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羽田事故で再脚光! マシュー・サイド『失敗の科学』を徹底解説

 今回は、2016年に発売され、たちまちベストセラーになったマシュー・サイド『失敗の科学ー失敗から学習する組織、学習できない組織』を紹介したいと思います!

 皆さんも、書店で見た覚えはありませんか?

 実はこの本、もともと売れていたのですが、2024年1月2日の羽田空港地上衝突事故が起こって以来、更に売り上げを伸ばしているんです!

『失敗の科学』は、組織や個人における失敗の構造を、様々な分野の事例を交えて解き明かしたマシュー・サイドによるベストセラーです。

主な内容

  • 失敗の捉え方、発生メカニズム

  • 失敗から学び、成長するための組織・個人の条件

  • 失敗を恐れない文化の醸成

など、失敗と向き合うための知恵が満載です。

読めば身につくスキル

  • 失敗は避けられないことを理解し、そこから学ぶ姿勢を身につける

  • 失敗を恐れない文化を築き、組織の成長を促進する

  • 困難な状況を乗り越え、目標を達成するためのレジリエンスを養う

失敗の本質を理解するために

「失敗」の定義とは何でしょうか?  失敗とは、目標を達成することができなかったり、期待した結果が得られなかったりする経験を指します。失敗は、単なるミスや過ちではなく、そこから学び、成長する絶好の機会でもあります。

 失敗の科学では、失敗を3つのカテゴリーに分類しています。

  • 不注意による失敗 軽率さや不注意によって起こる失敗

  • 知識不足による失敗 必要な知識やスキル不足のために起こる失敗

  • 意思決定の失敗 状況を誤解したり、適切な判断を下せなかったために起こる失敗

 そして、これらの失敗には、共通するパターンとそれを防ぐための方法が存在するのだとマシュー・サイドは指摘しています。それぞれ解説していきます。

共通パターン

  • ヒューマンエラー 疲労、ストレス、集中力の低下など、人間の心理状態が影響して起こる失敗

  • コミュニケーションエラー 情報の伝達ミスや誤解など、コミュニケーション不足によって起こる失敗

  • システムエラー システムの設計ミスや故障など、システムに問題があったために起こる失敗

失敗を防ぐ方法

  • ヒューマンエラーを防ぐ 十分な休息、ストレス管理、集中力の維持などの対策をする

  • コミュニケーションエラーを防ぐ 情報共有の徹底、明確な意思疎通、双方向のコミュニケーションなどの対策

  • システムエラーを防ぐ システムの安全性向上、定期的なメンテナンス、ヒューマンエラー対策との組み合わせ


失敗から学ぶための条件

  • 心理的安全性の高い環境 失敗を責められることなく、自由に意見を言ったり、試したりできる環境を整備すること

  • 振り返りの文化 失敗を振り返り、原因を分析し、再発防止策を講ずる文化をもつこと

  • 成長のマインドセット 失敗を恐れずに、そこから学ぶ姿勢の重要さ

 組織や個人において、これらの条件を整えることができれば、失敗を糧に成長することができます。

 本書では、これらの内容に加えて、様々な業界における失敗の事例や、失敗を恐れない文化を築き、イノベーションを起こす方法なども紹介されています。

 失敗の具体的な事例ですが、この本では主に「医療」「航空」「司法」という、3つの異なる分野を縦断して事例を紹介しています。

医療

  • 手術中のミス 外科医が誤った部位を切除したり、手術中に道具を患者体内に残したりするなど、手術中のミスは重大な結果をもたらす例

  • 診断の誤り: 医師が患者の症状を誤診したり、適切な検査を実施しないことで、適切な治療が遅れる例

  • 薬の処方のミス: 誤った薬を処方したり、投薬の分量を間違えたりすることで、患者が重篤な副作用を起こす例

航空

  • パイロットの操縦ミス パイロットが操縦を誤ったり、管制官の指示に従わないことで、航空機事故が発生する例

  • 整備不良 整備士が整備を怠ったり、整備に不備があることで航空機事故が発生する例

  • 悪天候 悪天候によって視界が悪くなったり、突風が発生したりすることで、航空機事故が発生する例

司法

  • 冤罪 証拠不十分や誤った捜査によって、無実の人が犯罪者にされてしまう例

  • 判決の誤り: 裁判官が誤った判断を下すことで、正義が歪められる問題例

  • 司法制度の問題: 司法制度に問題があったり、法解釈が曖昧だったりすることで、冤罪や判決の誤りが発生する例

 このような失敗は、私たちの生活あらゆる場面で起こり得ます。
 重要なことは失敗から学び、再発防止策を講じることである、とマシュー・サイドは指摘しています。

 組織としては、心理的安全性を確保し、失敗を隠すのではなく、積極的に分析して共有する文化を醸成することが重要です。 個人としては、自分の失敗を認め、そこから何を学ぶべきかを考えることが重要です。

 失敗を恐れないことで、私たちはより良い自分、組織ならよりよい組織を作ることができます。

 羽田空港地上衝突事故の真相は未だ解明されていませんが、この本の指摘するように何らかの「失敗」があったことは明らかです。重要なことはヒューマンエラー、コミュニケーションエラー、システムエラーを科学的に解明し、防止策を取ることであると、わたしも思いました。

 皆さんも、ぜひ『失敗の科学』を読んで「失敗」と向き合うための知恵を身につけてみませんか?

 この1冊を手に取って、失敗を推進力に変える実践的アプローチを学びましょう!


【編集後記】
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