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ニュースの手帖

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法人は個人を守らない話 その4 小学館のプレスリリース、義理と人情の絶妙なバランス

法人は個人を守らない話 その4 小学館のプレスリリース、義理と人情の絶妙なバランス

▼人の噂も七十五日、という諺(ことわざ)があるが、SNS時代は、情報の消費スピードが随分はやくなったから、人の噂も7.5日、かも知れない。まるで「シカゴ」の主人公二人の興行が、たった一週間で終わってしまうようなものだ。

以下、適宜改行と太字。

▼D。〈ドラマ「セクシー田中さん」脚本家・相沢友子氏が追悼「頭が真っ白に」 自身の投稿を反省「深く後悔」/スポーツニッポン2024/2/8 15:46(

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法人は個人を守らない話 その3 『これ描いて死ね』が心に刺さる

法人は個人を守らない話 その3 『これ描いて死ね』が心に刺さる

▼とよ田みのる氏の『これ描いて死ね』第5巻と松本大洋氏の『東京ヒゴロ』を読んだ。

両作とも自宅で読んだが、落涙を抑えられなかった。

▼『東京ヒゴロ』は、編集者とマンガ家の物語。名作である。『これ描いて死ね』は、第5巻の帯や表紙の文言を引用する。

帯〈漫画、その光と影。/光があるから影がある。漫画創作は楽しくて、そして苦しい。夢破れた先生と、夢に向かう生徒たち。漫画と共に生きる物語。/漫画大好

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「根拠が分からないものの拡散に自分は加担しない」という話

「根拠が分からないものの拡散に自分は加担しない」という話

▼能登半島地震をめぐって、2024年1月8日「北國新聞」に載っていた、兵庫県立大学教授の木村玲欧氏のSNS論を抜粋する。木村氏は京都大学で情報学の博士号をとり、専門は防災心理学や防災教育学。

▼基本的に「SNSと金儲けと編集者と」で紹介したものと同じだが、

より細かく論じられている。「災害とSNS」について考えるための、現時点での、もっとも簡便な資料だ。適宜改行、太字と【】は引用者。

〈今回

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能登半島地震報道の局面が変わった話  「北國新聞」2024年1月8日付などを読む

能登半島地震報道の局面が変わった話  「北國新聞」2024年1月8日付などを読む

▼能登半島地震が起きてから1週間経った。局面は変わった。以下、引用の太字は引用者。

「北國新聞」2024年1月8日付1面肩に、能登半島地震取材班による〈災害関連死 防がねば/「全村避難」ためらわず〉という記事が載った。災害発生直後の救命活動は終わりつつある。

▼岸田政権の動きが鈍い。石川県の動きも鈍い。これまでの「常識」と比べて、後手後手に回っているように見える。

いっぽう、被災地の最前線の

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まだボランティアに行けないし、行ってはいけないという話(その3) 「北國新聞」2024年1月7日付を読む

まだボランティアに行けないし、行ってはいけないという話(その3) 「北國新聞」2024年1月7日付を読む

▼能登半島地震について。2024年1月7日付「北國新聞」28面に、〈能登へ大挙、渋滞さらに/遠方の親戚や知人/知事「 来ないで」呼び掛けも〉という囲み記事があった。適宜引用、太字は引用者。

〈3連休初日となった6日、能登半島地震の被災地に向かう車で国道などがこれまで以上に渋滞した。全国から駆け付けた緊急車両のほか、親戚や知人の無事を確認しようと訪れた石川県外ナンバーの車も大挙。救助活動の遅れを懸

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まだボランティアに行けないし、行ってはいけないという話(その1) 「北國新聞」のルポを読む 2024年1月5日付

まだボランティアに行けないし、行ってはいけないという話(その1) 「北國新聞」のルポを読む 2024年1月5日付

▼電子版が普及して、実に便利になった。各地のブロック紙・県紙が、携帯電話で読める。

▼北國新聞によると、のと里山海道は石川県の代わりに国(国交省)が復旧するそうだ。2024年1月5日付。適宜改行、太字は引用者。

〈県によると、のと里山海道と能越道では、県管理区間で大規模崩壊19カ所、段差やひび割れ122カ所の計141カ所が被害を受けた。〉

▼今週末の天気予報は雪だ。

▼同紙1面の見出しは、

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コロナ禍で浮き彫りになった感染症差別の話

コロナ禍で浮き彫りになった感染症差別の話

▼感染症差別といっても、今号は、新型コロナウイルスの患者が差別される話ではない。

▼コロナ禍という世界的な出来事を強烈に相対化する記事が2023年5月9日付「朝日新聞」に載っていた。

〈ピーター・サンズ「グローバルファンド」事務局長に聞く 上/コロナで後退 3大感染症(エイズ・結核・マラリア)の克服を/中低所得国では後回しにされ 今なお流行/何十万もの子どもの死 手段あるのに座視〉

▼一言で

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ウクライナ戦争は「アメリカが管理する戦争」である話

ウクライナ戦争は「アメリカが管理する戦争」である話

▼10日ほど前、ドイツの戦車をウクライナに供与するかどうか、が日本語の国際ニュースの大きな話題になっていた。これは「西側」の利害に大きく関わるから、ニュースの扱いが大きくなる。

そして、ドイツが戦車を供与するかどうかは、「ウクライナ戦争が長期化するかどうか」に関係する。ドイツはアメリカと話し合った後、供与すると決めた。ウクライナ戦争が終わる兆しは無い。

▼最近のニュースから2つ。共同通信とNH

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他国を救わないと、自国がとても損をする話

他国を救わないと、自国がとても損をする話

▼「三田評論オンライン」に載った、ゲイツ財団日本常駐代表の柏倉美保子氏のインタビューから。(2021年2月15日)

友人から教わったのだが、とても興味深い話だ。

▼ゲイツ財団は、「COVAX(コバックス)ファシリティ」という、途上国にもコロナワクチンを行き届くようにするシステムづくりに努力しているのだが、先進国のなかでは、日本は最初に手を挙げた国だ。これを筆者は日本人として誇りに思う。コバック

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熱中症で亡くなる高齢者の4割が、家にエアコンが無い件

熱中症で亡くなる高齢者の4割が、家にエアコンが無い件

▼数年前、住んでいるアパートの窓が南向きで、夏が猛烈に暑く、そんな時期に限ってエアコンが壊れてしまい、修理の業者が大忙しで、エアコンが直るまでに10日以上待たねばならない、というひどい目に遭ったことがある。その時のことを思い出した、2021年4月28日配信のNHKニュース。適宜改行と太字。

〈昨夏 東京23区内 熱中症で死亡の高齢者 約4割“エアコン無し〉

〈熱中症の対策ではエアコンの適切な利

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朝日新聞が信濃毎日新聞に続いて東京オリンピック中止を訴えた件

朝日新聞が信濃毎日新聞に続いて東京オリンピック中止を訴えた件

▼きのう、信濃毎日新聞が東京オリンピックを中止すべきだと書いた社説を紹介したが、全国紙でも朝日新聞が2021年5月26日付で、オリンピックを中止すべしという社説を掲載した。

▼信濃毎日が5月23日付、朝日が5月26日付。23、24の2日間でどんな議論があったのか興味深い。適宜太字。小見出しに■をつけた。

〈夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める〉

〈新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、東

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信濃毎日新聞が東京オリンピック中止を訴える社説を載せた件

信濃毎日新聞が東京オリンピック中止を訴える社説を載せた件

▼2021年5月23日付の信濃毎日新聞に、東京オリンピックを中止すべきだと訴える社説が載った。

全国紙は、まだ開催すべしとも、すべからずとも書いていない。

これは、今後の世論の分水嶺(ぶんすいれい)になるかもしれない。

▼医療の崩壊、開催の意義、社会の分断、の3つのテーマで堂々と論じてある。

▼オリンピック開催の意義は、最初は東日本大震災からの「復興」だった。それが、いつしか「コロナウイル

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「法案のミス多発」と「政治主導」が深く関係している件

「法案のミス多発」と「政治主導」が深く関係している件

▼最近の日本経済新聞のコラムで面白かったもの、の続き。

2021年3月28日付の「春秋」。政治主導とコロナ禍で、官僚にかつてない疲れがたまっている問題について。

まず、冒頭が面白い。

〈「次に掲げる」をどう読むか? 霞が関の官庁街では「ジにケイげる」が正解である。法案作成で誤字は許されない。そこで送り仮名や同音異義語のミスをなくすため音読み訓読みを工夫する。規定はキサダで規程はキホド。奇妙な

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「バブル経済」と「ウイルス」は結構関係が深い件

「バブル経済」と「ウイルス」は結構関係が深い件

▼最近の日本経済新聞のコラム「春秋」から、面白かったコラムをいくつか紹介したい。今号は、2021年3月27日付。

〈世界で最初の経済バブルは、17世紀半ばにオランダで起きた。チューリップバブルである。合理的で無駄づかいを嫌うお国柄で知られる人々が、植物の球根に狂乱した。先物取引も登場、たった1個に邸宅が買えるほどの値段がついたというから、なんともすさまじい。〉

▼特に珍重(ちんちょう)されたの

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