貴方を思い、願いを返して 1837文字【うたすと2 ブーケ・ドゥ・ミュゲ】
小雨のように見えて、小雨よりも弱い雨が降っていた。
私は一人。縁側近くに座り、小糠雨が止んで月が見えてはくれないだろうかと願っている。
貴方は月が好きだったから、夜の月を見れば貴方と繋がった様な気になるのだ。
「……馬鹿よね。私
別れを切り出したのは、私なのに」
彼は商家の次男坊。次男で生まれてきた彼は考え方は柔軟で、おおらか。
自分は家を継ぐ順番にはないからと言って、勉強や作法、家の商いはがり教え込まれていて外を見に行けないと嘆いていた兄の代わりに、自分が外を見