そばには毒がある〜〜こんな風評被害があった。(役に立たないそば屋の話16)
「困ったなあ。」
そば屋の太兵衛さんが渋い顔をしている。
「困ったなあ。」
やはりそば屋仲間の弥太郎さんも、
同じように眉間にしわを寄せて、相づちを打っている。
「どうしたものだろう。」
がらんとした店の中を見回しながら、
太兵衛さんが言うと、
「さあ、どうしたものだろう。」
と、弥太郎さんも、生気のない顔で答える。
隣り合わせで張り合って、
そば屋をやっていた二人だが、
今日は顔を突き合わせて相談している。
それほど、深刻な事態が起こっているわけだ。
場所は江戸、
時は