キル【秋ピリカ2024参加】
今しがたの情交に女は男の頬を愛しく撫でた。
布団の中で同じ温度を保つ肌に触れながら男は目で合図をし「もう行かないと」と体の中にある女の熱を除外するように布団から出て身支度を始める。
「もう少しだけいて欲しい」声になるかならないかの吐息のようなものに男は蓋をするように「また来るからね」と呟く。
男はこの時間が苦手だった。ただの情事とは言えない何かが男を蝕み始め、戻るに戻れないぬかるみにハマっていった。本当はこのままこの場所に居続けたい衝動に駆られるのを抑えながら、いやそれを払い