「WHY.inc」始動カウントダウン

「先ず第一期の展開は、マスメディアの徹底利用。受身型国民には、これが一番訴求率が高いと思うのでね。大手広告代理店を使い、全国主要都市駅を中心に(WHY)の文字がデザインされた、このステッカーを50万部配布します」

自分はサラバナンから手渡された、縦5cm横15cmのステッカーには、先程モニターに浮かび上がっていた、黒から灰色そして白へとグラデーションの掛かったデザインで「WHY」とデザインされていた。そしてステッカーの右端には縦1.5cm横3cmのスマートフォンなどに貼る事の出来るサイズで同様の文字が2枚分ついていた。

このステッカーの右下に、小さな文字で「WHY.inc.」と描かれてあった。

進道氏は、ステッカーのデザインページをモニター上から、フォルダーに戻し、次の概案書を指先でスライドさせ表記した。

「ステッカーの配布要員は、金髪隻眼の白色系外国人を使います。これは通行人の興味を引く事と敗戦後日本の文化形成から推測して、新しいものは西洋から・・という概念を逆利用していきます。少し卑屈なアイデアだが、訴求率を高めていく為にこの部分は苦断しました。ステッカー配布が、北海道から都内主要駅に入りだす頃を見計らって、主要な情報番組(ローカル局も含む)の若手コメンテーターやグルメレポーター、芸人や女性タレントなどに、こちらにある半袖、長袖を含めた同文字がデザインされたTシャツを着用して出演させます。その時点で(WHY.inc.)WEBサイトにステッカー300円(3US$)と各種Tシャツ2000~4000円(20~40US$)の販売ページをUPさせます。営利目的での活動ではありませんが、これはタレント等が着用している事の整合性を取る為形を整えておかなければならないので・・・。」

手渡されたTシャツはインド製で素材は麻だった。とても肌触りが良く前面にはステッカーと同じロゴが綺麗にプリントしてあった。

「第一期メディア展開中、この(WHY.inc.)のWEBサイトのアクセス解析と保守管理等は、サラバナンに行ってもらいます。」

自分の横の席に座っていたサラバナンは、モニターをタッチし「WHY.inc.」のWEBサイトを開いた。白地画面中央に黒字で「WHY」とだけ書かれたサイトでその「WHY」の文字をタッチすると、

「人は問いを持ち、それを突き詰める事から成長が始まる」

と日本語、英語を含めた多国籍言語でその文字が浮かんで来た。

この文字以外には「販売予定」とのボタンのみ画面右下に見えるだけのとてもシンプルなWEBサイトだった。サラバナンは別途ファイルをタッチし、このサイトの特殊な解析画面を呼び出し、詳細な解析が行える事を見せてくれた。

「第二期以降は、メディア扇動を再度かける必要があるのか?も含め流動的な事となるので、反応を見てから打ち合わせを行う予定です。こ(WHY.inc.)プロジェクトの代表として活動してもらう事が、今回のオファーです。」

進道氏は、あの狙った獲物は捕らえて離さない眼で真っ直ぐ自分を見据えている。


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