記事一覧
私は何者か、番外編、a dozen 俳句 16
食卓のまんなかいちじくジャム光る
鉛筆がころがってゆく秋の暮
傾いてなほ傾いて夏逝けり
寝返ってみてもひとりの秋深む
野分雲スマホのなかの出来事で
抱き合うひとの真上の星月夜
眠ることそれすら疎ましこの夜長
流星を拾いに行けば山の端
蟋蟀の髭に見蕩れており阿吽
本棚の隙間で光る六等星
落ち葉踏むかさこそとひそひそのあいだ
秋の野を我まっすぐに走っている
ちいさなカフェは本日目のまわる忙しさ。
早く寝よう。
おやすみなさい。
シャインマスカットとクイーンニーナ
美味
私は何者か、番外編、a dozen 短歌 57
水遣りの先に砂漠のオアシスが一瞬ゆらめくすぐに消え去る
種撒いてゴッホの少年日暮まで黄金のなかのすべての色彩
たとえば声たとえば手紙風吹けば髪靡かせてふつうのことよ
畑より頂きて我煮転がし作りて夜秋此処が在処と
何もせず景色を見やる一日の当たり前なるそんな幸福
ゆふぐれが急いでいるか誰が待つ森の奥にも明かり灯して
足指の爪のかたちは母に似て耳のかたちは父に似ており
急いではいけない解
週末含め連休だ。朝から夜までずっと週末の家の住人となり、その、心底、世間から見放されてる感が嬉しくて、心地良し。オデッセイの飛行士みたいに、色々工夫したり、考えたりして、家事なんかをしていると、楽しくなってくる。特に食事づくり。こんなふうに自由に振る舞える時間を、もらえるなんて。
夕方、空は雲の展覧会であった。
私は何者か、番外編 a dozen 俳句 15
野分過ぎ理などと誰が言う
最後ならそれなりによしゴーヤ成る
蓮子枯れて静かにうねる泥のなか
空蝉の意識無意識真夜の雨
遠いものつくつくぼうしのその記憶
夜静か記憶の海を照らす月
文庫本ジェンガのように積んで月夜
有閑の俄かピアニストへ秋風
耳掃除誰もいないという夜長
蟋蟀は一晩中を問い続け
爪切って父母すでになく秋夜
思うだけ思えば思え月に雲
ねぎと青紫蘇。畑より。
刻む前にすでに香り高し。
ありがと。
夏すぎて秋来にけらし青青と実りたること我に過ぎたる
エッフェル塔も、今年の因縁。紆余曲折の末ピーマン選手も頑張った🎉
唐楓