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私は何者か、564



ちいさなカフェは、押し並べて和やかである。来る人は皆やさしい。コーヒーも美味しいし、賄いもある。わたしはいつも、賄いミニ仕様にしてもらう。一度にたくさん食べられない。(なこと言って、過去にラーメン替え玉した事もあるけれど💦)

この季節の光は、晩夏光であろう。行く夏の少しばかりの後悔と行かねばならぬ運命を背負い、木漏れ日をきらきらと撒いて、やがて葉を染め、木の実を育む。わたしもすぐに誕生日がくる。

いつだったか、思い出せそうもないくらい、気の遠くなるほど前のことかしら。それでも、間違いなく夜は迫り、シャツの袖をのばす。

会わなければ、愛というものは、水を与えない植物のように枯れてゆくのか。漫然とひととものの在り方を眺める。眺めているうち、いや、これは、眺めているのではなく、眺められているわけでもない。むしろ、眺めていること自体を眺めているのではないかと。


会わなくても、愛は枯れない。愛は生きているが、植物ではない。


木の実がかさこそと囁く。


入道雲が湧いては崩れて、今日が終わる。


わたしは何者か。



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