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「WHY」 静寂の福音に導かれて・・・

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事業敗退~再起のモノガタリ 舞台は 南インド・チェンナイ~ガーナ・ブルキナファソ国境の名も無き村~ドバイ~シンガポール~日本
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「WHY」 静寂の福音に導かれて・・・

From エスポア島

To ここに 辿り着く前の俺自身へ・・

赤土の泥にまみれていた 

「名も無き村」で音無き福音を静寂から

ギフトされ目覚めを得た俺。

金銭面や 名誉での再起を求めて 日本を飛び出したはずたったのだが・・

今一度  あの福音を この海岸にて

味わい直してみようか?

「WHY.inc」始動カウントダウン

スーツケースには、数日分の着替えを入れ終え、迎えのタクシーで空港に向かうのみになった。

まだ採用が確定すらしていない自分に、3ヶ月FIXのビジネスクラス航空券が送られてきていた。

一体「East Sun」社はどんな資本力を持った会社なのだろうか?。

久しぶりの海外なのだが、思っていたよりあっけなく自分はシンガポールに向かう機上の人となっていた。

ここ10数年間、トラックでの集配を含め地べた

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「MR・山竹お待ちしていました。」

山竹を空港に迎えに来ていたのは、シンガポール事務所のセッティングを終えてドバイ入りしていたサラバナンだった。

「初めまして、山竹です。サラバナンさん日本人に呼び止められたかと思いました。」

大音量のアザーンが響き渡る空港フロア前で、自分は、インド系青年に日本語で呼び止められ、驚いていた。

「サラバナンさん。自分はある程度英語話せますので、英語で構いません

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15:00。

迎えに来たサラバナンの車に乗り込んだ。

EK機内では、夢たちに苛まれ眠りが浅かったが、ホテルでの仮眠で、身体中の細胞一つ一つにまで英気が漲ってきている。

オリエンタルと言う陳腐な言葉しか浮かんでこないが、そんな川沿いを抜けると、多くのインテリジェンスビルが林立するエリアに車は入って行った

「凄い街ですね。」と サラバナンに声を掛けると

「私はシンガポールから来てるんですが、

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「さぁ、奥の部屋でMR・進道とパートナーのMR・シャンカールがお待ちです」

サラバナンに促されて、竹山は広いオフィスを奥へと進んでいった。

スカイプの画面に映しだされていた青空が広がる、開放的なオフィスだった自分の左右には5人ずつ大きな何枚ものモニターがセットされたデスクで、チャートを見ている人間、モニター越しにWEBミーティングをしている人間と、投資系コンサル会社と概要に記載されていた通りの

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「これからの話を聞いて興味が沸かなかったり、賛同出来なければ決して無理せず正直に言って下さい。」

進道氏の眼に力が入った。

そして、隣に座るシャンカール氏も自分の心を射抜くように自分の眼を見ている。

「山竹君。想像して見て下さい。君の娘が成長していく過程で、情報や思想までパッケージングされ、問いなど全く必要なく育っていく事と、何処かで何かのきっかけで問う事の大切さに気づき、自分自身が情報や思

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「しかし、その快適なだけの生活を続けて人生を終えて良いのだろうか?そんな(問い)にぶつかったんだよ。私はこうして国を跨いだ人間の縁や運に恵まれ今後、欲望と格闘する必要ないレベルの資産も手にした。その資産を何かの形で還元していく必要を感じて想起されたアイデアが今から説明をするプロジェクトだ。日本を離れてから、日本を垣間見る機会は極端に減っていからも知れないがそれでも出張中に機内で手にした新聞や雑誌、

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「先ず第一期の展開は、マスメディアの徹底利用。受身型国民には、これが一番訴求率が高いと思うのでね。大手広告代理店を使い、全国主要都市駅を中心に(WHY)の文字がデザインされた、このステッカーを50万部配布します」

自分はサラバナンから手渡された、縦5cm横15cmのステッカーには、先程モニターに浮かび上がっていた、黒から灰色そして白へとグラデーションの掛かったデザインで「WHY」とデザインされて

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「概要は大変興味深く、挑戦させて頂けるなら是非やらせて頂きたいと思います。けれど、利益を目的としない活動と仰られていましたが、自分の給与は何処から捻出されるのでしょうか?」

「あぁ、すまない。その部分の説明をしなくてはいけなかったね。毎月の給与は君が解雇される前の賞与を含めた給与年収を12分割し毎月こちらから振り込みます。ドバイでの打ち合わせ渡航、滞在費や、広告代理店の追加諸経費等も全て、私の資

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「有難う山竹君。実は私を含めたここに居るメンバー全員が、君は承諾してくれると思っていたんだ。3ヶ月間に近いの求人掲載中に何十人かのコンタクトはあったのだが、自己愛からの挫折者や、給与や待遇など、ドバイに来る前に全部教えて欲しいとかね。私が、目指そうとしてるビジョンにそぐう人種ではなかった。リスクを恐れる人間、日本を一度離れてミーティングをすると言うのに、日本的なマインドを持ち込む人間。そういう人種

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4人を乗せた車は、近代的なビルが立ち並ぶエリアから、少し古ぼけ煩雑な一角に入っていった。

カンドーラという、ここに来るまでに見てきたサウジアラビアを中心としたエリアの正装を着た人が減り、ラフな格好をした人達が増えてきた。

「このエリアは、ドバイバブルに連動した建築ラッシュが始まりだしたのと合わせて、スリランカ、パキスタン、バングラディッシュやインドネシアと言った、どちらかと言うとイスラム色の強

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「ここのマトンカレーは、このエリアでは知らない人が居ない位の人気メニューなんです。さぁ、どうぞ」

シャンカール氏が目を輝かせながら、大きなボールからカレーをよそってくれた。
「East Sun」社を立ち上げた二人は、同級生である事、米国で起業資金を貯め銘々が起業した事などを、南インドではナンでは無く、チャパティと言うナンより随分薄いトルティーヤのようなものを手元のカレーにつけながら食べ、会話も弾

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「そうだねぇ、中華系を含めたアジアの人達も現場関係に居ない事はないが、今の季節はまだ日中の暑さに加減があるが、もう直ぐ迎える乾季になると日中40度はあっさり超える土地柄だしね、それとイスラム教の繋がりもあるので、この店で見かける国々の人が現場関係には多いね。貿易関係の職種には驚く位多くの、中国系、韓国系の事業家は多いよ。
サービス関連業種には、山竹君がホテルで会ったように、フィリピンの人が
多いで

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「ホテルはその後どうだ?」
山竹をサラバナンと送り届けた後、自宅からガーナのイマノワにスカイプの着信を入れた。

「お久しぶりです。MR・進道。お陰さまで順調です。ダニエルもホテル支配人が板についてきて、ガーナ国内企業の外貨獲得コンベンションや、日本のNGOの会議などの受託を取り付けてきました」

画面に映るイマノワは快活そのものだった。
背中に大きなラジカセを背負っていたひょうきん者のダニエルの

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