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ナマケモノなんかじゃない 番外編(2015/07/08)
番外編 ドングリ三兄弟のナマケモノ捕獲大作戦!
七夕の夜、チャーリーとおしょくじくんたちが閉園後の動物園に向かっている、ちょうどその頃。
ドングリングリンの弟分ドングリ三兄弟は、ドングリングリンに手柄を立ててもらいたい一心で、眠い目をこすりこすり、山のふもとまで転がってきていた。
『ミーミーミーミン!』(なんとしてでもナマケモノを捕獲してドングリングリンに献上するのだー!)
『チーチーチー
ナマケモノなんかじゃない 七 (全七話)(2015/07/07)
第七話 ナマケモノなんかじゃない
「さてと、冗談はさておき、君たちはもう帰りなさい。」と、園長さんは真面目な顔でそう言った。
え! と僕たちは鳩に豆鉄砲な顔つきで園長さんを見つめ返した。冗談?
「ここは特等席でね、毎年七夕の夜には、あの光をここで眺めているんだ。お話は僕の先代の園長から聞いたことだから、あてにはならないよ。先代は作り話が大好きだったからね。」
じゃあ、あの光は? との問いか
ナマケモノなんかじゃない 六 (全七話)(2015/07/07)
第六話 流れ星
「こらこら不法進入だよ。」そこにいたのは、優しい笑顔を浮かべた園長さんだった。僕たちの想像していた通り、やっぱり園長さんは何かを知っていたんだ。
ごめんなさい。でも僕たちはナマケモノの光を見たいんです。そう伝えると、園長さんは山の方を指差して、
「ほらあそこ。光が動いているでしょう。」と教えてくれた。
ゆらゆらしながらものすごいスピードで四方から光が集まっている。そして、ゴ
ナマケモノなんかじゃない 五 (全七話)(2015/07/06)
第五話 石ころの正体
動物園からの帰り道、結局今年も見られないのかなぁと、肩を落としながら歩いていると、たる美が突然「あ!短冊がキラキラしてる!」と、叫んだ。
後ろを振り返ってみると、さっき見た短冊が風を受けてひらひらと揺れながら光っていた。ああ、あれは蓄光の折り紙で、光を昼間にためると夜でも光る…と、言いかけたところで、おしょくじくんがお家とは違う方向に走り出した。
着いた先は女の子のお家
ナマケモノなんかじゃない 四 (全七話)(2015/07/05)
第四話 閉園間際の動物園
これ、なんか塗ってある。とおしょくじくんが指し示したところは、たしかにツヤツヤした部分とサラサラした部分に分かれていた。なんだろう、なんかの塗料かな。
でも見ただけではさっぱりわからないし、こねくり回していると女の子が涙目になってきてしまったので、あきらめて返すことにした。
女の子がお家に入るのを見送って、僕たちもお家に帰ることにしたのだけれど、帰り際にちらっと見え
ナマケモノなんかじゃない 三 (全七話)(2015/07/04)
第三話 手紙のお返し
この三日間、ナマケモノに関しての聞き込みをしながら市内の端から端まで崖を探してみたけれど、そんな場所はどこにも見つからなかった。
途中で情報をくれたトンビに出くわしたので話を聞こうとしたら、二回目からは油揚げが必要だと断られてしまった。
今日は児童館まで、先生と子供達に話を聞きに行くことにした。たびたびおしょくじくんも遊びに来ているから、子供達は大興奮でおしょくじくんに
ナマケモノなんかじゃない 二 (全七話)(2015/07/03)
第二話 ドングリングリンの話
ドングリングリンの兄弟の中には、すでに木になっているものもいて、彼はその兄弟木づてに情報集めをしてくれていた。
「山のふもとにナマケモノの足跡があるって聞いたでしょう。それはなんと二足歩行のような形で残っていたらしいんですよ。」それから、
「あと、夜は木たちも眠っているから何も見えないらしいんですが、ゴゴゴという、ものすごい風が吹き抜けていくのを感じて目が覚める
ナマケモノなんかじゃない 一 (全七話)(2015/07/02)
第一話 羽衣町七不思議
羽衣町の七不思議のひとつに「ナマケモノの光」というものがある。
一年に一度の七夕の夜。雲が晴れて月が見えた時にだけ、大量の流れ星のようなものが真っ暗闇を駆け抜ける。それがナマケモノの仕業だというのだ。
当たり前のことだけど、ナマケモノはゆっくりとしか動けない。だから、その話をはじめて聞いたときは全く信じることができなかった。一度おしょくじくんと一緒に動物園の開園から閉
平和でありますように(2015/05/10)
おしょくじくんは1年分のイチゴジャムを作るため、朝早くから起きて、イチゴのヘタを取っている。
ドングリングリンがとても珍しい飛行タコのタコンヌと一緒に(本当は吸盤にくっついちゃっただけなんだけど)空の旅を楽しんだことについて、この前、町の広報部が取材に来た。
刷り上がったばかりの町内新聞には、ドングリングリンが空を飛ぶ写真と、インタビューで雄弁をふるう写真が載せられていた。
けれども写真の説
不憫なタコ 三〜全三幕〜(2015/04/19)
第三幕 空高く上がれ
タコンヌはあっという間にその無数のタコの中に混ざってしまい、どこにいるのかわからなくなってしまった。
しばらく川の上で留まった後、無数の飛行タコは動き出し、僕らの真上を通り過ぎていった。走ってついていくと、ある場所で突然動きが止まった。そこはお兄さんのアパートの上だった。
一匹の飛行タコがふわふわと降りてきて、お兄さんの部屋の窓をキュポンキュポンと叩いた。窓を開けたお兄さ
不憫なタコ 二の二 〜全三幕〜(2015/04/19)
第二幕 不憫なタコ 後半僕らのうちに来て二週間、タコンヌはのびのびと家中を歩き回った。その間お兄さんは心配して何度も会いに来てくれていた。タコンヌは僕にもだいぶ懐いていたけれど、お兄さんが来ると途端に甘えてしがみついちゃったりして、とても可愛らしかった。
ドングリングリンを吸盤に付けて飛ばす遊びをしたり、天井によじ登り体を風船みたいにして降りてくる落下傘ごっこもよくやっていた。おしょくじくんの頭
不憫なタコ 二の一 〜全三幕〜 (2015/04/18)
第二幕 不憫なタコ 前半微妙に話し合いに入り込んでしまったので、お兄さんの部屋で詳しく話を聞かせてもらうことになった。
お兄さんはこのタコ(タコンヌと呼んでいるそうだ)を去年の初夏に拾って以来内緒で飼っていた。その頃から、お兄さんの部屋の真下に住んでいる大家さんは、天井から聞こえてくる、キュポンキュポンという謎の音に悩まされ始める。お兄さんに聞いても知らないという。
「このタコのせいでイタコを
不憫なタコ 一 〜全三幕〜(2015/04/18)
第一幕 hide-and-seek
羽衣町主催で行われた三日間にも及ぶ動物園でのかくれんぼ大会も、ライオンの檻の中に隠れていたたる美が、飼育員さんに保護されるという形で終わりを迎えた。
その日の帰り道、夕焼け小焼けのメロディーを聞きながらのんびり歩いていると、湿りけ空き地の隣のアパートの辺りから、言い争うような声が聞こえてきた。おしょくじくんとたる美が我先にと走っていったので、僕とドングリング
メランコリックな雨と靴下。(2015/03/01)
新しい傘を買った。
外に出てさしたとたん傘を通って頭に雨がたれてきた。
たる美の機嫌が直ってホッとしたのもつかの間、今度はおしょくじくんの様子がおかしくなってきた。話を聞こうにも、この雨が! この雨が! とぶつぶつ言いながら部屋の中をぐるぐる回ってばかりでちゃんと理由を言ってくれない。あきらめて洗濯物を部屋干しする為に除湿乾燥機を引っ張り出したところで、やっと理由を教えてくれた。
除湿乾燥機