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バッハのあれこれ

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バッハは音楽の父です。
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記事一覧

”ヴァイオリン無伴奏もチェロで弾いてみたい”病

”ヴァイオリン無伴奏もチェロで弾いてみたい”病

チェロを始めたのは大人になってから。
病気で一度仕事をやめて少し時間が出来た時からだった。
小学生の時に2年間だけヴァイオリンを習っていた。
発表会ではバッハの「二つのヴァイオリンの協奏曲」をやったりした。
当時若手だったパールマンがその頃ちょうど日本に来て、ヴァイオリンの先生に連れられて演奏会を聴きに行った記憶がある。
そんなこともあってか、ヴァイオリンをやめた後もパールマン演奏のバッハのヴァイ

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《星めぐりのバッハ》

《星めぐりのバッハ》

8月27日は宮沢賢治の誕生日(1896年生)。

先日のこの記事で書いたのですが、
宮沢賢治は(どうやら)バッハを全く聴いたことがなかったらしい。

少なくともあの《チェロ無伴奏組曲》は全く聴いたことも弾いたこともなかっただろう。
「セロ弾きのゴーシュ」の生みの親なのに、バッハとの出会いがなかったとしたらそれはあまりにも切ないと思い、
まことに勝手だけど(笑)、
《星めぐりのバッハ》という曲をアレ

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チェロ無伴奏の”新曲”にならんかな?

チェロ無伴奏の”新曲”にならんかな?

《マタイ受難曲》のバスのアリアの通奏低音をチェロ無伴奏曲っぽくアレンジして弾いてみた動画。

先日のこちらの記事で、カザルスが指揮したバッハ《マタイ受難曲》のなかで、いくつか自分でチェロで通奏低音を弾いているようだ、なかでも特に第66曲のバスのアリアの通奏低音として弾いているチェロは感動的、ということを書いた。

その最後で「カザルスの音のエネルギーに影響されて、今、この通奏低音をチェロ無伴奏っぽ

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カザルス指揮の「マタイ受難曲」…ひょっとしてチェロも弾いている?

カザルス指揮の「マタイ受難曲」…ひょっとしてチェロも弾いている?

カザルス指揮によるバッハの『マタイ受難曲』の音源があった。
1963年6月16日、アメリカのカーネギーホールでの録音とのこと。
昔なんかで読んだ文章の中で、”マタイ受難曲の録音はしているが音源としては未発表”というような記事があって非常に残念な思いをしたのを覚えていたので、これを見つけられてすごく嬉しい。

カザルスはその時86歳。
『カザルスとの対話』(J.M.コレドール著 佐藤良雄訳)によると

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どうしてもチェロで弾いてみたかった3番ソナタのadagio

どうしてもチェロで弾いてみたかった3番ソナタのadagio

2024年7月録音。
ヴァイオリン曲なのでチェロでやるには大いに無理があるのは承知で、でも大好きな曲なので頑張ってアレンジして挑戦した。  
冒頭は「ド~レ、ド~レ、ド~レ」という二音の反復だけの本当に単純なテーマ(音型?)ではじまるが、それが2声、3声でおりかさなっているうちに、あれよあれよという間に和声の響きで充たされ、いつの間にかドラマチックな展開となり、起承転結ありの壮大な一つの音世界

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悲しみの父親としてのバッハ

悲しみの父親としてのバッハ

礒山雅氏の『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』の43pに次の文章がある。

「バッハは20人の子供を作った」ということは知っていた。
「すげえ、すげえ(笑)」と仲間内で盛り上がったこともある。
「18世紀のヨーロッパだから衛生状態も悪かっただろうからいろいろあったんじゃないかな」となどとは漠然と感じてもいた。

バッハの家族の没年についての本の記載から、簡単な年表を作ってみた。

 1713年 次男ヨ

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バッハ自身の編曲か、それとも……   ペルゴレージ作曲「スターバト・マーテル」のバッハ編曲「詩篇第51番」(BWV1083)をめぐって

バッハ自身の編曲か、それとも……   ペルゴレージ作曲「スターバト・マーテル」のバッハ編曲「詩篇第51番」(BWV1083)をめぐって

「 詩篇第51番 わが罪を拭い去りたまえ、いと高き神よ」 BWV1083、というバッハの中でも結構マイナーな曲がある。

実は結構好きな曲なのだが、
この曲については以前から疑問に思っていたことがあり、
この機会にそれを思い出したので調べてみた。

演奏によって曲の終わり方に違いがある、それはなぜか、ということ。


バッハの作品番号が付いているが、
これはもとはイタリアの作曲家ペルゴレージが作

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