ナマケモノなんかじゃない 二 (全七話)(2015/07/03)
第二話 ドングリングリンの話
ドングリングリンの兄弟の中には、すでに木になっているものもいて、彼はその兄弟木づてに情報集めをしてくれていた。
「山のふもとにナマケモノの足跡があるって聞いたでしょう。それはなんと二足歩行のような形で残っていたらしいんですよ。」それから、
「あと、夜は木たちも眠っているから何も見えないらしいんですが、ゴゴゴという、ものすごい風が吹き抜けていくのを感じて目が覚めるらしいんですわ。」
まさかナマケモノが走っているの? と、僕が驚いている横でおしょくじくんが走るナマケモノの姿をスケッチしている。短距離走選手のようだ。
「それから、これは有力な手がかりですよ。なんと毎年七夕の夜に、崖から空を見上げている一人の人間がいるみたいなんですよ。これは私の弟分たちがトンビから仕入れた情報です。」窓の外からドングリングリンの弟分たちがぴょんこぴょんこと飛び跳ねながら、こちらの様子を伺っている。
それは実に有力だ。仮にナマケモノがものすごい速さで走っているのなら、追いかけることなんてできないし。その人は何か知っているのかしら。でも崖なんて近くにあったかな。
たる美がてるてる坊主におしょくじくんの顔を書き込んでしまったから、おしょくじくんがちょっとむすっとしている。苺大福を買ってきて機嫌を直してもらわなくちゃ。(第三話に続く https://note.com/oshokujikun/n/nf8f2a3f66e0f)
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