時に、学校の階段を上がるのがキツくて、教室に着いたらへとへとで授業を受けるどころの話じゃなかったとか教室移動がしんどくて本当に辛かったとか言われても、元気だった夫と私と娘には意味が分からなくて。
そういう細かいところでさえも私たちとは全く違うから、そんな中で社会といかに関わっていくかということを、病気の子どもさんと家族は考えていかないといけません。分からなければ分からないなりに自分の中の普通と子どもの普通を擦り合わせながら社会に関わらせていかなければならないので。
病気の子どもさんって我慢強いから、なかなか「出来ない」とか言ってくれません。うちの息子もそうでしたけど。
そういった中で前例があるとすごくありがたいですよね。「こんなふうにすればいいんだ」とかそこから気づくことが出来るから。
なので私たち親子が歩んで来たことをお話しする意味がそこにあるのかなと思いました。

心の中を吐き出す

それから闘病中の子どもさんを持つ親御さんだけでなく、悲しいことに子どもさんを亡くされた親御さんも、なかなか亡くなった子どもさんの話をする機会が無くなっていって、自分の中にいろんな思いがどんどんどんどん溜まっていくと思います。そういったものを吐き出さないといつまで経っても前に進むのが難しいから。でも誰にでもそんな話出来ないですよね。そんなこと言われても相手の人がなんていえば良いのか困るだろうし。
そういう意味でも、亡くなった子どもさんのことを思いっきり話せる場があると救われると思います。そこから次につながる何かを見つけられたらいいので。「がんの子どもを守る会」ですけど、大きく考えたらその中には親も絶対入っているし、親の精神が不安定になればその兄妹児、家族まで巻き込まれてしまいます。そのためにもこういった場は絶対必要だと思います。来年も再来年も続けて行きたいと思いました。

ありがたいことにがんの子どもを守る会の理事の方から「一緒に活動しませんか?」っていうお誘いがありました。何が出来るか分かりませんけど、何かお役に立てることを探りながら一緒に活動していきたいと思います。

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