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ナマケモノなんかじゃない 番外編(2015/07/08)


番外編 ドングリ三兄弟のナマケモノ捕獲大作戦!

七夕の夜、チャーリーとおしょくじくんたちが閉園後の動物園に向かっている、ちょうどその頃。

ドングリングリンの弟分ドングリ三兄弟は、ドングリングリンに手柄を立ててもらいたい一心で、眠い目をこすりこすり、山のふもとまで転がってきていた。

『ミーミーミーミン!』(なんとしてでもナマケモノを捕獲してドングリングリンに献上するのだー!)

『チーチーチー!』(おう!)

『ムームームー!』(いえっさ!)

『ミンミンミー!』(さっそく配置につくぞ!)

そうしてドングリ三兄弟は、ナマケモノの足跡が見つかった木の上と地面に分かれて、ナマケモノたちが来るのをじっと待っていた。

ゴーォォォオ!と、突然大きな風の音がして、遠くの落ち葉が巻き上がり、木々も大きく揺れはじめた。そして町の方向からいくつもの青白い光が連なり、こちらに向かってくるのが見えた。

『ミー!ミンミン!』(来たぞ! 今からまばたき禁止だ!)

『ムームームー!』(うう! 見えない!)

『チーチーチー!』(これでは無理です!)

青白い光は、あっという間にドングリ三兄弟の目の前までやってきて、そして、木々の間をものすごい速さで通り過ぎようとしていた。

『ミー…ミーミー、ミン!』(仕方ない…直接捕まえるしか…それ!)

『ムー!!』(兄さん!)

『チーチー!』(なにを!)

突然、木の上にいたドングリ三兄弟の長男ドングリが、その集団に向かって飛び降りた。

その瞬間はまるでスローモーションのようにゆっくりと感じ、長男ドングリは、その集団の中に消えていった。

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『チーチーチ!』(兄さん!)

『ムームームー…』(これではどこに落ちたかわからない…)

その集団が走り去り、次男ドングリと三男ドングリは途方にくれていた。けれども、通り過ぎたその集団の中から、突然一つの光が向きを変え、集団の中を逆走しながら、こちらに向かって来るのが見えた。

あっという間にドングリ三兄弟の目の前に現れたのは、光る石を抱えた紛れもない本物のナマケモノだった。ナマケモノはドングリ三兄弟の前でひざまずき、両手をこちらに差し出した。そこには気を失っているであろう、長男ドングリが転がっていた。

『ムー!ムー!』(兄さん!無事だったんだ!)

『チ、チチチ…』(届けてくれたんだ、あ、ありがとう…)

そして、長男ドングリを地面に置いたナマケモノは、もと来た道をまたものすごいスピードで走っていった。

帰りはフクロウ便にチャーリーのお家まで運んでもらい、ドングリ三兄弟は興奮冷めやらぬ思いで、チャーリーたちが帰ってくるのを待っていた。

素晴らしい体験を早く伝えたくて、ぴょんこぴょんこしていると、通りの向こうから、のそのそと、なんだか暗い面持ちのチャーリーたちが歩いてきた。

『ムームー!』(皆さん! 私たちは見たのです!)

『チーチーチ!』(走るナマケモノを! この目で!)

『ミーミンミン!』(彼らは私を助けてくれました!)

すると、ドングリングリンが力無く言った。『いいかい、ナマケモノは走らないよ。あの光は違うのよ。』

『ミー!ミン、ミー…』(いえ! 私たちはしかとこの目で…)

その訴え虚しく、ドングリングリンは『ちょっと今忙しいからほっといてくれる?』と彼らを冷たくあしらった。

『チーチーチム!』(見たのに!)

『ムームームー!』(ちゃんと見たのに!)

『ミーミーミン…』(仕方ない、明日出直そう)

チャーリーは部屋の隅っこで膝を抱えている。たる美はてるてる坊主をサンドバッグ代わりにしてパンチを繰り出している。今は誰も聞いてくれなさそうだ。

帰り際、廊下で分厚い教科書を持ったおしょくじくんとすれ違った。

『ミー…』(また明日来ます…)

なんだかわからないけど帰るの? バイバイ、と手を振るおしょくじくんを後ろに、ドングリ三兄弟は家路についたのだった。

おわり

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